「こんなはずじゃなかった」——29年目の公務員が、今さら踏み出してみることにした話
地方公務員になって、28年が経っています。
いろんな部署を渡り歩きました。
用地買収から始まり、誰かを支える仕事、まちづくりに関わる仕事、予算をめぐる折衝——それぞれと関わりながら。
明日の業務が待ち遠しい日もあれば、毎朝起きるのがしんどくなるくらい辛い時期もありました。
うまくいったプロジェクトもあれば、思い切り失敗して、しばらく立ち直れなかったこともあります。
仕事そのものより、人との関係で消耗した時間もまた、長かったかもしれません。
ぶつかり合った相手もいれば、自分の言葉が誰かを深く傷つけてしまったこともありました。
叱られて、黙って下を向いた日もありましたし、私は信頼しようと思っている相手からは信頼されていないような気持ちになったこともあります。
何が正しかったのか、今でもよく分からないことばかりです。
そして今、思い描いていたような場所には、立てていないことを認めざるを得ません。
誰かと比べているだけではありません。
ただ、あの頃の自分が漠然と抱いていた「いつかこうなるだろう」という感覚と、現実の自分との間に、大きなギャップがあり、あがくだけで時間が過ぎてしまったのが実際のところです。
傍から見れば、安定した職に就いて、なかなか充実したキャリアを重ねてきたように映るかもしれません。
助けていただいた上司や同僚がいて、一緒に汗をかいた仲間がいて、感謝していることはたくさんあります。
でも——準備も計画も、明確な意志もないまま、ここまで来てしまったという感覚は、ずっと消えませんでした。
興味のあるなしに関係なく配属された部署が多く、キャリアを自分で作ってきた、という手応えが、薄いままでした。
それなのに、
「こんなはずじゃなかった・・・」
そう思ったのは、来し方をぼんやり振り返っていた3月の夜のことです。
人生の折り返し地点はとっくに過ぎているでしょうに、残りの職業生活を思い描こうとすると、どうにも輪郭がぼやけてしまいます。
後悔というより、喪失感に近い感覚でした。あの頃の自分は、いったい何を目指していたんだろう、と。
ただ同時に——まだ、もう少しだけ、何かできるんじゃないか、という気持ちも、静かに頭をもたげてきました。
そして今年の4月、少しだけ動いてみることにしました。
大きな決断でも、派手な転換でもありません。
ただ、「昨日と変わらない今日が、明日に続いていく」という繰り返しを、自分の手で断ち切りたかったのです。
何かを始めることより、何かを「選ぶ」という感覚を、もう一度取り戻したかったのです。
noteのアカウントは、もうずいぶん前に作っていました。
いつか何か書こうと思って登録したまま、ずっと放置していたのです。それが自分らしいな、とも思います——始めるつもりで準備だけして、踏み出せずにいる、癖。
背中を押してくれたのは、ある人の一言でした。
まず、書いてみればいい、と。
これが、最初の記事です。
うまく書けているかどうか、誰かに読んでもらえるかどうか、分かりません。
続けられるかどうかも、正直分からないですが、それでも、何か選び取った日のことを、残しておきたかったのです。
29年分の来し方と、これからのこと。
少しずつ、ここに書いていこうと思います。
