ショートショート 奇岩シューズ
だいたらぼっちはつぶやいた。
「地味だな」
東の方には富士山が見えた。だいたらぼっちが土を固めて作った山だ。西の方には琵琶湖が見えた。山を作るのに掘り返してできた湖だ。
「地味で結構」
にこにこしながらお天道さんが言った。
「両方とも、日の本一の光景だ」
「違う、違う」
だいたらぼっちが地団駄を踏んだ。
「俺が作りたいのはこういうのじゃねえんだ」
頭を掻きむしって富士山のてっぺんに拳を当てた。中から溶岩が溢れ出て、だいたらぼっちの素足に触れた。
「あっちい! あ。閃いた!」
「おおい、いいもん作ったんだ。見てくれや!」
次の日、上ったばかりのお天道さんをだいたらぼっちが呼んだ。土を掘り返す。中から真っ黒い石の塊が二つ出てきた。
「土の鋳型に昨日のドロドロ流したんだ」
上機嫌で言って、塊の穴に自分の足を突っ込んだ。溶岩でできた靴だった。
「へえ」
奇天烈な靴にお天道さまが眉をしかめる。それから笑ってこう言った。
「ロックじゃん」
ショートショート No.714
たらはかにさんの「毎週ショートショートnote」に参加しています。
今週のお題は「祈願上手」。裏お題は「奇岩シューズ」です。
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