お嬢さんをください
マサル「……お嬢さんをボクにくださいってばよーっ!」
義父「ふむ、なるほど。君はお嬢さんを要求しとるのだね?」
マサル「はい、お義父さん。お嬢さんをオレにくださいませっ!」
義父「一人称がボクになったりオレになったり、ちぐはぐなのは緊張からかね?」
マサル「いいえ。最初、かわいくアピールしようと思い“ボク”にしましたが、やはり強さをアピールする方向に上方修正し“オレ”に変更しましたっ!」
義父「ほう。では、わたしの前で緊張はしていないと?」
マサル「するわけないでしょう。申し訳ないですが、オレの方がお義父さんよりケンカ強いですから」
義父「……やってみなきゃわからんだろう」
マサル「いいえ。オレ、北斗神拳習ってるんで」
義父「一子相伝ではなかったかな? 北斗神拳とは」
マサル「グズグズんなってますね。もうその辺」
義父「そういう時代なのか……。それで、君は突けるのかね。秘孔、ひとつくらい?」
マサル「突き指中で、二週間ほど通えてません」
義父「負傷中か。いまなら勝てるチャンスありだな。わたしにも」
マサル「いえ、無理だと思いますね。奥の手あるんで」
義父「ほう、奥の手?」
マサル「うちの親、ウォーレン・バフェットの本読んでるんで」
義父「カネでねじ伏せる気か」
マサル「資産形成バッチリなんで」
マサル「というわけで……お嬢さんをオレにくださいっ!」
義父「君は大きな勘違いをしてるようだね」
マサル「何がですか?」
義父「あいにく、うちにお嬢さんはいないのだ」
マサル「どういうことですか?」
義父「君は入る家を間違えたのだよ……」
マサル「……っ!」
義父「入りたまえ……おジョンさん!」
ガラッ
おジョンさん「おジョンさんこと、ジョン・シーゲルです」
マサル「いるのは、お嬢さんではなく、おジョンさんだった……と?」
義父「その通り。彼、おジョンさんは若くして南斗聖拳、茶帯の使い手であり、FIREしている。暇人だ」
おジョンさん「アナタ、中華そばとラーメンの違い、わかりますカー?」
マサル「い、いや……」
おジョンさん「ワタシもわからないデース」
義父「わたしもわからない」
マサル「オレもわかりません」
ガラッ
義母「わたしもわからないわ」
ガラッ
お嬢さん「あたしもわからないわ」
義父「これで満場一致だな」
マサル「いるじゃん、お嬢さん」
(終)
