「ひゃくえむ。」が教えてくれた、ロトスコープという技法の魅力
はじめに
先日(9/19)公開されたアニメ映画『ひゃくえむ。』を9/20に観てきました。
正直、それまでロトスコープというアニメの技法にあまり良い印象を持っていませんでした。「実写をトレースしてるなら、もう実写でいいのでは?」と違和感を覚えることが多かったからです。
ところが『ひゃくえむ。』では、そのイメージが一変しました。ロトスコープが“部分的に”使われていて、むしろ作品の臨場感や迫力を引き立てていたのです。
本記事では、映画をまだ観ていない方に向けて、ロトスコープとは何か、そして『ひゃくえむ。』でどう活かされていたのかを紹介していきます。
👇️🎦ひゃくえむ。1分43秒の動画
ロトスコープとは?
ロトスコープとは、実際の人物や物の動きを映像として撮影し、その上からアニメーションを描く技法のことです。
メリット:リアルな動きを再現できる
デメリット:アニメ特有の誇張表現が薄れ、「中途半端に実写っぽい」と違和感を与える場合がある
アニメの世界観に馴染まなければ、「わざわざアニメで描く必要があるのか?」と思われがちなのが、この手法の難しさでもあります。
『ひゃくえむ。』でのロトスコープの使い方
『ひゃくえむ。』では、全編がロトスコープというわけではなく、走るシーンやスタート前の動作など、要所でのみ導入されています。
特に印象的だったのは、雨が降る中100m走のスタートラインに選手たちが立つ場面。
アナウンスで名前を呼ばれた選手が一歩前に出てお辞儀する――そのわずかな所作が、とても自然で、まるで本物の大会を目の前で見ているかのような緊張感を与えてくれました。
そして全力疾走シーンでは、静から動へ一気に空気が切り替わり、観客の心拍数まで上げるような迫力がありました。ロトスコープのリアルさが、ここで抜群に効いていたと感じます。
ロトスコープが成功した理由
ロトスコープは「多用すると違和感」「部分的なら効果的」とよく言われます。
『ひゃくえむ。』はまさに後者で、作品のテーマである“走る”という行為にフォーカスして使われていました。
結果として、
実写以上に熱さを感じさせる演出
未経験者でも「これが100m走なんだ」と実感できるリアリティ
が生まれていたのです。
まとめ
ロトスコープはアニメ表現において賛否が分かれる技法ですが、『ひゃくえむ。』ではその可能性を見事に引き出していました。
スポーツに馴染みがなくても、観る人に“走る前の緊張”や“疾走の迫力”を体感させてくれる。そんなアニメならではの力を、ロトスコープが支えていたのだと思います。
映画をまだ観ていない方も、「ロトスコープって何?」という視点で観ると、また違った楽しみ方ができるはずです。

