見出し画像

結婚してるの?って聞けない私。聞けないんじゃなくて、聞きたくない私。

※ここからInstagramの彼のことをグラムくんと呼びます

東京駅での友人とのランチを終え、ドキドキとワクワクと心配が混ざり合った複雑な気持ちを抱えつつグラムくんとの待ち合わせのカフェに向かう。

着いた。

正確に言うと、気持ちを落ち着けるために
目的地のカフェが見えるところでいったん立ち止まって近くのコンビニに入った。
何を買うでもなく店内をうろうろして時計を見ると14時30分ちょうどだった。
グラムくんから「店内に入っています、一番奥のソファ席に座っています」とのメッセージが。
慌ててコンビニを出てカフェへ。

グラムくんは、
思ったよりも顔が濃かった。ちょっと苦手かも。
清潔感はあった。
立ち上がると思った以上に背が高かった。
彼も緊張しているようだった。

「こんにちは、はじめまして」
どちらからともなく挨拶となぜか握手をした。

そのカフェはアンティークな雰囲気でとても落ち着く空間だった。
入口は小さなドアなのに、中に入ると広かった。

「僕、甘いものが好きなので何か食べようかと思うんですけど、ひかりさんはどうしますか?ここを教えてくれた先輩の話だとプリンとレモンタルトがおいしいらしいですよ」
「そうなんですね、じゃあ私はレモンタルトにします」
私はホットのアールグレーティーとレモンタルト。
グラムくんは本日のおすすめアイスコーヒーとプリン。

Instagramではお互い自分の好きなものを投稿していて、ある程度は似た感性があると感じていたけど、話してみるとさらに共通点が見つかり話がすごくはずんだ。
共通点が見つかったというより、お互い表には出さずに必死で共通点を探しては「見つかった!!」と喜んでいるような状態だった。
グラムくんも私に惹かれているんだと伝わってきた。
私はちょっと濃い目の顔が苦手かもと思ったが、気が付けばそんなことも気にならなくなっていた。
レモンタルトは正直どんな味か覚えていない。
グラムくんは貿易会社に勤めていて、アジアの某国に駐在して3年目。
実家は北関東。
彼が自発的に話してくれた内容を総合すると、結構ハイスペックなんだなということがわかった。
話をしながら、自然な感じでグラムくんの左手を見た。
やっぱり指輪してない!
独身だよね、きっと。
でもそのことを確認することがどうしてもできなかった。
私の方も、自分が数か月前に離婚して今はシングルなことは話せなかった、というか話さなかった。
言ってしまうと物欲しそうな女にみえるかもと過剰に気にしてしまって話さなかった。
彼からも現在の状況、既婚なのかシングルなのかなどは全く聞かれなかった。
「グラムくんって結婚してるんですか?」
って、さりげなく聞こうとしても考えすぎて自然に聞ける気かしなくて最後まで聞けなかった。
聞いたことによって、この、久しぶりのドキドキしながら前に進む感じが全て消えてしまいそうな気がして。

元夫とUとのことが発覚してからというもの、
「家族に裏切られた、大切にされる価値のない私」
という負のレッテルを自分で貼ってしまっていたようだ。
自覚はなかったけど、元夫への愛情はもうなかったけど、
自分が雑に扱われたように感じてしまい、人として、というと大げさに聞こえるかもしれないが私は自分に自信を無くしていた。

子どものいない夫婦だったにしては相場よりも多く慰謝料も受け取れたし、仕事もそのまま順調だし、友人もいるし、と、自分を励ましながら数か月過ごしてきた。
元夫とはすでに性愛的な愛情はなかったにせよ、恋愛の傷は恋愛で癒すのが早いと心のどこかで思っていたんだと思う。

神様どうか彼が独身でありますように。

と願いながらレモンタルトを食べた。

あっという間に2時間近くが経った。
「今日は急な誘いに応じてくれてありがとう、楽しかったです」
「私もずっとグラムくんってどんな人かなって思ってたから、お会いできてうれしいです」

このまま夕食に誘ってくれたりして・・・なんて妄想していたけどあっさりお開きだった。
「これから自宅に荷物を置いたら会社の仲間と会食なんだよね」
自宅、どこなんだろう。
聞きたいけど、今日はこれ以上踏み込んではいけない気がしてさわやかにお別れをした。
彼の「また今度ゆっくりおいしいものでも食べながら話せたらうれしいな」という言葉を脳内に太字で刻んで。



いいなと思ったら応援しよう!