スノーピーク都城キャンプフィールドで夫婦ふたりの雨キャンプ(宮崎県都城市)
三連休の後半二日、子どもたちが妻の実家に泊まりに行くことになり、妻と二人でキャンプに出かけることにした。遠出をすると移動だけで疲れてしまうので、今回は県内で探すことにした。とはいえ、気になるキャンプ場はほとんど行き尽くしている。どこか新しく開拓したいのだが…
そんなとき、「スノーピーク都城」を思い出した。スノーピークのユーザーでもあり、ブランド自体も好きなので、以前から気にはなっていた。ただ、正直に言えば、整備されすぎたキャンプ場にはあまり惹かれない。キャンプではできるだけ人目を避け、静かに過ごしたいタイプなので、人気があり人の多い場所はどうしても候補から外れてしまう。ましてや県内初のスノーピーク直営キャンプ場ともなれば、なおさらだ。
しかし、オープンから二年弱が経ち、あれほど盛り上がっていたキャンプブームも落ち着いてきた今なら、もしかするとゆったり過ごせるのではないか。そんな淡い期待を抱き、今回は思い切って行ってみることにした。
都城市内の大型スーパーで買い出しを済ませ、スノーピーク都城のある都城市関之尾町へ向かって車を走らせていると、ぽつぽつと雨が降り始めた。雨の設営には慣れているので、それ自体はそれほど気にならない。だが、空が光り、雷が鳴り始めると、さすがに少し不安になる。これは、ちょっと危ないのではないか——そう思いながらも、もうすぐ到着する距離まで来ていたので、とりあえず受付だけでも済ませようと管理棟へ向かった。
オシャレな外観の管理棟に入ると、いかにも“スノーピークらしい”雰囲気のスタッフさんが、丁寧に迎えてくれた。アップルストアの店員が、いかにもアップルストアの店員らしい空気をまとっているのと同じで、スノーピークのスタッフもまた、どこまでもスノーピークのスタッフだ。清潔感と落ち着き、そしてどこか余裕のある笑顔。
天候への不安を伝えると、すぐにスマートフォンで予報を確認し、「夕方には回復しそうですね」と穏やかに教えてくれた。もちろん、天気予報は事前にチェックしている。それでも、この空間で、この人にそう言われると、不思議と「きっと大丈夫だろう」と思えてくるから面白い。
というわけで、チェックインを済ませる。管理棟から車で数分のキャンプフィールドへ移動した。
オフシーズンらしいとはいえ、三連休の後半ということもあり、サイトは半分ほど埋まっている。スノーピークの大型シェルターやテントが整然と並んでいる。

雨が降る中、びしょ濡れになりながらテントを張る。慣れているので、タープはすぐに設営できるが、雨は次第に激しくなっていった。さすがにこれ以上続けるのは厳しいので、一旦タープの下で雨宿りをすることにした。


鳥もびしょ濡れになりながら、川の中を歩いていた。

キャンプ場からは、関之尾滝(せきのおのたき)が見える。幅約40m、落差約18mの大滝で、もともと風情を楽しむというよりは、轟音とともに飛沫をあげる迫力型の滝だ。その日は雨の影響もあり、水量が増していて、いつも以上に勢いを感じた。

雨が激しく地面を叩きつける。
タープの上に落ちる雨粒の音も、次第に細かなリズムから、重く荒々しい打撃音へと変わっていった。どうなることやら…
雨キャンプは嫌いではなく、むしろ大好きだが、設営前に土砂降りになってしまうと、なかなか肝心なキャンプを始められない。

夕方になり、ようやく雨が小ぶりになってきた。さっきまでテントの中で様子をうかがっていた周りの人たちも、一斉に外へ出てきた。

このタイミングを逃さず、ささっとテントを設営した。


ようやくキャンプを開始できる。
落ち着いて周囲を見渡してみると、スノーピーク都城キャンプフィールドは、思っていたほど「整備されすぎたキャンプ場」という印象ではなかった。サニタリーはホテル並みに綺麗だが、サイト自体はテントが快適に張れるよう最低限きちんと整えられているだけで、余計な設備はほとんどない。過度な装飾も、無駄な人工物もない。
昭和のオートキャンプブームの頃に作られたキャンプ場には、サイトの境界に植栽があったり、番号標識がやたらと凝った造りだったり、バーベキュー台や固定テーブルが設置されていたりする場所もある。まるで区画整備された住宅街のようで、あまり好きではない。
だが、ここにはそうした過剰なものがない。特に今回利用したフリーサイトは、自由度が高く、設営場所も選びやすい。景色や他のテントとの距離を自分で考えながら張れるのがいい。


