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世界一幸せな国は、なぜ「頑張らずに」サステナブルなのか

フィンランドについて、日本の方が知っていることは、たぶん1つです。「世界一幸せな国」。

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でも、もう1つ、あまり知られていない事実があります。2025年4月1日、ヘルシンキで最後の石炭火力発電所が止まりました。これで、街のエネルギーから石炭が消えました。実質的に、フィンランド全体からも消えたことになります。

「幸福度世界一」と「石炭ゼロ」。一見、関係のない2つの話に見えますよね。でも私たちからすると、実はこれは同じ1つの話なんです。今日はその根っこの部分を、お話しさせてください。

あるものを、ちゃんと使う

他の多くの国と比べて、フィンランドには派手なアトラクションやエンターテイメントが少ないかもしれません。あるのは、森と、湖と、木と水。それから、昔からそこにある建物と、私たちの住んでいる街。でも私たちは、それを「少ない」とは思っていません。静かで、ゆっくりで、余白がある。それが私たちの選んでいる豊かさです。しかも木と水しかないからこそ、あるものを無駄なく使い切ることが、自然と身についてきました。

Helsinki Partnersだからこそ、私たちは目の前にあるものを、ちゃんと使うことを覚えました。試行錯誤の上で。ちゃんと見て、ちゃんと味わって、長く付き合う。新しい何かを外に求めるより、今あるものと、うまくやっていく。もしかして、貧乏性と笑われちゃうかもしれません。

サウナで黙って熱に身を任せる。公園のベンチで、ただコーヒーを飲む。何かを足すのではなく、そこにあるものを楽しむ——それが私たちの「普通」です。たいしてお金もかかりませんしね。

でも、「幸福度世界一」の正体って、案外そういうことなのかもしれません。特別な何かがあるのではなく、そこに、あるものを大切にする毎日の積み重ね。目の前のものや、ことに、楽しさを見出す毎日。

そして実は、この価値観こそが、私たちのサステナビリティの出発点なんです。あるものを大切にする人は、自然も、資源も、街も、同じように扱いますから。もしかしたら、この辺り、日本とも似てるところはないでしょうか?

「意識が高い」のではなく、「普通」

フィンランドでは、サステナビリティという言葉は日常的に使われています。暮らしの中でも、職場でも、政治の場でも。でも、大切なのは言葉そのものではありません。具体的な習慣や選択が、毎日の生活に組み込まれていること。エネルギーを効率よく使う、資源を無駄にしない。誰かに言われなくても、当たり前にやっている。それだけのことです。

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たとえば、ペットボトルや缶。フィンランドでは1本ごとに10〜40セントのデポジット(預り金)が付いていて、スーパーの回収機に返すとお金が戻ってきます。返却率は9割を超えます。フィンランド人は平均して、年間400本ほどを返却している計算になります。誰も「環境のために頑張ろう」とは思っていません。返すのが普通だから、返す。それだけです。

中古品も同じです。誰かが使ったものを使うことに、抵抗がない。むしろ、長く使われてきたものには物語があって、ちょっと誇らしい。リサイクルセンターやフリーマーケットは、節約の場所ではなく、宝探しの場所です。

そして学校では、こうした感覚を、特別な授業としてではなく、日々の暮らしの一部として身につけていきます。

意識が高いのではありません。ハードルが低いんです。

ひょっとして、昔の日本がそうだったかもしれませんよね。

価値観が、ビジネスの意思決定になる瞬間

さて、ここからが本題です。この「暮らしの感覚」は、オフィスのドアの前で止まりません。そのまま会議室に入ってきます。あ、分かりにくいですね。つまり、仕事の現場でも活かされています、ということなんです。

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フィンランドの企業がサステナビリティへの意識が高いと言われるのは、経営者が特別に立派だからではありません(立派な人も、もちろんいます。笑)。理由はシンプルで、生活者も、従業員も、投資家も、みんなその「普通の感覚」を持って会社に来るからです。あるものを大切にしない会社は、選ばれない。働く場所としても、買う相手としても。取引先だとしても。

だから、意思決定が変わります。

例えば、素材の話。 フィンランドは、国土の約75%が森。ヨーロッパで最も「森の国」です。だから建てるなら木で、という選択が自然に出てきます。ヘルシンキのヤトカサーリ地区には「Wood City」と名付けられた木造の街区があり、その中心にある8階建ての木造オフィスビルには、世界的なゲーム会社Supercellが本社を構えています。木材の使用量では、フィンランド最大のオフィスビルです。木は育つ間にCO2を吸い、建材になってからも、それを蓄え続けます。このビル1棟の木材が蓄えるCO2は、乗用車600台の年間排出量に相当します。素材の選択は、コストの話である前に、価値観の話なんです。

