服屋の枠を超える空間体験と、21世紀美術館で感じた「間」の重要性
ガチで満喫してきた金沢2泊の旅
ふじい: 藤井勇成です。 順が前後だったアパレルショップオーナーの樋口と、サラリーマンの藤井が偏見と偏愛で話していくポッドキャスト番組です。
ひぐち: こんばんは。 最近、ちょっと旅行をしてきまして。金沢に行ってまいりました。
ふじい: おお、金沢。いいですね。 今回はガチ旅行ですか?
ひぐち: そうだね。今回は仕事とかではなくて。 東京で展示会があったついで、ってくらいで、もうガチ旅行。めっちゃ良かった。
ふじい: 2、3日で? 金沢2泊なら、結構しっかり色々と見れそうだね。
ひぐち: そうそう、しっかり見れた。満喫してきたよ。 メインは21世紀美術館の展示が見たくて行ったんだけど。あとは、服屋だったら「フェートン(Phaeton)」に行ってきましたね。
田んぼの真ん中で熱狂を生む「フェートン」の衝撃
ふじい: いいね、フェートン。 やっぱり1回は行っとかないと、みたいな。業界だと結構有名というか、割と大きいお店なの?
ひぐち: 規模感的には大手と比べたらそんなに大きくはないと思うんだけど。 でも、クリエイティブの部分であの規模感で、個人スタートのものをやるっていうのは、やっぱすごいなと思うね。
ふじい: うんうん。 自分もフェートンは行ったことあるよ。前の仕事で北陸エリアを担当してた時があって。出張で月に1回くらい金沢・石川に行ってて。
ひぐち: めっちゃ行ってるね。
ふじい: そのちょっとした時間とか、夜とかに金沢エリアを回ってて、フェートンにも行ったんだよね。 出張の帰りに、一旦降りて車で行った感じ。
ひぐち: だいぶ変な立地にあるもんね。
ふじい: そう、あれどうやって行くんだろうって場所だよね。 自分が行った時にオーナーさんもいて、「東京から来るお客さんが一番多い」って言ってた。金沢の人より東京のお客さんの方が多いらしい。
ひぐち: まあ、そうだよね。地元の人をターゲットにしてるわけじゃなくて、わざわざ行く系のお店だよね。 ...実際に行ってみて、「服売るって、ここまで行けるんだ」みたいな可能性を感じた。
ふじい: なるほどね。
ひぐち: 服って、みんなが着るものじゃん。絵画みたいに一部の人が持つ嗜好品とは少し違って。 みんなが着るものなのに、ここまでのお店を作れて、ここまで追求できるんだな、って。
ふじい: 確かにそうだね。 本当にピンキリで、数百円から数千円である程度のものが手に入る中で。金額だけじゃなくて「ここに良いものがある」って生み出せるブランド力というか。
ひぐち: そう。服屋の見せ方として、かなり特徴的だよね。 東京ででかいハコ出したら、なんとなく集客も見込めるし売上も立つだろうけど。あえて石川のあの場所で、ちゃんと集客して成り立たせてる。
ふじい: フェートンのある場所って、本当に周りがリアルに田んぼに囲まれてるもんね。
ひぐち: ...リアル田んぼだね(笑) だからこそ、地方の可能性をめっちゃ感じる。やっぱ突き抜けたら強いなっていうのをすごく感じた。
「服屋」の枠を超える、広い意味でのファッション
ふじい: フェートンの話ばかりしてるから一応説明しておくと... 石川県にあるセレクトショップで、インポートの洋服とか、フレンチヴィンテージの古いメガネとかを主に扱ってるお店だよね。
ひぐち: メインのブランドで言うと「toogood(トゥーグッド)」とか。あとはこないだ行った時は「SETCHU(セッチュウ)」が置いてあったり。 割とテーラリングが軸にあるようなブランドを扱ってる印象かな。
ふじい: うん。 あと、フェートンって服だけじゃなくて、金沢に香水専門店をやってたり、隣に紅茶専門店があったりするよね。
ひぐち: うん、やってるね。ヘッドホンのブランドとコラボしてたりもしたし。
ふじい: ファッションは突き詰めてるんだけど、それだけじゃなく、飲食とか嗜好品にもブランド展開してて。 あと『大勉強』っていう雑誌も自分たちで作ってたり。広い意味でのファッションをやってる店っていうイメージがある。
ひぐち: ファッションの解釈が広いよね。 表面的なファッションじゃなくて、匂いから、体に入れるものから、音楽から、全部ファッションだよっていう感じ。
ふじい: ...そうだね。 なんか、服屋の自主制作で雑誌を出すって、自分たちでブランディングができるってことだと思うんだよね。
ひぐち: あのクオリティで持ってけるのは、本当ないよね。 すごいと思う。
静かな服を探して、テカテカのジャケットを買う
ふじい: で、フェートンでなんか買ったの?
