探偵のお茶会ー2杯目ー
それから週を跨いで月曜日。
進学校でもあり授業は早々に始まった。
内容は一貫校と言うこともやや難しかったけど、受験で合格できれば内容についていけないことはなかった。
昼休みに部活に入りたくて、担任の井上先生に閑話部の部室を聞いたけど知らなかった。
また時間がある時か、部活動紹介の後にでも、どこに部室があるのかや、顧問を聞いてみることにした。
そのあとも授業を受けて放課後になった。学校が終わり、美桜さんを家に招いた。
「友達の家に久しぶりに来た気がする。人んちの匂いだー。」
「人ん家の匂いですか、中学の時は仲の良かった人はいないかったのですか?」
「うーん、いたけど疎遠になっちゃって…」
「そうですか」
家が遠くになって春休みから会ってないとかかな?
高校生活はまだ始まったばかりだから、夏休みにでも遊びに行けばいいのにと思った。
それから私は自室に向かう。
美桜さんにはリビングで炙り出し等をするので向かって待ってもらうつもりでいた。
「ミナちゃん。ミナちゃん」
「どうしたの?」
何故か彼女は私が部屋に行ったすぐに大声で呼びかけてきた。
その辺にカバンを放り投げ私は急いでリビングに向かう。
「どうしたの?」
これっと言って机の方に目線を向けた。
そこにあったのはチャッカマンとお尻にライトがあるペンだった。
「なんで?」
「さあ?」
私の疑問はこれらがあることではなく、何故ママは今日私がこのことをやるのだろうと分かったことだ。
炙り出しの話やブラックライトの話はママから聞いた話だから準備できるの当然として。いつやるとも、それを行うということもママには伝えていなかったからだ。
そもそもママ反対していた。
ママのことが恐ろしいとも思いながらも、目的を忘れてはいけないと話しを切り出す。
「ブラックライトのことをママ、じゃなくてお母さんに聞いたから準備しててくれてたみたい」
「...じゃあ買いに行かなくてよかったね。」
彼女は何か気にしている様子だったけどひとまずこの目の前のことを考えるのが先と判断したのだろう。
「じゃあブラックライトから試してみるけど覚悟はいい?」
「ええ。勿論」
彼女の声は震えていた。なにかあることは怖いことだし、内心では何もないことを祈ってるのかも知れない。
「じゃあいくよ」
私たちは生唾を飲んで覚悟をした。
ブラックライトで照らした先にはママの予想通り。
何も書かれていなかった。
「すみません」
「なんでミナちゃんが謝るの?」
「でも、次の方法からは...」
水に濡らすにしても、炙るにしても紙は台無しになる。
そして水につけたのを、炙っても液が残っているとは思えない。
そうなるとどうやっても一度半分に切って片方は炙る、片方は浸すと言う方法を取るしかならない。
「ううん。いいよ。どうやっても分からなかったら棄てると思うから」
そういう彼女の顔は暗いままだった。
だけど、この前までは反対気味だったけど、この場の雰囲気なのか、何か美桜さんの中で納得がいったのか、他の方法を試すこととなった。
入学式早々の出来事で明るい話ではないし、不運な行為にも思えるから。
そのままお風呂場に行くのは忍びないから、私はリビングでできるように桶に水を汲んで準備を行なった。
「とりあえず切る?」
「うん....」
そう言って彼女はハサミを握っていたけど、手は震えていた。
「無理しなくてもいいよ。私が、ごめんなさい」
無神経な言動を行ったと今になって後悔した。
だけど美桜さんは首を横に振って、紙を切り始めた。
チョキチョキと切られる音だけが部屋に響く。
そのまま半分になった紙を桶に入れた水に浸していく。
すると文字が書かれていた。
「ごめん...?」
半分になった紙からはそれだけが読めた。
私はその文章だけが読めた。
すると美桜さんは慌てるようにもう片方の紙をとって水に浸け、文章を読もうとした。
文字が綺麗に書かれていないが、次々と読んでいった。私は美桜さんの読むスピードには追いつけないため、ほとんど理解はできなかった。
さすが新入生代表読むのも速いというのか。
「どう、でした?」
私は恐る恐る美桜さんに聞いけど、そのまましばらく黙ったままだった。
すると美桜さんの瞳から涙が流れていた。
「えっ。私何かしましたか。ごめんなさい。謝りますので」
