猛暑の今だから知っておきたい。経口補水液の正しい知識
今年の夏も、本当に暑いですね。
「水はちゃんと飲んでいるのに、なんだか頭が痛い…」
そんな経験はありませんか?
実は、それは水だけでは足りないサインかもしれません。
少し前、室内にいたにもかかわらず、
気づけば室温が30℃を超えていました💦
「なんとなく頭が痛い…」
最初は疲れかなと思っていたのですが、水だけ飲んでもなかなかすっきりしません。
そのとき思い出したのが、家にストックしていた経口補水液でした。
飲んだあと「やっぱり備えておいて良かった」と感じたんです。
もちろん、頭痛の原因はさまざまなので、すべてが脱水とは限りません。
それでも、この経験から改めて「経口補水液って、正しく知っておくことが大切なんだな」と感じました。
今回は、管理栄養士の視点から、
「経口補水液はどんなときに飲むものなのか」
「スポーツドリンクとの違い」
「意外と知られていない正しい飲み方」
について、できるだけ分かりやすくお話ししていきます。
少し大げさに聞こえるかもしれません。
ですが、経口補水液を正しく使うことが、命を守ることにつながる場面もあります。
「知っているかどうか」で対応が変わることもあるため、ぜひ最後まで読んでみてください🙂↕️
そもそも、経口補水液ってどんな飲み物?
今ではスーパーやドラッグストア、コンビニでも見かけるようになった経口補水液。
でも、ほんの10年ほど前までは「病院で飲むもの」「医療用」というイメージが強かったように思います。
実際、私もそうでした。
「スポーツドリンクがあれば十分かな。」
そんなふうに思っていた一人です。
ところが、近年は災害級ともいわれる暑さが続き、熱中症への意識も大きく変わりました。
その流れとともに、経口補水液も私たちの身近な存在になってきたわけです。
ただし、一つ知っておいてほしいことがあります。
経口補水液は、"暑い日はとりあえず飲めばいい飲み物"ではありません。
実は、飲むタイミングがとても大切なんです。
「飲む点滴」という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれませんね。
経口補水液(ORS)は、水分だけでなく、塩分(ナトリウム)や糖分をバランスよく配合し、発熱や下痢・嘔吐、熱中症の初期症状など、脱水時に失われた水分や電解質を効率よく補給できるよう考えられた飲み物です。
そのため、日常的な水分補給として毎日飲むものではなく、脱水が疑われる場面で活躍する飲み物なんですよね。
「スポーツドリンクと何が違うの?」と思われる方も多いかもしれません。
スポーツドリンクは、運動中や運動後の日常的な水分補給に飲みやすいように糖分が多く、塩分は控えめです。
一方で、経口補水液は脱水時の水分・電解質補給を目的として作られています。
スポーツドリンクより塩分(ナトリウム)やカリウムなどの電解質が多く、糖分は控えめに設計されているため、小腸で効率よく吸収しやすいとされています。
なぜ、水だけでは足りないことがあるの?
汗をかくと、失われるのは水分だけではありません。
塩分(ナトリウム)やカリウムなどのミネラルも、一緒に体の外へ出ていきます。
人の体は約60%が水分でできているといわれ、血液や汗には約0.9%のナトリウムが含まれています。
そのため、大量に汗をかいたあとに水だけを補給すると、水分は補えても、失われた電解質までは十分に補えない場合があります。
結果、頭痛やだるさ、立ちくらみなど、脱水に伴うさまざまな不調につながることもあります。
そんなときに、経口補水液が役立つ場面があるというわけです。
正しい飲み方と注意点
経口補水液は、脱水時の水分や電解質の補給を目的とした特別用途食品(病者用食品)です。
そのため、「たくさん飲めば良い」というものではなく、必要な場面で正しく飲むことが大切なんですね。
飲むときは、一気にゴクゴク飲むのではなく、5〜10分おきに50〜100mLを目安に、少量ずつこまめに飲みましょう。
嘔吐がある場合は、さらに少しずつ時間を空けながら飲むのがおすすめです。
また、冷たすぎるものは胃腸への負担になることもあるため、常温〜少し冷たい程度が飲みやすいとされています。
一方で、脱水症状のない健康な方が日常的に飲むことはおすすめできません。
経口補水液は塩分や糖分が含まれているため、普段の水分補給は水や麦茶、運動時にはスポーツドリンクなど、場面に応じて使い分けることが大切です。
高血圧や糖尿病、腎臓病などで塩分や糖分の制限を受けている方は、使用前にかかりつけ医へ相談してくださいね。
「おいしい=脱水」は本当?