ひぐち: 買いましたね。 toogoodのジャケットを買いました。なんか、テカテカのジャケット(笑)
ふじい: いいね!テカテカの?(笑)
ひぐち: 正直、今回は「静かな服」が欲しいなと思って見に行ったんだけど... 最終的に買ったのが、ウールに特殊加工をしたテカテカのちょっと賑やかな服だった。経年変化が面白そうだなと思って。
ふじい: 静かな服でスタートしてテカテカで終わることないもんね(笑) でもいいよね。
ひぐち: ここに着地するんだと思って。 優成はなんか買ったことあるの?
ふじい: 俺も、toogoodのセットアップを買ったことある。 26、27歳の頃、結婚式が多くて。ガチガチのスーツも違うなって時にたまたま行って、「これで結婚式ありですかね?」って聞いたら「全然いいっしょ!」って乗せられて(笑)
ひぐち: へえー!
ふじい: 「せっかくおめかししていく場が減ってる中で、みんなと同じような服で行くのもったいないよ」って言ってくれて。 それで、ちょっと凹凸があるような黒のジャケットと、カーブっぽいシルエットのパンツを買った。
ひぐち: へえ、そうなんだ。いい買い物してるね。
ふじい: あとはジャコメッティのサンダルとか、香水も何回か買ってる。 ...めちゃくちゃリピーターじゃん俺(笑)
ひぐち: 優良顧客じゃん(笑) でも、あそこの空間がそうさせるんだよね。体験として本当にリッチというか。
ふじい: そうだね。買ったもの以上に、贅沢な体験だった感じがする。
ひぐち: 真似するとかじゃなく、「こういう域にも行けるんだな」って分かったのがめっちゃ良かった。 いいものも悪いものも、いろんなものを見なきゃなって思えた旅行だったね。
21世紀美術館「SIDE CORE」展が描く「間」の世界
ふじい: フェートンの他はどこ行ったの?
ひぐち: メインの21世紀美術館だね。 「SIDE CORE(サイドコア)」っていうアーティストグループの展示を見に行きたくて。
ふじい: ああ、SIDE CORE! 前にちょっと関わりがあって、みたいな話してたよね。
ひぐち: そうそう。メンバーの1人と面識があって。 21美でやるって言ったら、もう行くしかないでしょ。やってる内容もめっちゃ社会派で、日本人として見とかなきゃいけない重要な切り口だった。
ふじい: へえ。どんな内容だったの?
