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“外国人優遇”って本当?SNSで流れるデマを紐解いていく

昨今の外国人に対する排外主義的なSNSの論調を見て強い危機感を持ったので、検証を兼ねて書いてまいりたい。

というのも「日本人ファースト」「日本のルールが守れない外国人は出ていけ!」という排外的な言説がSNSで目立つようになり、世論全体が危険な方向に傾き始めたからだ。

本来であれば、こうした言説は国が然るべき対応を取ってほしいのだが、逆に「外国人優遇策の見直し」などを強調する政党が乱立する有様で、日本への移住者を支援するNGO団体(265団体が賛同)が「排外主義」に対する緊急の共同声明を出すに至った(参照:https://migrants.jp/news/voice/20250708.html)。

外国人である彼ら・彼女らは慣れない日本にやってきて、日本語を学びながら仕事をし、日本の税制に従って税金を払って生活をしているし、日本人が敬遠するいわゆる「3K仕事」に就いてくれている人もいる。

さらに言えば、日本に定住しているほとんどの外国人は日本に溶け込もうと努力している。

個人的には職場に外国人が多く居て、普段から接していることもあるが、基本的に彼ら・彼女らは物凄く優秀だ。そして、凄く努力をしている。

中には3言語を操るトリリンガルながら、日本人でも間違えがちな敬語を正しく話せるし、日本語の資料作成も確実にこなすことができる人もいることも事実だ。

そんな周囲の外国人たちを思うと、最近のSNS等でのいわゆる「排外主義」的な言動が見過ごせなくなってきた。



「ルールやマナーが守れる外国人だけ来てほしい」という意見もSNSでよく見かける。

一見、正当性があるように見えるが、よそ者に対する無意識の差別と「受け入れてやっている」という傲慢さが見え隠れしているように思われてならない。

昨今の世論、SNSでの攻撃的な書き込みを見たら、日本に興味があって、日本に移住してみたいと考えている「まともな外国人」ほど来なくなるのではないか。

逆の立場で考えてみていただきたい。

「うちの国のルールやしきたりが守れない国の奴らは来るな」とSNSなどで書き込む人間がいる国に行きたいと思うだろうか。

仮にそうした書き込み等を見かけたら、読者の方もきっと幻滅するに違いない。とても移住や観光で訪れようとは思えないはずだ。

同じようなことがこの場合も言える。

日本語が読めて、日本のことを知ろうとしてくれている外国人ほど、そうした言説が目に入ってしまうのではないか。

もし、今の言説を目の当たりにしたら日本が好きで日本語を学んで、日本に住みたいと思っている「まともな外国人」ほど来なくなるに違いない。

昨今の排外主義的な言動は「まともな外国人」をも攻撃してしまっているというのをよく考えていただきたいと思う。

とは言え、感情論だけではどうしようもないので、

昨今の「外国人が優遇されている」という言説は本当なのか、手元で調べられる情報を整理してまとめていきたい。

前置きが長くなったが、ここからが本題です。


まず、検索してすぐに出てきた記事なのだが、ここ最近のNHKの世論調査を見ると、6割以上の人が「日本社会では外国人が必要以上に優遇されている」と回答している。
(参照:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250628/k10014845481000.html)

世論もここまで来たかという印象を私は持った。

また、「中国人の留学生はおよそ1000万円の留学支援があって、日本人よりも優遇されている」という意見もよく挙げられる。

本当であれば相当な優遇策だが、これも本当だろうか。

この制度は「博士課程後期の学生に向けた文部科学省の支援制度「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」のこと」であって、生活費や研究費として年間で”最大”290万円の支援が受けられるため、これが意見の裏付けになっていると考えられる。

しかしながら、これは学生の中でも博士課程(マスター)に進んだ優秀な学生が受けられる制度で、留学生だけでなく日本人も受けることができるものだ。必ずしも外国人優遇策ではない。

記事によれば「2024年度の実績では対象となった1万564人のうち、およそ6割にあたる6439人が日本の学生」だったということだが、制度の対象となった「およそ4割にあたる4125人が留学生、そのうち3151人と最多だったのが中国籍の留学生」だったというだけであり、これは世界人口の比率から見ても、それくらいの人数になるのは自然だろう。

世界の大学ランキングを見ても、日本の東大や京大を差し置いてトップ100の上位に来ているアジア圏の大学(中国・香港・シンガポール等)が複数あるので、決して優遇されて来日しているのではなく、純粋に優秀な留学生が来ているとみて妥当ではないかと思う。
(参照:https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/latest/world-ranking)

さらに、制度の要綱(ルール)を見てみると、お金の流れとしては、国からの助成金が事業の主体となる大学へ、そこから学生へとなっている。直接外国人を支援しているわけではない。

しかも事業の再委託も不可で、不正利用をさせないためのガイドラインも設けられているので、余計なことに使われないよう、かなり厳重な制度設計がされている(令和3年の施行なのに、もう3回も改訂している)。

この制度だけで言えば、大学が認めた「選抜学生」だけが受けられるものであるため、この制度を指して「誰かが優遇されている」と言うのは、かなり無理があると言わざるを得ない。


