見出し画像

ショートショート チラ見バーガー

 かつては文明の中心であった大奈護屋は今や辺境の田舎と蔑まれ、帝都のいかなる情報の流入も固く禁じられていた。インターネット検索はもちろん、旅行の際には政府による許可と監視が必須。いかなる文物も持ち入れ禁止だ。

 竹段屋の織田野武長は留学時に帝都でハンバーガーを見た。見ただけだ。持ち帰ることはおろか、食べることすら叶わなかった。しかし彼はこの食べ物に勝機を、いや、商機を感じた。

 自宅で再現を試みる。パンはわかる。しかし具材はわからない。とりあえずエビフライを挟み、そして味噌だれをかけた。当然うまい。アクセントにはきしめん。すぐに商品化に乗り切った。

「これがハンバーガー? 話半分じゃ仕方がないか。半バーガーだけに」
 帝都の商人が鼻で笑う。野武長は涼しい顔で答える。
「いえ。ほんのチラ見バーガーです。でも味はパンフェクト。パンだけに」
『全バーガー』。エビフライと赤味噌ときしめんの三段内。天下統一を果たすまでもうすぐだ。


ショートショート No.768

 たらはかに(田原にか)さんの毎週ショートショートnoteに参加しています。今週のお題は「月見バーバー」。裏お題は「チラ見バーガー」です。


今週末(2025年9月14日(日))、文学フリマ大阪の「hoshiboshi/夜空舎」ブース(こ-19〜20)に売り子として参加いたします。(私の書いた140字小説「『ぴい』と鳴らせば」もおいています)。大阪のみなさん、ぜひ遊びに来てください!


いいなと思ったら応援しよう!

へいた|ショートショート よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!