名古屋のタイカレー「ヤンガオ」から考える、ローカルカルチャーとデザインの深い関係(YANNGAO)
金沢の寿司と「素材」のパワー
ひぐち: 樋口です。アパレルショップオーナーの口とサラリーマンの藤井が偏見と偏愛で話していくポッドキャスト番組です。こんばんは。 ちょっと今日さ、うまい飯の話しよう。最近なんか美味しいもん食べた?
ふじい: こんばんは。飯か...金沢で回らない感じの寿司食った。 行きましょうって。だってなんか回ってる感じのところも美味しいっていうもんね。
ひぐち: 回ってても別に美味しいと思う。 もう確かに技術とかその仕込みとかはあるけど、正直ここまで素材が重要な料理だと、もう素材が良かったら絶対美味しいからみたいな。
ふじい: でもなんかちゃんとそれが手に入る環境というか、その信頼みたいなものが店にあるっていうことだもんね。 ちゃんと繋がりがあってって話だから。
西区の絶品タイカレー「ヤンガオ」と秀逸なグッズたち
ふじい: いや、もうこれずっと好きなんだけど。 去年、名古屋市の西区に引っ越したんだけど、西区のヤンガオっていうカレー屋がむちゃくちゃ美味しくて。
ひぐち: うまいね。言ったことある。
ふじい: 結構家から割と歩いていけるぐらいのところにあってさ。 ヤンガオのマッサマンカレーがもうめちゃくちゃ美味しくて。お店もめっちゃいい感じだよね。
ひぐち: いいよね。一応タイカレーのお店だね。 タイの感じがいい。多分ご夫婦でやられてるカレー屋さんなんだけど、元々と多分タイに住んでた方で。 いわゆるカレーってインドカレーのが割と主流だけど、タイカレーのお店って割と珍しいっちゃ珍しいと思う。
ふじい: お店も素敵だし、結構それこそ森、道、市場とかさ、いろんなイベントにも出してるから。 その時々の限定のメニューとかもあって。 割とヤンガオを楽しみにすると行くことも多いんだけど。
ひぐち: おお、マッサマンカレー出てきたな...あんなに甘いのにちゃんとカレーっていうのが結構新鮮っていうかさ。 スパイスカレーってどっちかっていうと、風味ごちゃ混ぜ系なものがインドカレーって割と多いと思うんだけど。 タイカレーってむっちゃ甘いんだよね。甘いけどむっちゃコクがあるみたいな。他で食べれない感じするね。
ふじい: でね、もちろんカレーもめちゃくちゃ美味しいんだけど。 ヤンガオはすごいグッズとかお土産っていう形でグッズを作ってたりして、それがすごい可愛くてよく買うんだけど。
ヤンガオとゴーシャ・ラブチンスキーの意外な共通点
ふじい: 例えば、タイ語のフォントを使ったお店のおしぼりにデザインされてるロゴのキャップとか。 今だとマウンテンリサーチとコラボしてお店のグッズを作ったりとか。 コンセプトがはっきりしてるものが多くて、タイにいた時によく聞いてた音楽から着想してとか。
ひぐち: うん。
ふじい: それがすごいデザイン的にも可愛くてよく買うんだけど。 このヤンガオのキャップを多分去年結構自分かぶってて。ロゴの上にタイ語が書いてあるんだけど、何が書いてあるかは分かってない。 これが「なんか可愛いな」って思う感覚って、なんだろうなって考えた時に...
ひぐち: うん。
ふじい: 10年前ぐらいだと思うんだけど、ゴーシャ・ラブチンスキーっていうファッションブランドが、ロシア語のフォントでストリートなデザインをパリコレとかにも持ってきて。 1台ムーブメントが起きたのが2015年とかだと思うんだけど。 あの時の「この言葉何なんだろうだけどかっこいいな」みたいなところが、ヤンガオのデザインとちょっと通じる部分があるんじゃないかって。
ひぐち: ああ、知らん文字ね。
ふじい: タイ語って言われてもどれがタイ語なのかって正直あんまわかんない。 ゴーシャが出てきた時って、服に書かれてるプリントの一部がロシア語になってて、何て書いてあるかわからん...だけどなんかいけてる。
ひぐち: なるほど。
ふじい: 今だとロゴが全面に出てるファッションアイテムってめっちゃ増えたと思うんだけど、そこの走りになってる。 ヤンガオとゴーシャっていうのがね、これはイケてるって思う感覚がそこに近いんじゃないかって思ったんだよね。 別にゴーシャとヤンガオは何の関係性もないけど。
ひぐち: 絶対にない。
日本語や漢字はファッションになれない?