しかし、残念ながら、ここ最近の世論を受けて、国会では留学生に関しては生活費の部分を「日本人の学生のみ」にする方針を取った。

確かに世論は一定の納得感があるかもしれないが、これによって「学力はあるが、家が太くない外国人留学生」は来られなくなるのは現実として起こり得ると思う。受け取る側によっては「貧乏人は来るな」というメッセージと捉えるかもしれない。

これもよく言われるものであるが、「特定の国の留学生が優遇されているのではないか」という意見についても、調べてみよう。


調べてみると、上の制度とは別に、国費(つまり国からのお金)で支援される外国人留学生は確かに存在している。

だが、誰でもOKという制度ではなくて、各国の日本大使館で行われる試験に合格したり、各国の大学で優秀な成績を修めた学生を対象としていて、ただ日本に来るだけで受け取れるような支援というものではない。

また、単純に留学したからといって受けられるような支援制度はこちらの調べでは見受けられなかった。

さらに言えば、国費が受けられる留学生は33万人以上いるうちの9300人となり、留学生全体から見れば、たったの3%以下である。

「国籍別に、多い順にインドネシア(1163人)、ベトナム(619人)、タイ(618人)、中国(617人)」であり、よくSNSで散見される「特定の国(主に中国)の人が優遇されている」という意見を裏付ける結果にはなっていない。

こちらもデータを見る限りは制度を悪用されたり、特定の外国人を優遇しているとは言えないものだった。

ここまでは留学生に特化して見てきたが、就労目的で来日する外国人に対してはどうだろうか。



検索してみると、公的な機関としては、外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)が就労目的の外国人を支援している他、外国人を雇用したい企業の支援をしているが、わかりやすい金銭的な援助についての特段の記述は見つけられなかった。

むしろ、就労で困った外国人に対する施策を見てみると、各県の福祉協議会に連携する形になっていて、日本人と同じように公的な支援を求めるか、ハローワークで仕事を探すような動線になっている。

HPを見ると、外国人に向けて各制度の内容が「やさしいにほんご」で書かれているが、単純に複雑な日本の福祉制度に「よみがな」を振っているだけで、外国人にどこまで理解できるかは疑問だ。

外国人労働者の雇用に対する助成金(「人材確保等支援助成金」など)もあるが、これも外国人に直接支払われるわけではなく、あくまで企業に対して支払われているので、外国人に対する優遇策とは必ずしも言えない。

外国人を優遇するかはむしろ企業側に委ねられているので、働いている外国人がどうこうできるものではない。

また、就労に関する法律でも「国籍による差別をしてはならない」という規定があるのを忘れてはいけない。悪名高き「技能実習制度」については言うまでもないだろう。

日本における永住権の取得も「高度専門職」に就いている場合を除いては10年という時間が必要になる。

制度としては他国よりも厳格なルールとなっていて、同じアジア圏であれば、東南アジアのマレーシアやタイの方がよほど永住権が取得しやすい。


SNS等でよく見る「某国の人は簡単に生活保護が受けられる」云々についても一応触れておこう。


外国人で生活保護の対象となるのは永住者、定住者、日本人の配偶者で在留資格を持つ人に限られている。

仮に申請したとしても、在留資格や資産について国や役所からの調査が入るので、日本に就労で来た外国人がすぐに受けられるようなシロモノではないというのは強調しておきたい。

2010年に大阪で起きた某国の人々が集団で生活保護を受給した問題についても簡単に触れておく。

内容としては、件の人々が残留日本人孤児の親戚の世話をする「定住者」として来日し、集団で生活保護の申請をしたことが後に発覚し、管理局などの再調査を経て全員の支給がストップされたというもの。

この問題を調べてみると、入国管理局の審査審査を通過したのだから、と行政側が申請を認めてしまったこと実態調査の権限が自治体に無かったことが重なって起きた事案であるとわかる。

こちらも然るべき措置が取られていて、行政と入国管理局による調査の末に全員が受給を辞退している。

その後、ルールの見直しが入り、審査も厳格化し「入国してすぐに生活保護を申請する」ことは現実的には有り得ない状態になっている。

個人的には、国内の生活保護需給対象の捕捉率が20%に留まっていることの方が問題かと思う。


ということで、最後の方は駆け足になってしまったが、手元で調べられるものをまとめてきた。



正直、調べるほどにむしろ「日本は外国人に厳しい国」だと思わざるを得なかった。

少なくとも憶測で「外国人が悪知恵を働かせてズルをしている」などと、例えネットでもつぶやくのはお止めになった方が身のためである。

あの人はレイシストだという印象を与えるだけでなく、「正しい情報か調べもせずに感情的にSNSで発信してしまう人」というレッテルを貼られてしまうことになる。

もしかすると、「お前、外国人に酷い目に遭わされても同じことが言えるのか?」とおっしゃる方もいるかもしれないが、現在のところ、私の周囲の外国人は私を脅かすように思えない。

仮にそうした事案に巻き込まれて、心境の変化などがあった場合は私自身からしっかりとお伝えしてまいりたい。

少なくとも私が会ってきた多くの外国人は日本が好きで、日本人よりも日本の文化を深く愛してくれる人ばかりである。

他にも思うことは多々あるが、

こうした厳しいルールを乗り越えて、日本に来てくれる外国人や働きに来る外国人に「出ていけ!」なんて言葉を言う人が信じられない思いでいっぱいだ、というのをご理解いただきたい。


私は差別や排外主義には反対。

改めて表明して、〆させていただく。

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