ワインレッドの思索 ― Pelikan Edelstein Ruby
ドイツの万年筆メーカー、ペリカンの高級インクシリーズ「エーデルシュタイン」のルビー。
エーデルシュタイン(Edelstein)はドイツ語で「宝石」を意味しており、同シリーズのインクも、Tanzanite(タンザナイト)、Topaz(トパーズ)、Jade(翡翠)、Sapphire(サファイア)など、宝石をモチーフにした名前が付けられている。

エーデルシュタインのルビーは、ややワインレッド寄りの深い紅色だ。
一般的な赤インクのような派手な朱赤ではなく、その名の通り、宝石のルビーや熟成した赤ワインを連想させるような、高級感のある赤に仕上がっている。

この美しいボトルの写真を撮りながら、改めてこの色を眺めていると、少し上質な赤ワインが飲みたくなってくる。

エーデルシュタインは、ペリカンの標準ラインである4001シリーズに比べてインクフローが良く、よりなめらかな書き味が特徴だ。その点は、PILOTの色彩雫シリーズに近いのではないかと思う。
スーベレーンはペン先の個体差が比較的大きいと感じているが、同じEFでも少し字幅が細すぎたり、書き味が硬すぎたりすると感じることがある。そんな時はエーデルシュタインを使い、逆に少しフローを絞りたい時は4001シリーズを使うようにしている。

また、4001シリーズが基本色を中心としたはっきりした色彩のインクが多いのに対し、エーデルシュタインは全体的に色味に深みがある。
例えば赤で比較すると、4001の「Brilliant Red」は明るい赤で、どちらかと言えば事務的な用途や校正や添削に使いたくなるような、はっきりした赤だ。
一方、エーデルシュタインのルビーは深い紅色で、ややワインレッド寄り。ジャーナルや日記のように、少し落ち着いて文章を書く場面にも使いやすい色だと感じている。

手持ちの赤系インクを書き比べてみた。
こうして並べてみると、4001の「Brilliant Red」はオレンジに近い明るい赤に見える。同じペリカンの赤でありながら、エーデルシュタインのルビーとはまったく印象が違う。
万年筆にハマる人は、そのままインク沼にも頭から飛び込んでいくことが多い。だが、こうして見比べてみると、その理由もよく分かる。
インクは単に色が違うだけではない。
ペン先の太さやフロー、インクの潤滑性や表面張力、そして紙との相性によって、書き味そのものが変化する。ヌルヌルと滑るように書けることもあれば、サリサリとした心地よいフィードバックを楽しめることもある。
そして、その違いを手で感じながら、目では色の違いを楽しむ。
万年筆は文字を書くための道具だが、インクはその時間そのものを豊かにしてくれる存在だ。エーデルシュタインのルビーは、そんなインクの奥深さを改めて感じさせてくれる一本だった。