ひぐち: 震災で地面が隆起して、もともとあった道が土砂崩れで塞がっちゃったんだけど。 その隆起した土地に新しい道ができて、そこが今、人の生活の大事なルートになってて、地図も変わったらしいんだよね。
ふじい: うんうん。
ひぐち: SIDE COREの人たちの視点って、出来事と出来事の「間」に入っていくイメージがあって。 「食材があってカレーができました」じゃなくて、野菜を切ったり煮込んだりしてる「過程」を作品にしてるような感じ。
ふじい: ...なるほどね。 結果だけじゃなくて、その間のプロセスを見せてるんだ。
ひぐち: そうそう。 カレー屋さんじゃなくて「カレーを作ってるとこの動画屋さん」みたいな感じで、分かりづらいかもしれないけど、今の時代、その「間」に立つ人がすごく貴重な気がしてて。
ふじい: 極論に行く人はいっぱいいるけど、中立であるとか、間に立つってことだね。
ひぐち: そう。スタートの状況と、変化した今の現状、どっちも理解してないと、その間の見せ方って表現できないから。 その間を切り取って作品にするっていう、ジャーナリストっぽい視点がすごくあるんだよね。
ジャーナリズムとアートの絶妙な距離感
ふじい: ジャーナリズムの精神があって、それをアートの表現としてやってるってことか。
ひぐち: そう。 アウトプットの方法も決まりがなくて、立体もあれば映像もあれば、絵画もあって。それを自由自在に行き来して表現してるのがすごいなと。
ふじい: 21世紀美術館って、スイミングプールとかポップなアートが有名な場所じゃん。 そこで、ジャーナリズム的な視点を持った展示をやってるって、確かにすごいね。
ひぐち: 僕自身のお店も、最近「間」とか「グレー」なところを目指してるなってずっと思ってて。 アウトプットの形がどうであれ、本質が同じなら何でもいいんじゃないかなって思えたんだよね。
ふじい: ...うんうん。 俺もジャーナリズムとか批評的なものって好きなんだけど、言葉にするとどうしても説教臭くなりやすいじゃん。
ひぐち: そうだね。言い切ることが重要だったりするから。
ふじい: でも、アートって一番それと距離があるもので、「これだ」って言い切らずに自由に表現できる。 だからこそ、ジャーナリズムとアートの相性が実はめちゃくちゃ良くて、いい意味での「余白」を作ってるのかもしれないね。
ひぐち: まさにそれ! アートは含みを持たせられるから、言い切らずに「捉え方はお任せします」っていうゆとりがある。
ふじい: 答えを出すんじゃなくて、考えることに意味があるって教えてくれるのがアートだよね。
ひぐち: そうそう。その解釈も含めて楽しめるのがアートの魅力だし。 金沢に行く前に東京でSIDE COREの別展示にも行って、メンバーから直接話を聞いてたから、より想像が膨らんで楽しめたよ。
ふじい: いやー、俺も10月の金沢マラソンの時に行きたかったけど、満身創痍で行けなかったんだよね...。 いつまでやってるの?
ひぐち: 3月15日まで! みんなにもぜひ行ってほしいなと本当に思います。
ふじい: これは食らった旅だったね。
ひぐち: そう、朝食バイキング食べて腹パンパンで回って、回らない寿司も食って。 最高の金沢でした。
ふじい: いいね。じゃあ、今度遊ぶ時にそのテカテカのジャケット着てきてよ。
ひぐち: 楽しみにしてて(笑) こんな感じかな。ありがとうございました。
ふじい: ありがとうございました。
【まとめ/あとがき】 金沢という土地で独自の熱狂を生み出す「フェートン」の突き抜けた世界観と、21世紀美術館の「SIDE CORE」展が教えてくれた「間」の重要性。 どちらも「ファッション」「アート」という枠組みを超えて、本質的な「伝えること」「考えること」のヒントをくれる旅になったようです。 この記事が面白いと思ったら、ぜひ「スキ」と番組のフォローをお願いします!
地方の田んぼの真ん中でも、突き抜けた世界観があれば熱狂的な支持を集められる。
結論を急ぐ時代だからこそ、出来事の「間(プロセス)」に立つ視点が貴重になっている。
ジャーナリズムとアートを掛け合わせることで、説教臭くならずに「考える余白」を生み出せる。
※樋口も藤井も偏見と偏愛で経験から話すため、根拠・裏付けがあったりなかったりで話してます。 マエノメリかつ「信じるか信じないかはあなた次第」的なノリで聴いて頂けると幸いです。
美容師の専門学校で出会い、席が前後だったひぐちとふじいが結論がない話をひたすら話し続けるPodcast番組。美容師の道からは2人とも方向転換し、樋口はアパレルショップ・造形教室の経営、藤井は営業職として働くサラリーマン。「ファッションからビジネス、愛知、人間」様々なテーマでの会話をお届けします。 https://linktr.ee/higuchitofujii ↓instagram https://www.instagram.com/higuchitofujii/
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