映画を観た記録100 2025年7月12日 サミュエル・フラー『最前線物語』
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戦争映画では、サミュエル・フラーは初期の『鬼軍曹ザック』のころと構成的には違いはない。キャラクター設定が「鬼軍曹」が小部隊を転戦する話であり、『鬼軍曹ザック』は朝鮮半島だけであったのが、『最前線物語』では欧州戦線である。
シシリアで、自走砲の情報を教える代わりに、母親の死を葬るための棺桶を手に入れてほしいと子供から取引され、棺桶が到着するまでのエピソード、精神病院で精神病院患者に扮した女スパイのエピソード、チェコスロバキアでユダヤ人絶滅収容所で出会ったユダヤ人少年の話、詩情あふれるエピソードが、戦場で死者が洪水のようにあふれでるシーンを救っている。
だが、しかし、若い兵士が、パイプ爆弾の設置に恐怖のあまり動けなくなり、リー・マーヴィン演ずる鬼軍曹は、後ろから鉄カブトをめがけて撃つのである。鬼の怖さも描いている。それが戦争なのだろう。
大量な製作費をかけた『地獄の黙示録』、『プライベート・ライアン』などの作品より、戦争での真実を描いているのは『最前線物語』である。『地獄の黙示録』や『プライベート・ライアン』などは戦争をスペクタルにしか描いていないのである。しかし、サミュエル・フラーの「倫理」は戦争をスペクタルとして、「悲惨」の中の「人間」を描いているのであり、それはサム・ペキンパーの『戦争のはらわた』、イーストウッドの『硫黄島からの手紙』などにも通じる「詩情」である。
