実録 裏パチスロ列伝 第3話
唯一の拠点 ― 食えるホールとの出会い
放浪の果てに辿り着いたそのホールは、これまで回ったどの店とも違った。
常連は年寄りばかり。
ゼVの挙動に気づくようなライバルは一人もおらんかった。
しかもデータ表示機には回転数が出ない。
「何ゲーム回ってるか」は自分で読み取るしかない。
俺らは目の前の客の動きから逆算した。
投入した金額、メダルの減り方――そこから大体の回転数を頭の中で計算する。
さらに店員が回収する金箱の量を見て、台にどれだけ突っ込まれているかを推測。
そうやって“見えない数字”を読み取り、立ち回っていた。
やがて、この店のサンダーがまぎれもないゼVだと確信する瞬間がきた。
前兆Vを確認し、子役カットもハッキリ確認。
リプレイ外しをしてもコインが減る――まさに裏モノの挙動やった。
俺らは心の中でニヤリとした。
「ここや。ここが唯一食える拠点になる」
俺らはそのスタンプを2回分貯め、ゼVと初代ガメラを選んだ。
ゼVは設定なんか効かへんと分かっていた。
けど――確認の意味も込めて、あえて選んだ。
結果はあまりにも対照的やった。
ゼVは約12,000円の負け。
やっぱり、設定6にしてもゼV特有の爆裂“状態”には入らなかった。
その代わりに当たりが軽く、安定してノーマル台のような出玉推移になった。
一方、初代ガメラは純粋なノーマル機。
設定6が素直に効いて、8,000枚オーバー。
裏の要素なんて一切ない、シンプルに“6”の力を見せつけた。
この体験で俺らは確信した。
「裏モノに設定なんて効かない。逆にノーマル台こそ設定の真価が出る」
こうして俺らは、放浪の末に“唯一食えるホール”を手に入れた。
ここから、この店が俺らの生活を支える拠点になっていく――。
……はずやった。
もともと常連は年寄りばかりで、人の少ない店やった。
ゼVを打つライバルなんて一人もいない。
だからこそ食えた。
けど、その静けさはやがて致命傷になった。
さらに客足は減り、ゼVは撤去。
そして――しばらくして、そのホール自体も廃業。
俺らの“黄金期”は、ほんの一瞬の出来事にすぎなかった。
だか、本当の黄金期はここからだった!