エネルギーの話。 ヘルシンキの気候目標は、2030年までに1990年比で排出量を85%削減すること。次の目標は2040年のカーボンネットゼロで、自然の吸収源や除去技術が吸収できる量だけしか温室効果ガスを排出しない状態を目指しています。EUの目標より、20年早く。

国レベルでは、サステナビリティへの正しいアプローチをめぐる議論は、まだ続いています。でも、ヘルシンキに目を向けると、話は明快です。サステナビリティは、市議会の政治的アジェンダの中核に位置づけられています。市は、サステナブルなイノベーションを生み出す企業を積極的に支援しており、その一例が「Testbed Helsinki」です。都市そのものを実験場として、新しいソリューションの実証と展開を後押しする取り組みです。市自体がパートナーになるとき、変化のスピードは確実に上がります。

「もったいない」は、私たちの共通言語

ここまで読んで、こう思った方はいませんか。「それ、日本にも昔からあるのでは?」

その通りなんです。「もったいない」。あるものを大切にし、使い切り、無駄にしない。私たちのサステナビリティの価値観は、この一言に、ほとんど翻訳できてしまいます。フィンランド語には、「もったいない」にあたる一言がないんですけどね。そこは、「日本にやられた!」って思っています。

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しかも今、ヨーロッパの建築の世界では、日本の伝統技術が「最先端」として再評価されているのをご存知ですか。

たとえば、焼き杉。薬品を使わず、火だけで木の耐久性を高める技術です。ヨーロッパでは「Shou Sugi Ban」という名前で大人気で、ドイツやオランダには専門の供給会社まで生まれています。

茅葺きもそうです。北欧を中心に「茅葺きルネサンス」と呼べる再評価が起きていて、デンマークでは現代建築のファサード(外壁)として使うための研究が、国を挙げて進んでいます。屋根の上の懐かしい風景が、気候フレンドリーな建材の最前線になっている。そして、釘を使わずに木材を組み上げる「木組み」の技も、世界の建築家たちを魅了し続けています。これなんか、神社仏閣を作り上げてきた、素晴らしい日本の伝統技術ですよね。

昔からあるものが、これからのものになる。あるものを大切にしてきた知恵が、未来の答えになる。日本とフィンランドは、その感覚を最初から共有している、数少ない組み合わせだと思うんです。なにせ、フィンランドは国土の約75%、日本は約3分の2が森。お互いに森の国であり、自然と共に生きることを、古くから当たり前にしてきた国ですから。

もちろん、アプローチには少し違いもあります。日本のGX(グリーントランスフォーメーション)は、技術から入ることが多い。一方でフィンランドは、暮らしと価値観から入りました。どちらが正しいという話ではなくて——だからこそ、組み合わせると面白いんです。

私たちHelsinki PartnersがRegenerative Community Tokyo(RCT)とパートナーシップを組んでいるのは、まさにそのためです。それぞれが、お互いに「考えつかなかった」発想を持ち寄れる。日本の知恵とフィンランドの実装力、フィンランドの大胆さと日本の緻密さ——その組み合わせから生まれる気候フレンドリーな取り組みを、私たちは心から楽しみにしています。というより、私たちは日本、あるいはRCTの皆さんから「学びたい」のです。今のようなAI時代であっても、直接、人と人が会話し、協働することで生まれる価値は、やっぱり計り知れません。

頑張らないから、続く

サステナビリティは、我慢でも、義務でも、コストでもありません。少なくとも私たちにとっては、「あるものを大切にする」という、ごく普通の感覚の延長です。

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そしてその感覚は、たぶん、日本の皆さんの方がもともと持っているものではないでしょうか。

もしあなたの会社が、素材のこと、エネルギーのこと、あるいはもっと大きな「これからの事業のかたち」を考えているなら——一度、ヘルシンキの人たちと話してみてください。頑張らずにサステナブルな人たちとの対話は、思った以上に、肩の力が抜けますよ。

ヘルシンキでビジネスを始めるとはどういうことか、まずはこちらの「Why creativity is key to business growth in Helsinki」をご覧ください。

私たち、世界一幸せな国は、日本の皆さんを、心よりお待ちしています。一緒により良い世界を作って行きましょう。もちろん、我々自身が幸せになるやり方で。

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【私たちについて】

ヘルシンキ・パートナーズは、ヘルシンキ市が設立したマーケティング・投資・人材誘致を目的とした会社です。投資家、ビジネスプロフェッショナル、起業家、そしてビジターの皆様を、ヘルシンキにある様々なビジネス機会や可能性とマッチングしています。
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