私は慌てるしかなかった。自分で何かやったつもりはないが、強いて言えばこの提案事態をしたのは私だから。
美桜さんは私の返答に黙って首を横にブンブンと振るのみだった。
それからしばらくして美桜さんが口を開いた。
「私中学の時仲の良い友達がいたの。その子とはずっと仲良しだったのだけど、三年生の冬休み入る前ぐらいからか、無視されるようになったの。原因は私が好きだった人と彼女が付き合うことになったの…」
「ちょっと待って何話し出したの?」
「この紙に書かれてること」
「過去の話をわざわざ文章で日記にしてたってことですか?」
美桜そんはくすくすと笑いながらそんなことないよ。っと言った。
「それから冬休みが終わった後から彼女は私とは口も聞いてくれなくなった。」
返答を濁されたまま美桜さんは、中学三年生の時の話をした。
「そのまま彼女とは卒業まで一切話さずに卒業した。その彼を取ったことを彼女は気にしてたみたい」
つまり彼女は彼を奪ったから懺悔のつもりでこれを残したのか。わざわざ手の込んだことをして気づくかどうかも分からないことをして。
「けど、別に私は彼女が彼と付き合うことに反対ではなかったのよ」
驚く発言を美桜さんは言った。
「えっ?じゃあ彼のことは好きではなかったの?」
「好きだったわ。でもそれは恋愛ではなかったと思う。彼女に彼のことどう思うか聞かれたから好きっと答えたけど、そのことは本心でもある。けど付き合って彼氏彼女として、異性として好きかと聞かれると私はそれに首を縦に振ることはないと思う。」
「では半年も前から拗れてるってこと?仲直りしなくちゃ」
私はそのことを聞いて美桜さんの手をとり今すぐにでも家を駆け抜けそうになった
それを美桜さんは止めた。
「今更…」
「今更じゃないですよ。今わかったからこそです。彼女もあなたが祝辞でこの紙をみると知っている。この答えにあなたが辿り着けると思って残したんですよ。だったら今しかありませんよ」
美桜さんの表情は暗いままだった。
私には美桜さんのことはまだまだ知らない仲だけど美桜さんの友達とは私よりも仲が良かったはずなら今しかないのに。しかも別に彼女たちは仲が悪くなる関係でもないのだから。
「怖いのよ。」
「怖い?」
美桜が何故怖いと言ったのか私には理解がまるでできなかった。友達とまた友達になれるのに、しかも事情が事情で一度壊れた仲ではなく糸が絡まってるだけの。
「もし彼女に私は彼のことは異性としては好きではなかった。って話したら。彼女はどう、思う?」
彼女の気持ちですか。騙された。裏切られたって思うかも知れないと私は美桜さんの言葉で思った。
だからそれなら自分は知らなかったで一生通すつもりみたいだ。
「そうだけど。そうだけど。でも、話してみないとわからないことだって」
「そうね。けど私はもうこれ以上は」
あばいていいものもあれば悪いこともある。
けど私はこの結末に後悔したくなかった。
「携帯貸して。そういえば連絡先交換してなかったよね」
「う、うん。そうだね。」
唐突なことで驚いていたが、携帯を取り出して連絡を開けた時に私は美桜さんの携帯を取り上げた。
人として悪いことだと分かってる。このことで後から嫌われるかも知れない。
だけど何もしなくて10年後20年後彼女と友達といて今日のことに後悔するなら今日で友達を終えた方がいい。
「ちょ、ちょっと」
そう言って彼女は携帯を取り返そうとするが私はそれに交わしながら、彼女の連絡を探す。
とても仲が良かった2人なら連絡先を交換していて今でも連絡先を消していないと思ったからだ。
私は彼女の連絡先を見つけこう打った『次の日曜日1時に新星駅の入り口で待ってます』
この短い文章だけ送った。
「勝手に…」
先程まで泣いていたが今は怒っていた。
「この先後悔するの私は嫌。その後悔を横で見ている自分がいるのも嫌。だから嫌われるお節介だけどしました。」
美桜さんはそれを聞いて何か吹っ切れたような感じもあったが反対の意見もあった気がする。
「そう....じゃあ日曜日頑張ってるみるわ」
美桜さんはそれだけ言って今日は帰って言った。
私はこのお節介を後悔しても美桜さんと友達でいたいと思った10年先も20年先もその先も。
それから一週間美桜さんとは話することはなかった。
お互いに気不味かったのと、学校が始まって忙しいのもあったから。
「久しぶり」
美桜さんから私に声をかけてきた。
「久しぶり」
私は嫌われたと思ったから。そう答えるのが精一杯だった。
すると突然、美桜さんは私に抱きついてきた。
「ありがとう。ありがとう。」
美桜さん泣きながら私にお礼を言った。
私は嫌われたと思っていたからこの反応は嬉しさもあるが、どう返していいか分からなかった。
美桜さんとしばらくそのままで、抱擁をやめて真っ直ぐ私を見てまたお礼を言った。
私はそれにどういたしましてと返すのが精一杯だった。
それから美桜さんから日曜日の話を聞いた。
そしたら別に彼女は怒ることもなく。それならもっとはっきり言って欲しかったとと少し怒られてそうだ。
彼女自身も罪悪感があって付き合うことになってどう声を掛ければいいか分からなかったみたい。
その時美桜さんが新入生挨拶を知ることを知って美桜さんの母に紙をすり替えるように頼んだらしい。
美桜さんの母はこのことを知ってたみたいでおそらくこの後彼女が何もなく紙を捨てたらなら母からこの事情は聞いていたことになると思う。
けどその後彼女と会って話をするかは分からなかったと思う。
いろいろあったが、今回のことは解決した。
〜後日談〜
「で、あなたは友達のことを無視して、勝手にお節介をしたと」
私はママに怒られることになった。ブラックライトの準備、炙り出しの準備をしていて何もありませんでした。は流石に通じず。全てママに話すことになった。
そしてお節介の件に怒られている。
「でも...」
「でも、じゃないよ。人の嫌がることはしない。それは大事でしょ」
「すみません。」
「今回はたまたま運がよくいい方向に進んだだけで、その後絶好になったらどうするつもりだったの?」
「私が代わりに」
「他人の代わりになんて誰もできないのよ。私もミナもそのお友達も」
私は怒られてるいるが仕方がなかった。ママの言ってることが正論だったから。
「恋愛ドラマと現実は違うのだから、うまくことが進まないことも考えなさい。閑話部に入部したらそんな甘い考えじゃダメよ」
「ごめんなさい」
ママは閑話部の話を待ち上げた。
ほとんどは雑談で終わるけれど、解決しないとダメな時もある。
それを今回みたいに無理やりな方法は間違っていると言いたいみたい。
反省をしなければならないとは思った。
「ごめんなさい。今度からは相手の気持ちを考えて行動します。」
「ミナの気持ちもね。」
ママはなぜか私の気持ちを考えるようにと言った。
私の気持ちに従った結果なのに、その矛盾に私は気付かなかった。
「一つだけ聞いていい?」
「何か、気になることあった?」
「どうして水に浸けるのが良いって考えたの?」
このことが分からない、仮に簡単な方法ならブラックライトだ。
あとの二つは学生がやるにしてもお金も時間もかかる。
それなのになぜそんな遠まりをするようなことが答えだと思ったのか、私は気になった。
「んー。そうね。確率の問題だと思うけど?ママも全部準備してたでしょ?」
「うそですよね」
「厳しい娘になったこと。本当に確率の問題だけど、少しだけ可能性が高かったのを考えただけ。」
「確率が高い?ですか?」
「だって外部の受験生でしょ?だったら考えることは一つでしょ?彼女のことを知っている人はいない、知っている人はこう思ったのよ。水に流して」
「そんな、言葉遊びみたいな…悪戯の可能性は?」
「こんな手間かかることしないでしょ。悪戯なら隠すだけで十分。中身だけ抜いてね」
「それだけで?」
「だから確率の問題よ」
ママは確率とは言うけれど、初めからこれが正解と分かっているようだった。
初めに炙り出しと言って水と言ったから、そしてブラックライト、最後に炙ると良いと。
思いつきで話す人ではないからどこかでそう考えたのだろう。
私の話の中で水に流して欲しいと思わす何かを。
「それで今回のことは丸くおさまったのね。で、これがお茶会の初めての活動と」
「いえ、これは閑話部の件ではないです。」
「そうなの。変なところに首を突っ込むね。部活紹介の前に入ったのかと思ったけど」
余計なお世話だと思ったが、ママは何かを考えているようだった。
そこまで娘は部活大好きな人間に見えたのだろうか?そしてそれが外れたことに不思議に思うのかと。
「なかったんです。」
「なかったの?」
「はい。」
閑話部は存在しなかったのだ。
