「フィジカルAI」は「生成AI」や「AIエージェント」の『次』なのか?
はじめに
以下のような記事がありました。
世はまさに「フィジカルAI」時代。特に「工場で人型ロボットが作業している絵」は非常にインパクトがあり、「フィジカルAIが日本の労働力不足を救い、製造業復活のきっかけになる」といった内容の記事は至る所で見かけるようになりました。
しかし、ちょっと待ってほしいのです。
少し前まで、このフィジカルAIの部分を言い換えた
生成AIが日本の労働力不足を救い、製造業復活のきっかけになる
AIエージェントが日本の労働力不足を救い、製造業復活のきっかけになる
と言っていたような気がします。
果たして、「フィジカルAI」は「生成AI」や「AIエージェント」の次なのでしょうか? 「生成AI」などを導入した企業は、次に「フィジカルAI」を導入しないといけないのでしょうか? 今回はそのあたりについて深堀していきます。
何が「次」なのか?
結局のところ、何が「次」なのでしょうか?
適用範囲が「次」
以前紹介した記事で、以下のような記述がありました。
さて、本当の問題は、AIはこれからどこへ向かうのかということです。AIは多様な⽅向性を持つ動的な技術です。⾰新的な取り組みの⼀つに、問題に対応するだけでなく主体的に⾏動するAIへの根本的な転換を⽰すAIがあります。もはや単にメールを書く⼿助けをするのではなく、「今⽇の受信箱を管理してほしい」と頼む時代です。 アクセンチュアのような腕を持つAIエージェントは私たちの代わりに⾃律的に⾏動し、AIを単なるツールからテレビのような存在へと変えています。(講演内容より)
つまり、これまではAIが業務の一部分におけるサポートツールであったところが、AIがタスクごと請負い、判断・提案・行動まで行う存在になってきている。そして、DXの時代ではソフトウェアやシステムが中心であったところが、フィジカルAIの登場によって、その影響範囲を広げていることが伺える。
これまでAIを利用できる状況は、メールやPCを使った業務が多かったのですが、フィジカルAIという技術が確立されることで、その影響範囲がリアルの世界に広がってきました。その形態は、たとえば工場のロボットであり、たとえば自動運転の車であったりするのです。
入力方法が「次」
さて、フィジカルAIで注目すべきところはもう一つあります。それはAIへの入力が、これまでと違うという点です。
従来はロボットに最適な行動を取らせるためには人間がプログラムで制御する必要があったが、音声による自然言語入力とマルチモーダル化した生成AIを組み合わせることで、誰でも容易にロボットを操作できる環境が整いつつあるといえる。ロボットを応用できる分野も劇的に拡大するだろう。
いまフィジカルAIが注目されるのかの本質は、実はこちらなのではないかと考えています。すなわち、従来ロボットなどへの入力は「ロジカルで厳密なプログラミング言語」が必要だったのに対し、いまや
「あいまいさが残る自然言語」でも可能になった
という点が大きな進化なのです。
もちろん、これを実現させたのが生成AIという技術ですから、「生成AIの次にフィジカルAIがある」と書かれるのは正しいのです。ただ、これは生成AIという技術を利用して、ロボットへの指示が簡単になったということにすぎず、結局のところAIの適用先がPC上から現実世界になったということを言っているにすぎないのです。つまり、「生成AIのツールを導入したから、次はフィジカルAIで何かをしなければならない」とか、そういった話ではないのです。
おわりに ~ 「○○で何かやれ」という話はもうやめにしませんか
今回は、「フィジカルAI」は「生成AI」や「AIエージェント」の『次』なのか? という題名で、考えてきました。
フィジカルAIが広まるきっかけに、生成AIという技術があったことは事実です。しかし、それはロボットなどへの入力をプログラミング言語から自然言語に置き換えるための手段としてであり、あくまで
AI技術の適用先がPC上からリアル世界になったと言っているにすぎない
のです。「AIがカラダを持った」ということは特筆すべきですが、あくまでAIは技術ですので、それを使ってどんなことを成し遂げたいのか?がないと、ただちに導入するということにはならないと考えています。
ただし、この背景が理解できていないと、技術を理解しないタイプの経営層などでは誤解が生まれる表現であるとも考えています。(わざと誤解させようという文脈もあるのかもしれませんが…)
(おわり)
いいなと思ったら応援しよう!
「イイネ」してくれたり、フォローしてくれると嬉しいです。要するに、どんなことでも嬉しいです。