ふじい: その「知らん文字」というか、あんまり身近じゃない文字が、視覚ビジュアル的に可愛い、面白いって思う感覚。 これが日本語で何か書いてあった時に、それをあえてデザインとして選ぶ感覚を持ってないし。 中国語とか韓国語だとしても、それがデザインで使われることってあんまりないなと思ってて。
ひぐち: うん。
ふじい: 自分の国の言葉をデザインとして打ち出して、それがちゃんと評価されるっていうのは当時特徴的だったのかなと。 ちょうど最近ゴーシャが復活したから勝手にちょっと繋げてみたっていう話なんだけど。
ひぐち: 当時なんか覚えてる? ギャルソンの店舗が1回階層下げて、ゴーシャにちょっと変わりますみたいになって。 ゴーシャが結構日本で認められたというか広まったのも、川久保さんのプッシュアップっていうのがあったみたいな。
ふじい: まさに2010年とかに出てきた人だと思うから。 元々ロシア人のゴーシャ・ラブチンスキーさんが、ロシアのユースカルチャーをハイファッションの世界に取り入れて。 ドーバーがサポートをして、パリコレに出したりとかっていう流れがあった。
ひぐち: うん。
ふじい: その後のオフホワイトとか、ロゴをドンと出してそれが分かりやすい、SNSで見てあのブランドだってわかる流れがゴーシャから始まった。 他の国がロシア語イケてるよねってするのはイメージできるんだけど... ロシア人が国の言葉をそのまま使って、それが世界で受けられるみたいなところって、ちょっと日本語で考えたら絶対起きないなみたいな。
ひぐち: やっぱその使われてる範囲が狭いのかな。シンプルに1カ国でしかないっていう。
ふじい: 言葉を使う人口っていうのもそうだし。
ひぐち: なんか日本人のほうがすっごいもっとミーハーに、音楽も歌詞とかじゃなくてノリで可愛いかっこいいとかで受け入れるとか。 他の国より宗教観とか思想とかが乏しいというのか...なんかそういう感じもあるよね。
ふじい: 戦後みたいなところで言うと、やっぱりアメリカの文化が濃く入ってきてるけど、日本らしいとこもちゃんと残ってるみたいな異質さはあるよね。
ひぐち: 日本語が世界で流行ることはあるかね。一部日本好きの外国人が漢字のタトゥーを入れるみたいな流れはあるけど。 それがメインストリームに来ることはないとは思う。今後長く見た時に、日本語のままデザインとして出していくことがあったら面白いなと。
ふじい: あったらおもろいけど、扱わんな俺。 完全に自国の捉え方として、それを行けてるってなかなか思えないしさ。ひらがなとか漢字とかのアイテム、ちょっと取り入れれんなって。
ひぐち: 思っちゃうね。なんかその「一澤信三郎帆布」っていうカバンのブランドがあるんだけどさ。 外国人を持ってたりとか、あと本当日本人で持ってるのって結構おじいちゃんおばちゃんとかなんだよね。
ふじい: はいはい。その当時の作り方でずっと作ってますみたいな。
ひぐち: そう、なんかめっちゃ芋臭い感じでずっとやってる感じ。昭和どころか、江戸がある感じに。 江戸味は多分受け入れられる気がするんだけど、世界には。すげえこうハイファッションかって言ったら別にそうじゃないから。
ふじい: 市場がなかなかない。ああいうラグジュアリーのブランド買ってるのも、日本人とかアジアのシェア率めっちゃ高いやんか。 欧米に憧れがあるアジアが、わざわざこのアジアの文字を書いてあるものを買うっていうのはなさそう。
ファッション業界におけるアジアの台頭
ふじい: そうやって考えたらやっぱりファッションの世界って、めちゃくちゃヨーロッパとかアメリカのカルチャーが強いよね。
ひぐち: 洋服だもんね。そもそも向こうのもんだしな。
ふじい: ここ直近で変わったのはさ、ラグジュアリーブランドがアンバサダーに韓国人のK-POPの人たちを起用する流れ。 元々はゴリゴリの白人や欧米の人がモデルやってて、それがかっこいい可愛いみたいな感じだったと思うんだけど。
ひぐち: 欧米の人が着てたらかっこよく見えるじゃんみたいな話ってあったりするじゃん。
ふじい: この数年でK-POPが欧米でもすごいされて、完全にファッションとして評価されて。 ブランド側もアンバサダーとして起用するみたいな、アジアのそういう人たちがそこに入ってきてる流れは大きな変化としてありそうだよね。
ひぐち: 今の10代後半とか20歳前後の人って、ジャスティン・ビーバーとかよりBTSの方が全然行けてるっしょって思う感覚。 1つの転換としてありそう。
ロゴは「説明しすぎる」。ひぐち流・ミステリアスなブランド論
ふじい: ひぐちにも聞きたかったのが、ロゴが結構大きく出てるブランドとか、ロゴを全面に出すファッションアイテムって増えたと思うんだけど。 こういうロゴに対して、どんな風に思ってんの?
