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「対話」(その1)~ 年輪を重ねるほど、大切にしたいこと

コーチングのテーマとなることが多い「重要だけど緊急でないこと」の典型は、
キャリアプランです。特にシニア年齢を迎える時期への漠たる不安が多いことを知り
そんなお悩みに向き合ってみました。株式会社ドリームパイプラインの安藤秀樹です。

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年齢や経験を重ねるといつのまにか身についてしまう、注意すべきクセがあります。
話の途中で「で、結論は?」と先を急いでしまう。
相手が話し終える前に、答えがわかった気になってしまう。
若い人の意見に、つい「いや、それはね」とかぶせてしまう——。

身に覚えがあるのは、私だけではないと思います。
経験という財産は、ときに「もう聞かなくてもわかる」という油断を生みます。
そしてその油断こそ、周囲から「傲慢な人」「上から目線の人」と見られてしまう、入り口なのかもしれません。

厄介なのは、本人にまったく悪気がないことです。
むしろ「良かれと思って」結論を先回りし「親切のつもり」で助言を被せている。
長年の経験に裏打ちされた自信が、知らず知らず、相手の話す余地を奪ってしまう。
若い頃には決してしなかったような振る舞いを、立場や年齢を得た今、無意識にやってしまう・・・。
そんな自分に、ふと気づいてヒヤリとすることが、私にもあります。

これから数回にわたって「対話」というテーマでお話ししていきます。
シニア世代の方、そしてこれからシニア世代を迎える方にとって、傲慢で上から目線の年長者にならないために、大事にしたい考えのひとつが、この「対話」だと、改めて感じているからです。
気負わず、肩の力を抜いて、お付き合いいただければ幸いです。


「〇話」と「〇論」

「〇話」や「〇論」という言葉の〇に入る漢字で、コミュニケーションの意味は大きく変わってきます。
閑話、対話、議論、口論、争論、弁論、討論……。
無駄話である閑話はともかく、多くの場合、これらのコミュニケーションが向かう先は「結論」です。

私たちの周りで、結論に至るために最も多く行われているのは「議論」ではないでしょうか。
「議論の結果、これこれの結論に至りました」と。

実は「対話」は、この議論を始める前のコミュニケーションとして、とても大切なものです。

議論が始まる前、双方、あるいは複数の発言者にとって必要なのは、お互いが自分の考えをオープンに話し、共通点や相違点を認識するフェーズです。
相手の意見を素直に聴くことで、気づきや、新しいアイデアも生まれます。

「素直に聴く」ということ

「素直に聴く」とは、相手の話に即座に反応して、意見を挟んだりしない姿勢のことです。

「そうかぁ、そういう考え方なんだ」
「そういう背景があるから、そう思うんだ」
「自分とはこの点で考えが違うようだな」
「こういう観点では、どう考えているんだろう」・・・。

まずはお互いに相手の意見へ耳を傾け、相手を理解する心構えで会話をする、ということです。

言葉にすると簡単そうですが、これがなかなか難しい。
相手が話している最中に、頭の中ではもう「いや、それはこうだ」と反論を組み立てている。
そんな経験は、誰しもあるのではないでしょうか。
聴いているようでいて、実は次に自分が話すことを考えている。
これは「素直に聴く」とは、似て非なるものです。

この「対話のフェーズ」を最初に設けることで、その後に続く「議論」は、ぐっと建設的なものになってきます。

「対話」を省いて「議論」に突入すると・・・

議論は、言うまでもなく、異なる考え方を、行動につながる一つの方向へと位置づけるための話し合いの場です。

感情的にならず、客観性や合理性に視点を置いて話し合うことが求められます。

ところが、相手の考えの背景を理解しないまま議論に臨むと、短絡的な判断や思い込みから、相手の発言の本質を見誤ることがあるんですね。
すると相手も「こいつ、全然わかっていないな」という感情が働き、説明が雑になったり、逆にこちらの話を聴かずに「次はどう論破してやろうか」と身構えたり・・・。

こうなると、客観性や合理性は次第に遠のき、最後は何も生み出さない「口論」へと突入しかねません。

経験を重ねた者ほど、つい対話を飛ばして、自分の結論から語り始めてしまいがちです。
「結論から言うとね」が口ぐせになっていませんか?
相手がまだ考えをまとめている途中なのに、先に答えを置いてしまっていないですか?
「この点について議論しよう」と持ちかけられたら、ひと呼吸おいて、「では、まず対話から始めようか」と導いてみる。
その余裕こそ、年輪を重ねた人の品位なのだと思います。

そして何よりも、対話から入る人は、相手にこんなイメージを持たせます。
「この人は、ちゃんと自分の話を聴いてくれる」と。

傲慢さの対極にあるのは、立派な肩書きでも豊富な知識でもなく、案外、この一点なのかもしれません。

次回は、その対話を妨げてしまう「弊害」について、お話しします。

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