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本気で遊ぶ父は、信用されるらしい 第3話

結婚前、子どもは遠い存在だった


結婚前の私は、
子どもと関わる人生を、
どこか別の世界の話だと思っていた。

子どもがいる友人の話を聞いても、
「へぇ、大変そうだね」
と相づちを打つくらいで、
その苦労も喜びも、
正直なところ、あまり実感はなかった。

子ども連れの家族を見ると、
微笑ましいなとは思う。

でもそれは、
映画やドラマを見ている時の感覚に近かった。

いい話だなとは思うけど、
そこに自分が入り込むイメージは、
まったく湧いていなかった。

自分が子どもを抱っこしている姿も、
公園で遊んでいる姿も、
泣いている子をあやしている姿も、
どれも現実味がない。

頭では、
「いつかは父親になるかもしれない」
とは思っていた。

でもそれは、
老後の話を想像するのと同じくらい、
遠い未来の話だった。

今日の自分の延長線上に、
子どもと向き合っている自分がいる。
そんな感覚は、まるでなかった。

むしろ私は、
自分のことで精一杯だった。

仕事のこと、
将来のこと、
お金のこと、
人間関係のこと。

目の前の生活を回すだけで、
毎日がいっぱいで、
誰かの人生を背負う覚悟なんて、
考えたこともなかった。

子どもは、
誰かの大切な存在ではあったけど、
自分の人生に関わる存在ではなかった。

だからこそ、
子どもにどう接すればいいかも、
分からなかったんだと思う。

距離の取り方も、
言葉のかけ方も、
触れていいのかどうかも、
全部がよく分からない。

分からないから、
関わらない。
踏み込まない。
近づかない。

それが、
当時の私にとっての、
いちばん安全な選択だった。

今振り返ると、
子どもが苦手だったというより、
「知らない世界に入るのが怖かった」
だけなんだと思う。

知らないものに、
下手に触れて、
失敗したくなかった。

だから私は、
子どもがいる風景を、
いつも少し遠くから眺めていた。

あの頃の私には、
子どもと向き合う未来なんて、
想像もできなかった。

でも、
このあと私は、
ある友人の家に泊まりに行くことになる。

そこで見た光景が、
私の中にあった
「子どもとの距離」を、
少しずつ壊していくことになる。



次回予告(第4話)

「泊まりに行っていた友人の家」

気軽な気持ちで泊まりに行った友人の家。
そこには、
私の想像を超える日常があった。

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