不安で身動きが取れなくなったので、「不安の対処法」を言語化してみた
私は直近で、自身のアサインメントに大きな「変化」が発生し、精神的に物凄く不安定な状態に陥りました(COO業務から離れる訳ではないです)。
この「不安」をどうマネージすべきかを考え、言語化し、実行してみたところ、1週間強でコントロール出来そうなところまで来ましたので、それを書いてみます。
そんな大それたことは書いていませんし、「そりゃそうだろ」が多いと思いますが、実は「超小心者」の私の言語化が何かお役に立てれば嬉しいです。
「不安」と「FLOW」
以前執筆した「ブルーロック×人的資本経営」の記事で、「FLOWに入るための最重要条件」を以下のように紹介しました。
『挑戦的集中であるか』『自分にとって適度な難しさの目標であるか』
つまり、「自分の能力>>挑戦」であればヒトは「退屈」になり、「挑戦>>自分の能力」であれば「不安」になる、ということです。
図にすると以下の通りとなり、この定義はブルーロックからの引用ですが、心から賛同します。

「不安」は二種類あった
しかし今回、この表を使って自分の不安を言語化しようとしたところ、全く出来ませんでした。
その時、この表に自分の状態をプロット出来る=「挑戦レベルと能力レベルの差分」が分かっている、という前提があることに気が付きました。
私は、もっと手前の「挑戦レベルと能力レベルの差分が分かっていない」、「何に挑戦したらよいかもわかっていない状態」がであったのです。
つまり、実は「不安」には「分かってなくて不安な状態」と「分かっていて、不安な状態」に分解されるのだと認識しました。

ここから先は、まずは「自分がどの状態にいるのかを認識する方法」について触れ、その後に具体的な解決先について綴っています。
STEP1:「分かってなくて不安な状態」かどうか
1-1)Purpose/Goal/Milestone(PGM)は言語化出来ているか
「今やっているPJ、今やっているタスクは何のためにやっているのか」という「目的」が言語化されているかどうかが、全ての第一歩です。
この「目的の言語化」を分解すると、以下の二つのどちらかが少なくとも言語化されている必要があります(出来れば両方)。
①"そもそも"の理由("その先"には何があるのか)=Purpose
②どのような「成果・状態」が「達成」なのか=Goal・Milestone
理想は両方が言語化されている状態ですが、「②だけ」のケースもあると思います。
例えば初期のスタートアップなどにありがちな「この人について行けばきっと大丈夫」と信じ、全く不安を感じていないケースなどです。
「この人が設定した、このGoalに向かおう」ということですね。この場合は、Goalを達成した時に不安を覚えることが多いですが、「不安なく走れる」状態としては悪くないと思います。

1-2)そのPGMはステークホルダーと共有・合意出来ているか?
「ステークホルダーのいない仕事」はありません。必ず、上司・部下・顧客・仕入先、、、何かしらのステークホルダーが関与しているはずです。
そして、PGMが言語化出来ていたとしても、それらがステークホルダーと共有・合意出来ていなければ、消えたはずの「不安」が都度発生し、結果的に不安は消えません。
分かりやすいのは「自分の考えているPGMと、上司(意思決定者)とPGMがズレている」ケースです。これを分解すると、以下の二つに分かれます。
①上司のPGMが「分からない」=「言語化されていない」ケース
②上司のPGMと自分のPGMは言語化されているが、食い違っているケース
どちらのケースでも、自分は言語化されたPGMに向かって仕事をしていると、"なぜか"ダメだしを食らう。Milestoneを達成しても、"なぜか"承認も評価もされない。
そういった事態が発生するたびに「このまま仕事をしていていいのか?意味があるのか?」という不安が惹起され、自分の足が止まります。
言語化したPGMが自分のステークホルダー、特に意思決定者・直属の部下・協力するチームメンバーと合意出来ている状態を作れているか、是非チェックしてみてください。
STEP2:「分かっていて不安な状態」かどうか
2-1)「Goalへの辿り着き方」=「How」が言語化出来ているか
STEP1で無かった人は、「言語化されたPGMがステークホルダーと合意されている」状態のはずです。
そうすると、「今」と「Goal/Milestone」の差分が明確になるので、挑戦レベルが分かり、以下の表に自分をプロットする準備が整います。

