ショートショート キャトルイルミネーション
あれは確かクリスマスの夜でね。
ロッキングチェアを揺らしながら、キャシーが灰色の目で窓の外を見つめた。孫たちが目を輝かせながら聞いている。
ひとりで丘の上の、あの大きなモミの木のところで空を見ていたんだ。まだ小さかったけどこっそりベッドを抜け出して、サンタクロースってやつを一目見てやろうと思ってね。
他の家の灯りが消え始めて怖くなって引き返そうとした時、眠っていた牧場の牛たちが騒ぎ出してね。
一瞬さ。パッと光が走って、サリーが、私が一番可愛がっていた子牛が宙に浮いたんだ。円盤が見えた。私は叫んだ。「待て、置いていけ!」って。でももう光も円盤も跡形もなかった。
朝になってサリーの亡骸が見つかった。狼のせいだろうってみんなが言った。でも違うのさ、あれは宇宙人。
「嘘だあ」孫たちが声を上げた。キャシーは笑った。窓の外でモミの木が揺れた。てっぺんで賢者の星が光っている。あの晩突然現れて六十年、ずっと消えることなく。
ショートショート No.780
田原にかさんの毎週ショートショートnoteに参加しています。
今週のお題は「キャトルイルミネーション」です。
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