須藤を説得する刑事
都内某所。
廃ビル屋上に刑事が駆けつけた。
須藤誠(23)。
彼は屋上の手すりを乗り越え、その縁から階下を見下ろしていた。
刑事「早まるんじゃない、すうどんっ!」
須藤「素うどんって呼ぶなーっ!」
刑事「素うどんなんて呼んでないぞ、すうどんっ!」
須藤「オレは須藤だっ! 素うどんじゃなーいっ!」
刑事「わかったから、飛び降り自殺なんてバカなマネはよすんだっ!」
須藤「人から須藤と呼ばれるたびに、素うどんと呼ばれてるような気がして、不安でどうしようもなくなる気持ちがおまえらにわかるかーっ?」
刑事「古代ローマ帝国の滅亡くらいはっきりわかるっ!」
刑事「オレだって刑事と呼ばれるたびに、ペットのケージと呼ばれてる気がして、みんなで寄ってたかって、このオレをペット扱いしやがってコノヤローとか思ってるんだっ!」
須藤「ウソつけーっ!」
刑事「ウソだーっ!」
須藤「もういい、死んでやるっ!」
刑事「待てっ! 須藤、おまえ恋人か嫁さんは?」
須藤「いるわけないだろっ」
刑事「じゃあ、仮におまえにいい人ができて結婚したとする」
須藤「……ああ」
刑事「その相手がヘップバーンさんだったとする」
須藤「……ああ」
刑事「『素うどん・ヘップバーン』だぞっ!」
須藤「なんだそれーっ!」
刑事「さらにだ。その相手がサランドンさんだったとする」
須藤「……ああ」
刑事「『素うどん皿うどん』だぞっ!」
須藤「死んでやるーっ!」
刑事「待て待てーっ!」
刑事「おまえのために、とある方をお呼びしてるんだっ!」
須藤「とある方……?」
刑事「部族の族長だ」
須藤「部族の族長?」
刑事「ンガングラ・ムブワンガ・ンドンゴ・ンゴロロ・カランガ・バラバラさんだ」
族長「ンガングラ・ムブワンガ・ンドンゴ・ンゴロロ・カランガ・バラバラデース」
須藤「……っ!」
族長「スウドンサン、命ヲ、粗末ニシテハ、イケマセーン」
須藤「……はいっ!」
(終)
