相談した後に何が起きるのか怖いとき|話す前に確認してよいこと
相談しようと思って、窓口のページを開く。
けれど、申し込みの手前で、指が止まる。
話したことは、どこまで伝わるのだろうか。相談しただけで、職場への連絡や何かしらの対応が始まってしまうのだろうか。一度話し始めたら、途中で「今は決めません」とは言いにくくなるのではないか…。
相談したほうがいいかどうかとは別に、相談した後のことが分からないために動けなくなってしまう。実は、こういうことが起こりがちなのです。
私はスクールカウンセラーとしても活動しているのですが、子どもの時代から『相談する』ということに抵抗がある場合が少なくありません。
理由としてよく耳にするのは、話を大事にしたくないという思いであったり、なんて言われるかわからないから相談しづらい、といったことです。
ですのでこれは、相談することに対する勇気が足りない、ということではないのです。自分の話や、これから先の選択がどのように扱われるのか不安なので、先のことをあらかじめ知っておきたい。そういうことでもあります。
分からないまま進むことが苦しいとき、人は確かめるか、避けるかのどちらかに向かいやすくなります。そしてここでお伝えしたいのは、避けるほうではなく、確かめるほうについてです。
そのとき、その場ですべてを話さなくてかまいません
まず知っておいて欲しいのは、相談を始めたからといって、そのときにすべてを話さなければいけないわけではないということです。
たとえば次のようなことは、内容を話す前に確認してもいいことです。
話した内容は、誰にどこまで共有されるのか
本人の同意なく情報が伝えられる場合はあるのか
記録はどのように残るのか
相談した後、どのような流れになるのか
今日は仕組みを聞くだけで終えてもよいのか
これらは、遠慮しながら特別にお願いすることではありません。
少なくとも心理支援の場では、秘密をどのように守るのか、その限界はどこにあるのかを事前に説明し、理解や同意を得ながら支援を進めることが、基本的な原則とされています。
つまり、本来は、相談を受ける側からも説明されるべき事柄なのです。
私自身もカウンセリングでは「話したくないことは話さなくて大丈夫です。話してもいいなと思ったことだけを、話してもらえたらと思います」とお伝えしています。
相談という場面であっても、話す側が安心して話せることは、とても大切な前提だと私は考えています。
ただ、実際の扱いは相談先や制度によって異なります。そして、秘密保持には例外もあります。
生命や身体の安全に関わる危険が高い場合、法律に定めがある場合、その人の支援に必要な範囲で、制度上、関係する担当者間の情報共有が定められている場合などです。
だからこそ、「たぶん大丈夫だろう」と想像で済ませるのではなく、例外も含めて確かめておく意味があるのです。
相談は、判断を丸ごと預けることではありません
相談するか、しないか。この二択で考えてしまうと、選択肢がとても大きなものに見えてしまいます。
けれど実際には、その間に、小さなステップを考えることもできるのです。
まず、相談の仕組みについて確認する。
その説明を聞いてから、今日どこまで話すかを決める。
今後の対応については、その場で決めずに持ち帰る。
相談というものも、よく分からないままいきなり飛び込むよりも、確かめてから少しずつ歩を進めていくほうが、その後につながりやすくなります。
さて、ここで私が大切にしていることをお伝えします。それは、相談される方がご自身の選択権を失わないということです。
相談の場面では、自分で決めてよいと言われてもなかなか自分では決められないという方に、たびたびお会いします。何かを選ぶことそのものに、あまりに慎重になってしまっているように見えることもあります。
ですのでなおさら、相談の中でも、ご自身で選び、決めていく部分を残しておくことが大切だと考えています。
もちろん、心理職や医師は、心理学や医学の専門的な知識や経験を、ある程度は持っています。
ですが、そこで示されるものもあくまで一つの見方です。専門職だからといって、絶対に正しいということはありません。
つまり、相談とは専門家や組織に判断を丸ごと預けることではないのです。
分からないことを確かめながら、何を話すか、何をまだ話さないか、次にどうするかを、自分でも考えていくために利用していくもの。私はそう考えています。
実際に尋ねるときは、これくらいで十分です
では、いざ相談に行かれたとき、まず手始めに仕組みを確認するには、どうお話しすればよいのでしょうか。
実は、これくらいシンプルで構いません。
詳しい内容を話す前に確認したいのですが、相談した内容は、誰にどこまで共有されますか。
今日はまず、相談した後の流れを教えていただくことはできますか。
もちろん、一言一句この通りでなくてかまいません。大切なのは、うまい質問を作ることではなく、内容を話す前に、情報の扱いと相談後の流れを聞いてもよいのだと知っておくことです。
とはいえ現実には、説明が分かりにくい相談先や、その後の流れが見えにくい相談先もあります。
また、もしあなたが以前相談したときに、気持ちを分かってもらえなかったり望まない助言を受けたりした経験があったなら、次の窓口へ向かうこと自体、躊躇してしまうかもしれません。
過去にうまくいかなかった経験が、その後に相談することをためらわせる要因になることは、援助を求める行動を考えるうえでも重要な点です。
そうした相談に対する警戒心があることを、単なる考えすぎとして自分の内側に抑え込まなくてよいのです。
確かめてから、話す範囲を選ぶ
説明を聞いたうえで、今日はここまでにする。もう少し考えてから相談を続ける。別の相談先も含めて考え直す。そういう選び方ができることもあります。
相談したい気持ちと、怖さが同時にある。その状態で、いきなりすべてをさらけ出さなくてもかまいません。
まずは、相談したら何が起きるのかを確かめる。そのうえで、話す範囲と、次の一歩を選ぶ。
分からないことを質問するということは、選択と決定というあなた自身の意思を保ったまま相談へ近づく、一つの方法なのです。
そもそも、「自分の状態は誰かに相談するほどなのだろうか」と迷っている場合は、相談を考える目安についてこちらの記事で整理しています。
