【連詩】Esperanza
(風)風花 (笠)笠原メイ
(風)湖のほとりに1人佇む
命の静寂
翼が折れても向こう岸で
微笑むあなたがいる
安らかなその腕に溺れ
永遠はあるのかと
静かに目を閉じる
天使のバラードが
レクイエムに変わる
きみが産まれた日のことを
思い出していた
世界中に祝福されたかのように粉雪が空に踊る
その小さな手に限りない
希望を握り締めて
生命の営み、歓び
悲しみと孤独
全てに愛を
命は燃え
命は煌めく
愛を詩い言の葉を紡ぎ
命を繋ぐ
きみの声が聴こえる
あなたの声が聴こえる
命の歌が聴こえる
(笠)煙草の中の冬に口づけすると
凍ったフィルターに皮が張り付いて
唇が切れて血が滲んだ
屈折した光は僕にしか見えない光
鼓動の膨らみ、酸化した珈琲
3歳の時は静寂の中にいた
母親が手作りした絵本の前で
悲哀を一度も感じる事なく
幸福の意味を知らずに
笑ったり、泣き喚いたり
愛を疑うこともなく
その頃よりも
僕はずっと弱くなって
今じゃあ記憶の傷に怯えて
詩作に逃げている
カサノバの古いスピーカーから
キース・ジャレットのピアノが響くけど
天使は咳が止まらない
優しさにも代償は付き纏う
運命のしがらみに甘い実がなるように
教会が閉まると人生が始まる
祈りも願いも無視して
(風)始まりの鐘がなる
ゲートは開いた
天使がシンフォニーを奏でる
きみの旅立ちを祝福して
まだ穢れのないその瞳が
土砂降りの雨に流されてしまわないよう
わたしの両手で
羽毛のように優しく優しく包んであげたい
きみを傷つける全てのものから護りたい
どうぞ泣かないで
優しさを誰かに踏みにじられたとしても
きみの刃は誰かを傷つけるものではなく
心を磨き研ぎ澄ますものだから
生きとし生けるもの
始まりと終わり
楽園は見つからなくても
誰もが辿りつきたいと祈ってる
できることなら
穏やかな笑顔のままで
安らかな腕の中で
静かに目を閉じるその日まで
(笠)世界中が優しさに 包まれた時なんて
街中が希望に 満ち溢れた時なんて
10秒くらいもあったのか
少なくとも俺には思い出せないよ
雨に濡れた捨て猫のように
居場所を失い凍えていた俺を
拾ってくれたあの娘
柔らかい花のベッドを用意してくれて
ホットミルクを作ってくれた
それは歯が全部抜けるほど甘くて
嫌な記憶が涙に溶けた
電話で救えた命があった
メールで救えた命があった
走れば救えた命があった
抱きしめれば救える命があった
人間って何か悲しいよね
嘘ばっかりバカばっかりで
見苦しいよね
だけど僕は 僕には
そんな嘘ばっかりバカばっかりの
人間しか 愛せないんだ
ありがとう ありがとうって言いたいだけ
心臓が止まっちゃうほど優しかった
あなたの笑顔に
※今回は風花さんとの連詩です。テーマは「命〜らいふ〜」です。心の底から掬い上げた言葉たち。僕らが最後に見た希望。




※追記。風花さんが素敵な詩画像を作ってくださりました。世界観が深くなりました!
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