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なんとなく33才になっていた。変人式。

10代の頃は
魔法を信じていた

舞踏会の招待状が
お城から届くことを

魔法学校の入学証を
梟が運んでくることを

けどポストを埋めるのは
無機質なチラシばかり

結婚の予定も
確固たるキャリアもなく

何かになれる期待と
なれなかった諦念の

波打ち際で
溺れそうになる日々

ある日
変人式の案内が届く

差出人は…

そう何度もない式に
背中を押され

私は会場の扉を開けた

おめでとう
 20歳は社会にでる日
 33歳は自分に還る日
です

 あなたの変を分かち合ってください」

変人式長の挨拶

「スーパーで一番形の
 悪い野菜に愛着が湧いて
 つい連れてきちゃうの」

「部屋の明かり全部消して
 冷蔵庫のモーター音だけ
 聴く時間がすき」

会場のあちこちから
偏愛がこぼれだす

私の番

「ブランコに乗るのが…
 やめられないんです


 …市全部の」

それは
世間の濁流に放り込めば

一瞬で消える泡沫

でも私を私に
繋ぎ止める大切な錨

会場を出ると
他の誰でもない

私自身に戻れた気がした

魔法の杖も
ガラスの靴も
ない道へ

私だけの変を歩いていく


(410文字)

たらはかにさんの
【毎週ショートショートnote】

お題は【変人式】でした。

ラストを次の展開にするか
迷いました。

会場を出るとバッグの奥で
スマホが小さく震えた

「市内の公園で3人が揺れています
 ブランコしますか?」

誰かと繋がれる予感も 悪くない

作品はフィクションです。
久々のショートショートでした。

最後までお読みいただき
ありがとうございます。

みなさんの毎日が
素晴らしいものでありますように。


#毎週ショートショートnote
#ひいろ
#変人式
#結婚
#キャリアブレイク
#NanoBanana
#成人式
#人生

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