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『FX戦士くるみちゃん』を読んだら体調が悪くなった(誇大表現)

以下記事には『FX戦士くるみちゃん』のネタバレが含まれます。気になる方はスルーしてください。


私が金融の相場と付き合ったのはせいぜい現物株くらいです。それでもダイナミックな値動きで一喜一憂しました。値上がりすればものすごく嬉しいし、値下がりすれば苦しい。そんな気持ちを味わいました。こんなことに注意力を割くのは嫌だなと思い、個別株はやめました。今はNISA口座をオルカンで埋めているくらいです。

世の中にはオルカン(全世界株式インデックスファンド)の値下がり程度で真っ青になる人もいるのですが、そこで狼狽売りするのは市場の養分です。もう金融市場に近づくべきではありませんし、たぶん蓄財に向いていません。

そんな人たちは『FX戦士くるみちゃん』とは全く無関係な世界です。

白刃の上に立つ少女『FX戦士くるみちゃん』

可愛らしい絵柄の女の子たちが取り扱うはFX。しかもハイレバレッジの取引が舞台のマンガです。ハイレバレッジのFXははっきり言って投資の世界ではなく、ギャンブルの世界です。レバレッジというのは、自分の持っているお金に倍率をかけて取引をするというものです。たとえば、レバレッジ100倍となると、自分のかけているお金(証拠金)の100倍の取引ができます。手持ち現金分の値上がり、値下がりの結果が100倍になります(ちなみに、今、日本のFX業者だと個人は最大で25倍です)。え、それならレバレッジをかけないのは損では? だって、ずっと持っていれば、得になったときに売ればいいんでしょ、とよく知らない人が思うかもしれません。値上がりのときには良いですが、値下がりのときには取引の主体が大きな損をしないようにロスカットという形で損が実現してしまいます。このため、損を抱えていても構わずにずっと持ち続けるということができません。このロスカットはいわばギロチンです。スパン、とそこで終わります。

ちょっとした外貨のレート(たとえば、1ドル=150円といったレート)が小さく変動するだけでも、100倍のレバレッジをかけていれば、とんでもない変動になります。それはまるで切れ味の良すぎる真剣のように、少ない挙動で鋭い傷を作り出します。まさにそんな真剣の刃の上でキャラクターたちは踊ります。少し予想を外しただけでも刃のうえから滑落するし、踊り続けていても頭が変になる……そんな世界です。

投資は余剰資金で、というのは金融の鉄則ですが、マンガのキャラクターたちは割と生活資金に手を付けています。読者諸賢は、生活防衛資金で個別株を買うようなことはせぬように。

そもそも女子大生のくるみちゃんはなぜFXをするのか? それは、彼女の母がFXで2000万溶かして自殺したためです。くるみちゃんはFXの相場に対して復讐として2000万円稼ぐことを胸に誓ったのです。しかし、2000万勝った人間がそこでやめられるでしょうか。案の定、くるみちゃんはFXから得られるドーパミンに目覚めていきます。彼女のギャンブラーとしての才能と嗜好が姿を現すのです。

キャラクターは可愛いがあまりにも苛烈

面白い。本当に面白い。相場の変動に生殺与奪の権を握られたくるみ(とサブキャラクター)が一喜一憂あるいは翻弄されていく姿が可愛い絵柄で描かれています。しかし、くるみの戦いはあまりにもハード。天国と地獄は薄い皮膜で隔てられており、持っているポジションと市場動向で天国から地獄へ、あるいは地獄から天国へ移動させられてしまうのです。

最新刊ではくるみは絶対的な窮地に陥っています。いったいこの後どうなるのでしょうか? 物語の進行は気になりますが、この記事ではその話はこれ以上しません。

為替レートの動きは内臓の揺れ

読んでいて思うことですが、まあ、とにかく胃が痛い。私は、FXで負けて生活を毀損する、あるいは死を選びたくなるほどの体験をしたことがありません。高々個別株の値下がり、値上がりくらいです。NISA枠で買っているオルカンだと、値下がりしても、「ああ、成長投資枠でまとめて買っておくか」くらいです。何とも思いません。しかし、この一喜一憂の感覚は個別株で遊んでいた時に内臓が覚えています。

それが生活や人生をかけたレベルで行われたとしたら? 想像力は脳を起点として体中を駆け巡り、内臓の不快感を拡張するような形で訴えかけてきます。「儲かったならやめればいいのに」私の頭はそう考えます。しかし、勝ったときのドーパミンがそうさせてくれないのでしょう。自分がポジションを持っていないときの相場を見ると、「ああ、自分の思った通りやっていればこんなに儲かったはずなのに」。それは射幸性で敷き詰められた地獄への道。

くるみの行動は、リスクを取りすぎた、可能的な自分の姿を現しているかのようです。「こんなに儲かるなら、信用取引でもしていればよかったのに」。それが後知恵であることは知っていても、常識的なリスクの取り方が機会費用のように思えてくる罠。

私は、そんなものを手放すために、NISA枠でオルカンの積み立てを行い、国民年金基金と小規模企業共済の掛金を支払い、iDeCoでも積み立てを行います。そして、お金を入れたら出すことを考えない。株価の上下に惑わされない。そんな生活を選んだのです。

フィクションのキャラクターが、私たちにできるハイリスクハイリターンの金融取引でとんでもない一喜一憂をする姿はお金の怖さと、適切なリスクを持つことの重要性を教えてくれています。『FX戦士くるみちゃん』、ハイリスクハイリターンの世界を疑似体験するエンタメとして味わうのはいかがでしょうか? 絵もきれいですし、緊張感もあって良いマンガですよ。


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