「ゲームに税金を使うのか?」という議論について
~なぜ私は市川市でeスポーツを推進するのか~
市川市議会でeスポーツについて議論をしていると、時折こんな声を耳にします。
「ゲームに税金を使うのか」
「ゲームは健康に悪い」
「子どもをダメにする」
「行政が推進するべきものではない」
私はこうした意見を聞くたびに、大きな違和感を覚えます。
なぜなら、その議論は「ゲーム」という言葉だけに注目し、行政が何のために取り組むのかという本質を見失っているからです。
私はゲーム産業を支援したいからeスポーツを推進しているわけではありません。
ましてやゲーム好きだから推進しているわけでもありません。
私が推進したいのは、
高齢者福祉
障がい者福祉
デジタル人材育成
地域活性化
そしてインクルーシブな地域社会づくりです。
eスポーツは、それらを実現するための一つの手段です。
「ゲーム=健康被害」という誤解
eスポーツ反対論で最も多いのが、
「ゲームは健康に悪い」
という主張です。
確かに、長時間にわたるゲーム依存は問題です。
しかし、それはゲームそのものが悪いのではなく、過度な利用が問題なのです。
これはお酒やスポーツと同じです。
アルコール依存症があるからといって、適切な飲酒まで否定されるわけではありません。
スポーツによる怪我があるからといって、野球やサッカーへの公的支援をやめようという議論にもなりません。
問題なのは過剰な利用であり、適切な活用ではありません。
ところがeスポーツ反対論の多くは、
「ゲーム=悪」
というイメージだけで語られています。
行政の政策判断はイメージではなく、事実と効果に基づいて行われるべきです。
WHOも「ゲームそのものが有害」とは言っていない
eスポーツを批判する人の中には、
「WHOがゲーム障害を認定したではないか」
という主張をする人がいます。
確かにWHO(世界保健機関)は2019年、国際疾病分類(ICD-11)に「ゲーム障害(Gaming Disorder)」を追加しました。
しかし、この事実だけを切り取って
「だからゲームは有害だ」
と結論付けるのは誤りです。
WHOが問題視しているのはゲームそのものではありません。
問題なのは、ゲームによって日常生活や学業、仕事、人間関係に深刻な支障が生じるレベルの依存状態です。
これはアルコール依存症やギャンブル依存症と同じ考え方です。
アルコール依存症が存在するからといって、適切な飲酒まで否定されるわけではありません。
同様に、WHOはゲームそのものを有害と認定したのではなく、過度な依存状態を疾病として位置付けたのです。
私はゲーム依存の問題を軽視しているわけではありません。
しかし、一部の問題だけを理由に、eスポーツが持つ福祉、教育、交流、地域活性化の可能性まで否定するのは適切ではありません。
もし「依存症があるから禁止すべき」という理屈が通るのであれば、アルコールも、スポーツも、インターネットも、スマートフォンも同じ結論になってしまいます。
行政に求められるのは、禁止ではなく適切な活用と健全な利用環境の整備です。
高齢者福祉の新しい可能性
日本は超高齢社会です。
市川市も例外ではありません。
高齢者の孤立や閉じこもりは大きな社会課題となっています。
老人クラブの加入率は低下し、地域活動への参加者も減少しています。
その結果、
・会話する機会が減る
・外出機会が減る
・認知機能が低下する
・フレイルが進行する
という悪循環が生まれています。
eスポーツはその課題を解決する新しい手段になり得ます。
高齢者施設や地域イベントでは、
・参加者同士の会話が増える
・笑顔が増える
・外出のきっかけになる
・継続的な交流が生まれる
といった成果が報告されています。
重要なのはゲームではありません。
コミュニケーションです。
囲碁や将棋、ゲートボールと同じように、人と人をつなぐツールとして活用できるのです。
障がい者福祉との高い親和性
私は議員として、障がいのある方々の社会参加にも取り組んできました。
eスポーツの大きな特徴は、身体能力による差が比較的小さいことです。
車椅子利用者でも参加できます。
身体に障がいがあっても活躍できます。
年齢も性別も関係ありません。
誰もが同じルールの中で競い合い、交流できる。
これは従来のスポーツにはない価値です。
eスポーツはインクルーシブ社会を実現するための有力なツールの一つです。
デジタル人材育成という視点
eスポーツは単なる遊びではありません。
世界では巨大なデジタル産業として成長しています。
競技を支えるためには、
・ライブ配信
・動画編集
・イベント運営
・プログラミング
・グラフィックデザイン
・マーケティング
・SNS運用
など、多くのデジタルスキルが必要です。
AI時代を迎えた今、子どもたちや若者に必要なのはデジタルへの興味と挑戦する機会です。
私はeスポーツを、未来のデジタル人材育成につながる入口としても期待しています。
関係人口・交流人口の創出
人口減少社会において、自治体は住民だけを対象にした政策では限界があります。
これから重要になるのは交流人口と関係人口です。
eスポーツ大会やイベントには市外・県外から参加者が集まります。
参加者は市内で食事をし、買い物をし、地域を知ります。
これは地域経済への直接的な効果です。
さらに、
「また市川に来たい」
「市川の人とつながりたい」
「イベントに関わりたい」
という人が増えれば、それは関係人口の創出につながります。
地域の魅力を発信し、人を呼び込み、新しいつながりをつくる。
eスポーツはその有効な手段の一つです。
行政が支援する理由
一部には、
「ゲームに税金を使うのか」
という声があります。
しかし、その考え方自体が本質を見誤っています。
行政が支援しているのはゲームではありません。
高齢者の健康づくりです。
障がい者の社会参加です。
デジタル人材育成です。
地域活性化です。
もし「ゲームだからダメ」というのであれば、
囲碁も将棋も麻雀もゲートボールも説明がつかなくなります。
行政が判断するべきなのは、
それがゲームかどうかではなく、
市民のためになるのかどうかです。
本当に必要なのは先入観ではなくエビデンス
私はeスポーツが万能だとは思っていません。
しかし、だからといって最初から否定する理由にもなりません。
議論するべきなのは、
「ゲームだから反対」
ではなく、
「どんな成果があったのか」
「どのような市民に効果があったのか」
「費用対効果はどうだったのか」
です。
行政に求められるのは感情論ではなくエビデンスです。
市川はもっとよくなる
私はこれからもeスポーツの可能性を追求していきます。
それはゲームが好きだからではありません。
高齢者が孤立しないまちをつくりたいからです。
障がいのある人もない人も共に楽しめる社会をつくりたいからです。
若い世代に新たな学びと挑戦の機会を提供したいからです。
市川市に新たな交流人口や関係人口を生み出したいからです。
eスポーツはゲーム政策ではありません。
高齢者福祉政策であり、
障がい者福祉政策であり、
教育政策であり、
デジタル人材育成政策であり、
地域活性化政策です。
私たちが議論すべきなのは「ゲームかどうか」ではありません。
市民の幸せにつながるのか。
地域の未来につながるのか。
その視点で政策を評価するべきだと私は考えています。
市川はもっとよくなる。
私はそう信じています。