空腹だったので、まずはビールを一本開ける。とりあえず肉を焼いて、腹ごしらえ。ほどなくして辺りは暗くなってきたので、改めて夕食の準備に取りかかった。
これまで何度も作ってきた、定番のアクアパッツァ。具材を入れて煮込むだけだが、外で作ると妙に美味しく感じる。それから、チーズフォンデュもどき。専用の道具なんてなくても、チーズを溶かして野菜を絡めれば、それだけで十分だ。そして、最後はピザ。毎回似たようなメニューだが、慣れているからこそ段取りもよく、余計なストレスがない。



今回も、なかなかいい感じに仕上がった。
動画も撮っているので、どうしても見た目を意識してしまう。出来上がった料理を一気にテーブルへ並べ、全体が映えるように整える。湯気が立ちのぼるアクアパッツァ、溶けたチーズ、焼き上がったピザ。画としては、なかなか悪くない。だが、夫婦二人には明らかに量が多い。結局、今回も半分ほどしか食べれなかった。


キャンプ場の木は、イルミネーションで飾られていた。ちょうどテントとタープの背後に光が入る位置で、いい写真が撮れた。
キャンプ場の中心では、ココアの無料ふるまいと、近くの天文台の職員による星空観察イベントが行われていた。望遠鏡が設置され、子ども連れの家族やカップルが順番に覗き込んでいる。
ココアを一杯いただき、天文台の職員の方と少し話をした。
あとで分かったのだが、そのとき話していた方は、12年前に妻と一緒に天文台を訪れた際に対応してくれた人で、当時から Facebookで友達になっていた。こんなところで、こんな形で再会するとは思ってもいなかった。

いつものように、焚き火の前でチェスを広げた。パチパチと薪がはぜる音を聞きながら、駒を進める。その静かな時間が心地いい。こういう夜があるから、キャンプはやめられない。
この日は移動や設営でそれなりに疲れていたこともあり、私は22時前にはテントに入り、そのまま眠ってしまった。だが、妻はその後も焚き火の前で過ごしていたらしい。

翌朝は、打って変わって澄みきった青空が広がっていた。
まだ暗いうちに目が覚めたので、ランタンの柔らかな灯りの下で、いつものようにジャーナリングを書く。静かなテントの中で、紙にペンを走らせる時間は、どこで書いても落ち着くが、外が自然に囲まれていると思うと、ほんの少しだけ思考が深くなる気がする。書き終える頃には、すっかり明るくなっていた。

朝食は、これも毎回のように作っている炊き込みご飯。我が家では普段ほとんど作らないのに、不思議とキャンプの朝の定番になっている。サンドイッチのような洋食も悪くないが、炊き込みご飯は材料も工程もシンプルで、準備が楽だ。米と具材を入れて炊くだけで、それなりに満足感のある一品になる。

朝食を終えたあとは、ゆっくりと過ごした。
スノーピーク都城はチェックアウトが11時なので、朝に余裕があるのがありがたい。昨日の激しい雨で、タープもシートもかなり濡れていたが、晴天のおかげで、撤収を始める10時頃にはほとんど乾いていた。
撤収を終え、管理棟でチェックアウトを済ませる。
その後、関之尾滝の上流にある甌穴(おうけつ)群を散策した。長さ約600m、幅約80mという規模を誇り、国の天然記念物にも指定されている。


スノーピーク都城の管理棟の中には、おしゃれなカフェが併設されている。ちょうどお昼どきだったので、そこまで空腹ではなかったが、軽く何か食べていくことにした。
オーダーを済ませ、店内で待っていると、若い男性に「YouTube見てます」と声をかけられた。どうやらご家族で来られていたようで、すぐ奥様も「いつも見ているんです。本物ですか?」と、少し驚いたように声をかけてくださった。
おそらく、「行ってよかったキャンプ場」シリーズを見てくださっているのだと思う。知り合いから「見てますよ」と言われることはあるが、まったく知らない方に声をかけられることはそう多くない。正直、少し驚いた。
「頑張ってください」と言っていただいたのだが、頑張っているつもりはあまりなく、ただ好きでやっているだけなので、どう返していいのか分からず、少しあたふたしてしまった。
本当は、とても嬉しかった。にもかかわらず、その気持ちをうまく表現できなかったのではないかと、あとになってから少し気になっている。



今回も、気持ちのいい素晴らしいキャンプになった。
スノーピークという有名ブランドの名を冠しているが、料金は特別に高いわけではなく、一般的な設定。それでいて、サニタリーはとても清潔で快適だ。キャンプフィールドも、区画や定員がゆったりと設計されているため、周囲を気にしすぎることなく、のびのびと過ごすことができる。
「整いすぎているのでは」と少し構えていたが、実際に来てみると、余計な装飾や過度な演出はなく、シンプルに自然と向き合える空間だった。
これは間違いなく、リピート確定のキャンプ場だ。

今回のキャンプの様子をまとめた動画:
