探偵のお茶会ー3杯目ー
授業も始まって数日経つ。入学式の話が混み合っていて部活を探せれなかったけど、少なくとも担任の先生は閑話部のことを知らなかった。
だからとりあえず部活動紹介を待った。そして今日は待ちに待った、部活動紹介の日である。
この学校では部活動の紹介はそこまで大々的には行われず、ほぼ放課後に行われるという形になっている。
エスカレーター式の学校でもあるが偏差値そこそこはあるので部活に力を注いでいるというよりかは、勉強の方に力を入れるのが学校の方針だ。
しかし文武両道の人も多く、名門大学に一般入試で合格もしながら全国大会出場した人もいると聞いたことがある。
特にどの部活動が強いということはないが、個人種目があるものに関してはそのような結果を残す人がいるとは聞く。
そのようなことから、個人の能力が高いと結果は出ているけど、団体で指導者が良い。という学校ではない。
結果、部活動紹介はそこまで重視していない傾向にもある。
事実部活動に参加している人は全校で半分程度でそのほかは、バイトや塾に行ったりしている。
何もしていない人も一部存在するみたいだが、一部の天才と言われている人で、推薦で名門大学にも入学できる実力があるとも言われている。
私には無縁の話だけど。
5時間目が終わり、学校の情けと言わんばかりの放課後が始まり部活動紹介が始まる。
6時間目がないようにしているけれど、参加も自由という。学校の対応はいかがなものかと思ったけど、以外にも部活動紹介を見に行く人は多いみたいだ。
勉強一筋以外の人はほとんどが部活動紹介には参加している。
(この中で参加するのが半分となると何かあるのだろうか?)
仮に6時間目の後に部活動紹介があったとしも、それに参加できない様なスケジュールが普段からあるのなら、そもそも部活動に参加するということが難しい。
考えながら移動していたら、いつの間にか体育館に着いた。
時間ギリギリに来たのですぐに、部活動紹介が始まった。
部活動は一般的に知れ渡ってる。
サッカー部、野球部、バスケットボール部、バドミントン部、陸上部、バレー部、卓球部、テニス部、柔道部等々があり運動部からの紹介からだった。
始まってみて、なぜみんな部活動には参加しないのに部活動紹介を見に来るのかがわかった。普通に部活動の紹介をしないで、部活動のあるあるや、ダンスや歌、といったユニークなことをしていた。
(それでみんな見に来ていたのね)
部活動を楽しみに見に来ていたわけではなく、こういう出し物を見て笑いに来ていた。
その中には上級生もちらほらいて動画を撮っていたりとしてた。
SNS等に載せてみんなで笑ったり、これを紹介として使ったりするのだろうか。
その後に文化部の紹介があった。
こちらは運動部とは対照的に活動内容や、部内の雰囲気を語っているところが多かった。
文化部も一般的にある部活で
吹奏楽部、美術部、書道部、写真部、家庭科部、演劇部、茶道部等々があった。
吹奏楽部に関してはどこもそうだと思うけれど実際に演奏をしていた。
今年の曲は交響詩「海」だった。
マイナーな部活動もあったけれど、ここで私が楽しみにしていた部活動の紹介をしていないことに気づいた。
閑話部。本当にその部活は存在するのか疑問だけが残った。
翌日、部活動紹介をしている掲示板があるのを知っていたので見に行くとそこにはずらっと部活のチラシが載っていた。
幸いにも運動部と文化部で区切りがあったため、わかりやすかった。
部活動紹介は参加する必要もないので、様々な理由から掲示板だけ利用する部活もある。
例えば部の人数が少なくて紹介するのが難しい、そもそも部員を多く必要としてなくてこのメンバーが卒業したら無くなっても良いと思ってる部活もあるからだ。
生徒の自主性に重んじる校風だからこういうことが起こっている。
良いか悪いかは別として本当に勉強以外は自分で学ぶというスタンスを一貫性している。
しかし別に先生から何か助言を貰うことができないということではない。
勉強以外のことでも先生に聞けば、いろいろなことは教えてくれる。
部活動紹介に参加しない部活が存在する為、掲示板には少し部活動の種類は増えている。
フラワーアレンジメント部や漫画研究部、競プロ部といった。宣伝が難しいそうなものも掲示板の方では記載されていた。
けど私が探している閑話部はそこにはなかった。
入学案内には部活動の種類も記載されていたのに、閑話部に関して紹介はしていなかった。
私は結局自分では分からないと判断し学年主任に聞くことにした。
職員室に入るとなんだか雰囲気が変わる。
重苦しいような息苦しくなるような、そんな感じだ。
職員室ってなんでこんなに近づきたくない場所になるのだろうと思った。
「失礼します。1年1組小原ミナです。1年学年主任の伊達先生いますか?」
基本的に入り口で先生を呼ぶ形がこの学校で取られている。
暫く待つとゆっくりと歩いてきた。
「どうした。ミナ?早速、勉強でわからないことでもあるのか」
笑いながら冗談を言ってきた伊達先生だった。
体育の先生なので保健で分からないことがあるという状況は考えられない。
冗談を言ってくる学年主任。こう言う雰囲気の人もいるんですね。
「いえ、勉強ではなく部活動のことについて聞きたいのですが。」
「部活動?別に好きな部に入部すればいいぞ。入部届を顧問に出したらそれで終わり。入退部も基本的にいつでもできるから気になったのに入ればいいさ」
笑いながら話していた。
いつでも退部ができるからといって、入って辞めてを繰り返しても良いものなのかと思ってしまったけれど、おそらく萎縮せずに好きな様に好きなものをやれば良いという遠回しの言い方だ。
これ馬鹿正直に聞くとそういう人が現れた時、会議が開かれそうなものである。
「えっと、それはそうだと思うのですが、閑話部ってありますか?」
「閑話部?ん?あったと思うけど」
「掲示板にも貼られていなかったのですが、顧問と活動教室教えていただけますか?」
「すまん、ちょっと把握してないから待ってな」
そういって私は数分待った。
確かに全部の部活と顧問教室を覚えてるのは大変だから。
どこかまとめてるのだろう。とりあえず閑話部があってホッとした。
「お待たせ。っと単刀直入にいうと分からなかった。」
「っえ?どうしてですか?」
「部活自体はあるにはあるのだけど、顧問も教室も何も書かれていなかったんだよ。」
「それって1から作れってことですか?」
「いや〜それも違うと思う。去年まであって今年からない場合は部活は一度なくすことになっているから、存在はするはずなんだがな。」
「そっ、そうなんですね。ありがとうございました」
「こっちでも一応気に留めておくけど、三年生とかに聞くのが良いかもな。先生の方はこっちで探してみるから」
「ありがとうございます」
私は職員室を後にした。
そこからいろいろと話を聞いて見たけれどそもそも閑話部に関して知ってる人がほとんどいなかった。
内部受験者ですら知らない人が多く、外部受験者は入学案内パンフの部活の欄を見てる人が知ってるという私と変わらない状況だった。
「はぁあ、結局閑話部って存在するのかな?」
「あるわよ。」
「えっ?」
私は心に思っていたことが口に出ていたようだった。
「閑話部でしょ。今年はある年なのね。」
「そうなんですか?」
「ええ、毎年あるわけではないから部活としてはあることにしてるけど。」
「あのその場合、一回部活としてはなくなると聞いたのですが…」
学年主任から聞いてそうなると知っている。仮に去年一昨年なかった場合は部活動案内とかから消えることになってるはずだけど。
「陸上部の部員がいないから陸上部はありません?ってあなたなら書く」
「いえ…書きません…ですが」
「あなたが言いたいことも分かるけれど、閑話部はこの学校では一般的な部活の分類になるのよ」
「そうですか...」
先輩は私が言いたいことを先にわかっていたかのように言葉を遮って話した。
実際にメジャーな部活でわざわざ〇〇の部活はありません。とは書かないだろう。しかし閑話部なんて部活は全国でも聞いたことがない。
それなら部員がいなくなった時点で書くのはやめると思ったのだけど、実際は違った。
「二つ聞いていいですか。いろいろな人に聞いても分からなかったので。」
「ええ、もちろん私が知っていることならね。」
「部室と顧問の先生教えてください」
先輩はびっくりして目を丸くしていた。
そして口角を上げたとおもったら、声を出して笑った。
「笑わないでください」
「ごめんごめん、真剣な顔してたらから何かと思ったら普通のことだったから。」
そこまで私は真剣な顔していたのだろうか?
確かに顧問も教室も何一つ分からなかった時に先輩に会えてわかったから、焦っていたかもしれない。
「教室最上階の一番端よ。今は何も使われていなくて、昔は確か…新聞部だったかな?が使っていたと思う。最近は机や椅子の置き場になっていたりするから、危ない椅子には座らないでね。私面倒ごと処理するの嫌だから。」
「あ…はい」
「後は顧問ね。いないわよ」
「えっ?」
いないといった?顧問がいない部活ってあるのか?
「ごめんなさい。言い方が悪かったわね。今は部員もいないからいないだけだから顧問を探して頂戴。ってこと」
私はホッと一息ついた。
そんな変わった部活があるのかと考えたけどそうではなかった。
「じゃあ今年は閑話部を作るってことね。覚えておくわ。頑張ってね」
「はい。」
私はそのまま先輩が過ぎ去っていくのを見ていたけどふと気になったことがあった。
先輩は面倒ごとを処理するのは嫌だからっていった。
怪我して面倒ごとになるのは顧問の先生と言った大人たちではないのだろうかと?
だから私は先輩を呼び止めた。
「ちょっと待ってください。」
「なに?」
先輩は踵を返して振り向く。
「なんで私が怪我したら先輩が面倒ごとを処理するのですか?普通先生なのでは?」
「ふふっ。あなたって意外と頭が回るのね。そうね、一応私、今は生徒会の副会長としてやってるからいろいろ話が入ってくるのよ。だから、ね」
「そうだったんですね。気をつけます」
「そうしてくれるとありがたいわ。あと何かあったらこちらからもよろしくね。閑話部部長さん」
「えっ。」
彼女は私の反応を見てまた笑って去っていった。
何も考えてなかった、2、3年生は閑話部に入りたいと思わなかったからなかったわけで私が部長になるのか。
そうか。
私は部長になることに頭がいっぱいになった。
「ふゎ〜ぁ」
数日が経って、部活動申請の手続きにかなり時間を取られて疲れた。
形としては発足になるため、部活の名前、活動内容、活動場所、顧問の先生と、そして存続している部活と同じく部長の名前が必要になった。
しかし問題があった。顧問の先生を見つけることである。
閑話部が存在していると思っていたのでそんなことまでは考えていなかった。顧問になってくれる先生なんてまずいない。
その活動が好きな先生なら別だけど、閑話部という特殊な部活。
内容に興味がないのなら暇な先生を見つけないと行けないが、そんな先生はいない。
基本的に興味がない場合は一度その活動が好きな先生が顧問について後任として別の先生が就くという形になって初めて、好きではないが部活の顧問として就任していることになる。
そのような関係上から今回は閑話部が好きな先生、もしくは少なくとも話しを聞くのが好きな先生を探し出す必要がある。
(高校始まってからずっと歩き続けてる気がする)
ひとまず学年主任に相談してみることにした。
「失礼します。伊達先生はいますか?」
職員室に入って呼びかけて少しの間待つと学年主任の伊達先生がきた。
学年主任と言っても職員室にいる割合が高い感じがするけど、他の先生とそこまで変わらない感じなのかな?
「どうした?こっちはあれから閑話部に関して聞いてみたけど分からなかったわ。すまんな。あるにはあるから発足という形なら俺が受理しとくぞ?」
提案されたのは嬉しいことなのだけど、閑話部に関しては解決した。
いや、むしろ解決していないというべきなのだろうか。
「先生ありがとうございます。一応その件に関しては分かりましたが、発足という形になりそうです。そのことで相談がありまして」
私は閑話部があることは間違いないけど、顧問も部長もいない状態なので事実上発足という形を伝えた。
そして顧問の先生が必要なので暇がある先生を訪ねてみた。
「なるほどな。そういうことだったのか、しかしすまんな、顧問に関してはこっちから用意するということはなくて、自分たちで作るしかないんだ。顧問の掛け持ちも可能だから、もしよかったら色々な先生に相談すると良いぞ。あっ俺はもう時間が空いてないからきびいけどな」
笑いながら言っているが、自分のところに火種が飛んでこないように先に手を打つところがイヤらしい。
「ありがとうございました。探してみることにします。失礼しました。」
結局は何も解決しなかった。
閑話部の活動自体は課外活動等がないため簡単だと思うけれど、何かあった場合は顧問の先生も対応することになる。
元々の創部の経緯もあるので、閑話部に関わらないほうがいいと思う先生も多いと思う。
本当に困ったものだ。
しかし本当に眠いものだ。書類を書くのは簡単だったけど部室に関しては昨日先輩に聞いた部室を使うことになったけど、管理している先生を探して許可を取った。
(午後の授業を一時間だけ保健室で寝させて貰おうかな)
「失礼します。一時間だけ寝ること可能ですか?」
結局私は保健室に行って仮眠をとることにした。
「授業始まって早々にサボり?」
保険の先生は痛いところをついてくる。
決してサボりではないけれど、そう思うのが普通の流れだろう。
「いえ、ちょっと疲れてまして」
「テスト期間でもないのにね…」
保険の先生は怪しむように言った。
嫌味のような発言だけど、睡魔には勝てなかった私は一時間だけ眠った。
「起きた?結局そこまで深い眠りについた理由と聞いてもいいかしら?」
「あっ…え…は、はい」
起きたら放課後になっていた。一時間しか寝ないと思っていたのにいつの間にか陽は傾いていた。
テスト期間でもないのにここまで寝るとなると家庭環境などを心配しているのかも知れない。
私は最近あった事話した。
「それで眠不足になったと」
「はい。すみません」
「じゃあ、一眠りついて元気になったのなら程々にして頑張ってね」
「分かりました」
私は先生にお礼を言ってから保健室を出ようとした。
その時、保険の先生でも確か顧問になれることを思い出した。
「茅野先生、もし問題なければ閑話部の顧問になってくれませんか?」
茅野先生はその言葉がくるのを分かっていたのか、驚い様子はなく少しかんがえた。
「なれないこともないけれど、あまり深く関わりたくない部活よね」
そう言われると何も言えなかった。できた経緯を知っているとこうことは、OGでその時は部活もあったのだろう。
30歳ぐらいの歳に見えるから、そこまで反発があった時ではないけれど、過去にそのようなことを担っていた部活となると臆するのも分かる。
「分かりました。今日はありがとうございました。」
私はそう言って保健室を後にした。
結局、顧問の先生を探すのが難航していた。
掛け持ちが可能と知ったので掛け持ちしてくれる先生を探していくしかないと思われる。
もう一度声をかけた先生も含めて掛け持ちをしてくれるか、掛け持ちしてもらう際に閑話部のことは自分たちでどうにかするから、先生に手間をかけないということを入念にあたっていこうと考える。
次に日の昼休み。
(さて先生に話を持ち込みに行きますか)
「ミナちゃんいる?」
そう言って茅野先生が教室に入ってきた。
昨日、保健室に行った時に何か忘れ物でもしたのだろうか、そう思いながら先生のところに行った
「何か忘れ物をしてましたか?」
「いいえ。忘れ物ではないけど、昨日の話なのだけど」
「無理はしてませんよ。昨日はしっかり寝ましたから」
「ふふっ。それは先生の言うことを聞いてくれて嬉しいわ。それもあるけど、部活の話。もしよかったら私がやりましょうか?」
「!!!」
意外な言葉が飛んできてびっくりして言葉がでなかった。
嬉しさもあるけれどわざわざどうして顧問になろうと思ったのだろう。
「本当にいいんですか?」
「ええ、でも条件はあるわ。」
「ありがとうございます!」
「条件も言ってないのにね」
条件があったとしても今からまた探してとなると厳しいところがある。それなら条件があったとしても茅野先生に頼むほうがいい。
「条件は創部された経緯である問題に私を巻き込まないこと。そして体調が悪い人は私に相談してね」
この条件の一つ目は予測できたことである。経緯が経緯なだけにこれに関して知ってる人は関わりたくないと思う。問題があったり学校の問題になるようなことは受けてはならないと念を押されたことになる。
もう一つは私のことだろう。昨日のことがあってこういう無理をした人が出てくると先生としては大変になるから予めわかるのならそれを止めたいのだろう。
「分かりました。茅野先生の迷惑はかけません」
「それはなら問題ないわ。創部の紙がかけたら私に持ってきたら私が受理しておきます」
「ありがとうございます。」
最近はいろいろと忙しくて大変な日々を送っていたけど、これでやっと創部できることになる。
高校に入った時はまさか部活がないとは思わなかったけど、これから楽しい日々になりそうだ。
それから次の月曜日になって部活動を始めた。
まだ私一人しかいなく誰もいない。先週までは部屋の片付けを行なっていた。使ってない教室のため、古くなった机や椅子等があったけど、机に関しては落書きや傷等があるが問題ないのだけど、椅子のほうは問題があるのが多かった。
ぐらつきがあってとても使えるものではないのが多かったけど、ぐらつきが比較的少ないのでボルトがないのを探してそれを一つに合わせる。
本当はこんなことをしてはいけないと思うけど、先生方に言われたら目を瞑ってもらおうと思う。
閑話部に活動費は回ってこないし、部費を募るにしてもそれは即ち私のお小遣いに他ならない。
創部はしても、何かしらのお話をする人はまずいないのが問題ですね。
部活動の紹介掲示板に活動しています。と言うのを込めて部員でも募集してみようか。
いろいろと考えていると、コンコンとノックがあった後に声が聞こえた。
「失礼します。閑話部であってますか?」
「はい。何か相談事ですか?」
「いいえ」
違った。初の相談者と思ったのにとあからさまにがっかりした顔になってしまった。
「私、入部したいのですが」
意外な言葉が降ってきた。
