ショートショート つくし上位互換
「じゃあ、僕、つくしになれないの?」
三枚にのびた細長い葉を揺らして木の芽の坊やが言いました。
「違うともさ」
さわさわ風に揺られながらつくしのおじさんが答えます。木の芽の坊やはびっくりしました。自分もおじさんのようにまっすぐ、大きくなりたいと思っていたからです。あたりを見まわし、隣にはえたスギナの細長い葉を見て言いました。
「だって、似てるよ? 葉っぱ。みんなと」
スギナがくすくす笑います。
「違うよ。坊や。坊やはもっと大きくなるよ。私らみんなを合わせたくらいに」
夏が来て秋になり冬が通り過ぎました。暖かな日の光に地面から顔を出したつくしたちを、かつての木の芽の坊やが見守ります。つくしみたいな真っ直ぐの幹に、スギナみたいな柔らかな葉が茂っていました。
「こんにちは。杉の木」
つくしたちが挨拶をしました。
「こんにちは。つくし」
杉の木も挨拶をします。空を見上げました。まっすぐ伸びた、つくしのおじさんを思い出しながら。
ショートショート No.753
たらはかに(田原にか)さんの毎週ショートショートnoteに参加しています。
今週のお題は「つくし上位互換」です。
先週のお題は「おとぎ話診療所」。小粋でポップなヒスイさんも書いています!
物語の効用、というか戦い方については考えるところがあります。社会的、物理的な意味ではなく、内的な意味で、物語は人を救う(ことがある)と思う。
……。(ねこの中の人はね、猫かぶっているけど、結構面倒くさい人なんですぞ!)
そうなんだよ。何より自分のために、ずーっとお話書いていたい。私は。
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