ひぐち: 基本入れない。多分なんか説明しすぎるなと思うから入れないかな。 言葉をまとったりすると、説明しちゃうからさ。
ふじい: ブランドのイメージってあるもんね。
ひぐち: ディーゼルだったらY2K好きそうな若者なのかなとか。俺らの世代だったらちょっとお兄系かなとか。グッチだったら成金系かなみたいな。 説明しすぎちゃったりするのは、なんか余白がなくてミステリアスじゃなくなるなって思う。
ふじい: このブランドってこういうイメージだよねっていうのが、ファッションより先行しちゃうってことか。
ひぐち: そうそう。なんか潜入感とかが抱かれて、片付けちゃう感じがするからすごくもったいないなと。 あんまりこう僕は、ミステリアスなわかんない感じにしたいんでね。
サブカル文脈を共有する「ロゴ」の楽しみ方
ふじい: なるほどね。デザインを含めたところで、カテゴライズされないファッションっていう意味合いなのかな。 確かに何系ってカテゴライズしづらい感じあるもんね。ひぐちのお店って。
ひぐち: カテゴライズされるから、そういう意味で皮肉的にロゴを扱うのはいいなと思う。 あえて読める言葉にして「何それ」みたいな。それこそシビコのTシャツをあえて作って。
ふじい: シビコめっちゃいいよねみたいな。
ひぐち: そういうサブカルムーブメントみたいなのは逆に皮肉っていうか、自分たちらしいロゴの使い方だから楽しいなと思う。
ふじい: その感覚めっちゃ分かるな。カテゴライズじゃなくて文脈を共有するみたいなことだよね。 シビコっていう商業施設の名前をロゴにすることによって、ローカルで共有できる文脈がある。
ひぐち: そうそう。「あの人そういうのが好きなんだ」っていう、ブランド力とかじゃない別のサブカル的な文脈を共有できる。 ブランドのイメージというより、その人の背景が見え隠れする感じがいいやんって思う。
ふじい: 自分がヤンガオのキャップとかTシャツを買う時も結構その感覚あるな。 ヤンガオユーザーとすれ違ってもいいとかさ。「マッサマン美味しいすよね」って。
ひぐち: そうそうそう。そういう共感し合ってるツールみたいな感じのロゴとかはいいなって思う。 ラグジュアリーのロゴは目的がお金持ってますっていう感じになっちゃうから、人間としての深みがなくなっちゃって。
ふじい: 自己顕示欲的な、自分はこれを持ってるんだぞっていうのを映し出すものになっちゃうとちょっとなっていう感覚は持っていたいなと。 自己顕示だけで選ぶってなっちゃうと、ちょっとファッションから距離が出てきちゃう。
ひぐち: そうなんだよね。めっちゃ話戻るけど、俺去年ゴーシャ買ったんだよね。国旗のTシャツがあって。 古着で買ったんだけど、あれ着るのめっちゃ怖い時期あったけど...あんまり表で着ないようにみたいなことをゆかさんに言われて。
ふじい: そういう思想お持ちだと思われて誤解されちゃうってのはありそうだもんね。
ひぐち: だから俺も買う時怖いなと思いながら、思想はいいなと思ってちょっと持っとこうと思って。 国旗もロゴもやっぱ説明しすぎるのは変に誤解を招くから。
ふじい: 歴史の背景とかで捉えられ方また変わっちゃうっていうところもあるもんね。古着のゴーシャとかいいな。 そんな感じで、勝手にヤンガオとゴーシャっていう話でした。
ひぐち: 言われてる側は意味わからんからね。申し訳ない。 ファッションとロゴと言語の話でした。ありがとうございました。
ふじい: ありがとうございました。
【まとめ/あとがき】
最後までお読みいただきありがとうございました! 今回は、ファッションにおける「文字」と「ロゴ」の持つ意味について、ローカルなお店から世界的ブランドまで幅広く語り合いました。 この記事が面白いと思ったら、ぜひ「スキ」とフォローをお願いします!
「読めない文字」のビジュアル的な面白さが、ゴーシャやヤンガオの魅力に繋がっている。
ロゴによる「説明しすぎ」を避け、あえてミステリアスな余白を残すのがひぐち流のファッション論。
ロゴは自己顕示のためだけでなく、ローカルな「サブカル文脈」を共有するコミュニケーションツールにもなる。
※樋口も藤井も偏見と偏愛で経験から話すため、根拠・裏付けがあったりなかったりで話してます。 マエノメリかつ「信じるか信じないかはあなた次第」的なノリで聴いて頂けると幸いです。
美容師の専門学校で出会い、席が前後だったひぐちとふじいが結論がない話をひたすら話し続けるPodcast番組。美容師の道からは2人とも方向転換し、樋口はアパレルショップ・造形教室の経営、藤井は営業職として働くサラリーマン。「ファッションからビジネス、愛知、人間」様々なテーマでの会話をお届けします。
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