「経口補水液がおいしく感じたら脱水、不味く感じたら健康」という話を耳にしたことがある方もいるかもしれませんね。
確かに、水分や塩分が不足していると、いつもより飲みやすく感じることはあります。
ただし、これだけで脱水かどうかを判断できるという医学的な根拠は十分ではありません。
味の感じ方は、その日の体調や飲み物の温度、りんご風味などのフレーバーによっても変わるためです。
脱水かどうかは、味ではなく体からのサインを確認することが大切です。
◆味よりも確認したい「脱水のサイン」
次のような症状がある場合は、脱水の可能性があります。
✅ 尿の色が濃い黄色〜茶色っぽい
✅ 半日以上トイレに行っていない
✅ 強い喉の渇きや頭痛、だるさ
✅ めまい・立ちくらみ
✅ 口や肌の乾燥
✅ 汗をかいているのに手足が冷たい
このような症状がみられる場合は、状況に応じて経口補水液で水分や電解質を補給することが役立つ場合があります。
症状が強い場合や改善しない場合は、早めに医療機関を受診してくださいね。
どんなシーンで活躍する?経口補水液の出番はこんな時
「暑い日は、とりあえず経口補水液を飲んでおけば安心。」
そんなイメージを持っている方もいるかもしれません。
でも実は、経口補水液はすべての場面で必要なわけではありません。
管理栄養士としても、「水や麦茶で十分な場面」と「経口補水液が役立つ場面」を知っておくことが大切だと感じています。
◆経口補水液がおすすめされる場面
・部活動やスポーツ、ジム、水泳のあとに、強いだるさや頭痛、足がつるなどの症状があるとき
・炎天下での外仕事や農作業、営業などで大量の汗をかいたとき
・登山やアウトドア、海などで熱中症の初期症状がみられるとき
・暑い車内などで長時間過ごし、ぐったりしているとき
・発熱や下痢、嘔吐などで水分や電解質が失われているとき
一方で、
◆普段の水分補給ならこちらで十分
・通勤
・通学
・家事や料理
・園芸
・軽い散歩やジョギング
・エアコンの効いた室内で過ごすとき
このような場面では、水や麦茶、運動量に応じてスポーツドリンクなどで十分なことが多いでしょう。
上記の場面でも脱水の症状がみられたら、経口補水液の検討が必要な場合もあります。
なお、水泳は汗をかいていることに気づきにくく、意外と脱水になりやすいといわれています。
プールや海から上がったあとに、だるさや頭痛を感じたら注意したいですね。
子どもや高齢者は特に注意
子どもは体が小さいため、大人よりも脱水が進みやすいとされています。
経口補水液は乳児から使用できるものもありますが、生後3か月未満の乳児や持病がある場合は、事前に医師へ相談してください。
赤ちゃんや小さなお子さんには、一度にたくさん飲ませるのではなく、スプーンやベビースポイトで少量ずつ、5〜10分おきに飲ませるのが基本です。
液体が苦手なお子さんには、ゼリータイプが飲みやすいこともあります。
なお、水やジュースで薄めてしまうと、本来の電解質バランスが崩れてしまうため、そのまま飲ませるようにしましょう。
高齢者も注意が必要です💡
介護施設で働いていると実感しますが、高齢になると喉の渇きを感じにくく、「トイレが近くなるから」と水分を控えてしまう方も少なくありません。
そのため、室内でも自覚のないまま脱水になる「かくれ脱水」が起こることがあります。
飲み込む力が弱くなっている方には、ゼリータイプを選ぶと飲みやすい場合があります。
また、一度にたくさん飲むよりも、手の届く場所に置いて少しずつ飲んでもらうほうが続けやすいですね。
高血圧や心臓病、腎臓病などの持病がある方は、使用前にかかりつけ医へ相談してください。
◆市販品がないときは手作りも
災害時や外出先など、市販の経口補水液が手に入らない場合には、自宅で作る方法もあります。
・水:1L
・砂糖:40g
・塩:3g
これをよく混ぜ、好みに応じてレモンなど柑橘類の果汁を少量加えると飲みやすくなります。
ただし、手作りの経口補水液には保存料が入っていません。
作り置きはせず、その日のうちに飲み切り、残ったものは処分するようにしましょう。
最後に
管理栄養士として、毎年夏になると
「もっと早く知っていれば、防げたかもしれない。」
そう感じる場面に出会うことがあります。
この記事が皆さんや大切なご家族を守るきっかけになれば、とてもうれしいです。
今年の夏も、まだ暑い日が続きそうです。
パウダータイプやゼリータイプを一つストックしておくだけでも、いざというときの安心につながるかもしれません。
備えは、使わずに夏を終えられることが一番です。
だからこそ、正しい知識を身につけ、もしもの時に慌てず行動できるよう備えておきたいですね。
暑さを我慢しすぎず、水分補給と休息を上手に取りながら、この夏を元気に乗り切りましょう😊
