ショートショート 二重人格ごっこ
「嫌い。あっちいけ」
久しぶりに姉のうちに遊びに行くなり甥が言う。
「ごめんなさい」
姉が慌てて割って入る。
「最近はまってる遊びなの」
姉が手のひらを甥の前でひらひらさせながら言った。
「二重人格解除」
「ああ。あの」
思い当たった。主人公が自分のもう一つの人格と協力して戦うヒーローアニメだ。
「こんにちは、おばちゃん!」
うってかわって明るい笑顔の甥。めんどくさい。
「お土産」
ケーキの白い紙箱を甥にわたす。
「甘いもの嫌い」
今度は驚かない。姉のように片手を甥にひらひらさせた。
「二重人格解除」
「僕、ケーキ大好き!」
ちょっと面白い。
「ケーキ、いちごと栗とピスタチオ、どれがいい?」
甥はピスタチオが好物だ。
「栗?」
きたな。片手をひらひら。二重人格解除。
「ピスタチオ!」
おかしくなって思わず笑ってしまった。
「いつでも来てね」
姉が言った。片手をひらひらさせた。姉が苦笑いする。
「これはほんと。また来てね」
少し涙ぐむ。
大人の方が、めんどくさいか。
ショートショート No.460
本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です
たらはかにさんの毎週ショートショートnoteに参加しています。
今週のお題は「二重人格」「ごっこ」です。
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