背中で名乗る男
今年の2月、その日も確か雨だった。
朝のホーム乗車待ちの列、前の男性が着ている
ブルゾンの背中に、E.TAZAWA と大きくロゴ文字
が入っていた。
Y じゃなくて T。矢沢でなく田沢、田沢さんだ。田澤かもしれない。ひとまずどっちでもいい、
英語だし。
黒のベースボールキャップ、背は低めだけども、ガッチリ体型、後ろから見る限り特に永ちゃん
界隈の人っぽい匂いはしなかった。
単なるギャグ物なのか、ガチ本名のオーダー物か。どちらにしても永ちゃんファンなのだろう。
じゃEはどうなるの。
田沢英輔、 田沢瑛二、 田澤英太。
まさか田沢永吉。田沢ERICという混血もあり得る。
列車が入ってきた。
ここまで来ると顔を見たくなるのが私だった。
私ってとっても面倒くさいのだ。TAZAWAはなぜか混み合ってる左側の方へ進入、右後ろにいた私も無理矢理左方向に入るという迷惑でウザい乗客になりながらも好位置を確保、あとは右へ顔を傾けさえすればTAZAWAの顔が拝める位置をキープした。列車が動き出し、右上の広告を見るフリで首を捻る。
しかと真正面を見据えているTAZAWAの横顔があった。凝視した。
木村拓哉がもうきむらたくやでしかあり得ないように、もうたざわとしか言いようのないたざわ顔だったどんなっ どんんなっ
♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎
お立ち寄り感謝。みなさま良き週末を
