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舞台「月農」初めての宮オムを配信視聴。タイトルの意味と覇気のない和田雅成が最高

和田雅成くんのトークが好きで、ニコ生配信「りんりんのたこ焼き屋さん」を毎月楽しみに聞いている。そこでよく話題に上がるのが、2014年12月にシアターサンモールで上演された「月農」だ。雅成くんからは「宮下」「宮オム」という言葉もよく聞くので、誰だろう何のことだろうと最初は思っていたのだけれど、徐々に宮下とは宮下貴浩さんであり、宮オムとは宮下さん×私オムさんの企画舞台のことだとわかってきた(宮下さんはカミシモにも出てた!)。雅成くんが思い出深く語る「月農」そして「宮オム」を一度観てみたいと思っていたと思っていた矢先、YouTubeで無料配信された!のですぐに観た!(今はもう期間終了)

※ちなみに本作の前にYouTube配信されていた宮オムの舞台「わかば自動車教習所で恋を学ぶ」も観た。これは赤澤燈くん主演なのも気になったから🔰わか恋はとても面白かった。なんというか、演劇らしい演劇だった。特に何か事件が起こるわけではない日常青春群像劇なのだけれど、会話が面白く、登場人物がみんな一生懸命に生きていた。

ということで「月農」も期待して観た!期待通りとても面白かった!

言葉を選ばずに書くと、冒頭いきなり始まった田舎特有の筒抜け感が気持ち悪すぎて引き込まれた。宮下が雅成の家に勝手に上がりアイスを食べている。雅成がそれを嫌がり注意をすると、ん?農業を教えてやったのは誰か?道具を貸してあげたのは?人脈を作ってあげたのは?と責め立て、もはや出ていくor 田舎のルールに従うしかない状況となる。冒頭5分で宮下(の役)が無理になった。そして覇気のない和田雅成は珍しいなと思った。キレッキレの和田雅成が好みだけれど、覇気のない男を演じてるところも興味深い(てか、これカミシモのすぐ後にやってるの振り幅すごい)。何か過去に事情があるんだろうなと思わせる雰囲気がとても上手い。そして続いていく田舎の空気。都会から移住希望かもしれない変な夫婦がやってくる。夫婦が乗ってきたタクシーは宮下の知り合いのタクシー会社。飲み物を買いたくても住人に聞かないと自販機が見つからない。近所の人に布団を借りる。新参者なのに挨拶回りをしないとは何事かとキレられる。うわぁ、嫌すぎる世界観。そんな始まり方に惹きつけられた。

舞台セットが工夫されていた。「津久井の家」「病室」「カンナとお兄ちゃんの家」がすべて舞台上に設置されていて、セットの転換をすることなく違う場面に移行できる。主人公である津久井の家がメインセットなのだけど、照明が病室を照らすと病室がクローズアップされる。一つの舞台にセットがこんなに混在してることある?!斬新だけどめっちゃわかりやすかった。病室のシーンになると、どうやら津久井は元医者であること、患者の女の子(一葉)が津久井に恋してること、彼女は余命3ヶ月であることがわかっていく。

メインセットに戻る。津久井と住人たち、そして一葉の死の真実を知ろうとする偽装夫婦(旦那役が武子直輝くんで驚いた)のやり取りが続く。何度か病室のシーンに切り替わり、津久井が一葉の頼みを聞いたことで一葉の死が早まったこと、津久井がそのことで自分を責めて医者をやめたことがわかる。
ここで出てくる宮下がさぁ、最高だった!あんなにウザかったのに!あんなに行動を把握してくるくせに、「畑耕している津久井くんしか知らないから」「ここにいるうちは大丈夫だからのんびり生きなさい」と、過去を詮索しない。宮下扮する大森さんの言葉に、津久井が初めて感情を出し「ありがとうございます」って震えながら言うところも最高だった!雅成くんってすごい。
そして、冒頭の気持ち悪さがなくなった。行動は筒抜けだけど、心の内はそれぞれでいいということなのだろうか。過去は関係なく親切に受け入れ、そこにいる間は思いっきり協力して生きていく。これが本当の親切なのかもとすら思えてくる。距離が近いんだか遠いんだかよくわからなくなった。

津久井も一葉を愛していたことが、終盤にわかる。医者としての優しさを見せているだけにも見えたけど、医者として抑えてたんだろう。一葉の死を早めてしまった罪悪感にかられているのだと思ったけれど、案外単純で、好きな人を失った悲しみが大きいのかもしれない。
津久井は「自分は生きていてはいけない、膿を出したい」と叫ぶ。うみというワードが出てくる。うみ……?膿!!!月農ってそういうことか!(衝撃)
りんたこで「月農」と聞くたび、げつのう?そんな単語あるのかな?と思ってたけどやっぱり造語だった。月が綺麗な日、農家の話。そして、「膿」にかけてるんだ!すげー!
月見の夜、津久井は過去を告白する。夫婦に扮していた女(一葉の姉)も、男(一葉の友人)も本音と過去を告白する。冒頭あんなにウザかった登場人物たちが、この時点で愛すべきキャラクターになっている。

カンナ役、福室莉音さんがとにかく良かった。「わか恋」でも一番輝いていたのですぐにわかった。可愛いし、表情も声色も全部すごく良い。津久井に恋をするカンナはキラキラしていて、この物語の中で唯一の希望のような存在に見えた。カンナがお兄ちゃんに「恋を諦めない宣言」をすると、あれだけ嫌そうだったお兄ちゃんが津久井に近づこうとする。カンナとお兄ちゃんでお月見団子を作るシーン、とってもとっても良かったなぁ。涙出そうになっちゃった。兄は別に妹の恋を邪魔したかったわけじゃないんだろうな。兄妹二人の暮らしがもう少し続くような気がしたんだろうけど、妹のほうが早く大人になりたがった。

舞台セットのうち、「病室」が過去だとすると、「カンナの部屋」は未来に続いているイメージなのかなと思った。津久井はそのまま農業をやっていくのかな。カンナとうまくいく未来もいいけど、膿を出したら、あの場所を離れるような気もする。

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