自分をプロットする時にやるべきことは「Goalに辿り着くための具体的なステップを全て書き出してみる」ことに尽きます。
ここで書き出せなければ「不安ゾーン」である可能性がとても高いです。
私はCOOとしてメンバーに、全てのプロジェクトでWBSを作るように指示していますが、WBSが綺麗に引けたPJが、実現しなかったことは殆どありません。
WBS(Work Breakdown Structure):
プロジェクトの作業を細分化し、構造化することで、プロジェクトの範囲を明確にし、計画、実行、管理を容易にする管理手法。
人間は「出来ると思ったことしか言語化出来ない」ので、これを裏返すと、「言語化出来る=かなり高い確率で実行出来る」のです。
つまり、「Howが言語化出来ない」=「挑戦レベルが能力レベルを超えている」ということになり、自分が「不安ゾーン」にいることが認識できます。
ここまでの内容を図示すると、以下の通りです。

各ステージの解決方法
1.【共通】さらけ出してみる
自分のSTEPが分かったところで、次は「何をすべきか」に触れていきます。
まず、どのSTEPでも有効なのが、「さらけ出すこと」です。「今こんな不安がある」と、率直に周囲に話すだけで十分です。
物凄くシンプルな解決法で申し訳ないですが、でも実は出来る人は非常に限られていますし、優れたリーダーほど、この「さらけ出し」が上手です。
「不安だけど、どうすればいいか分からない」と素直に伝えてみてください。人は、「弱みを見せてくれること」に驚くほど好意的で、「何かできないか」と自然に動いてくれます。
「不安の最大の敵は、さらけ出されること」
その行動そのものがリーダーシップを育みますので、是非やってみてください。
2.【STEP1-1】他者に「聞いて」もらう
社会に生きるヒトは、他者に「意味のない存在だ」と思われることを極端に恐れるので、無理やりにでも「意味・意義」を見出してしまいます。
そして、それをさらに「意味があるものだと思い込む」ことまでしてしまいます。
なので、「自分の状態や自分のやっていることのPGMを冷静に言語化する」ことは実は極めて困難です。
なので、「そこはかとない不安」を感じている場合、まず「聞いてもらう」ことが何より効果的です。この時に大事なのは「アドバイスを貰う」ことではなく、とにかく「聞いてもらう」ことです。
最近、私はずっと同じ人に話を聞いてもらっていますが、ただ聞いてもらっているだけなのに、それを通じて自分の状態を客観視でき、"不都合な真実"もすっと言語化出来ます。
大切なのは、「この人になら全部話せる」と思える人を選ぶこと。「もしかするとこの人は誰かにこの話をしてしまうかも」とか「ちょっと恥ずかしいな」とか思っていたら、一切目的は達成されません。

3.【STEP1-2】恐れずに対象者と話す
STEP1-2の、「PGMがステークホルダーと共有・合意できていない場合」は、やれることは1つしかありません。
「その人と、とにかく話す」
相手のPGMが分からないのであれば、恐れずに聞きに行くしかありません。相手とズレていると思うなら、是正しに行くしかありません。「いつか分かるように/擦り合うようになるさ」と思っていても、一生なりません。
チームの誰かが違和感を感じていたら、恐らくほぼ全員が感じています。この行動を率先して取れる人こそ、「素晴らしいリーダー」の素質を備えているとも言えます。
4.【STEP2】分子(挑戦)か分母(能力)を調整する
「分かっていて、不安な状態」は、言うなれば「挑戦÷能力」の値が大きくなり過ぎているということであり、つまり分子か分母を調整すればよいのです。そのやり方は、大きく以下の4つです。
1.期待値=Goalを下げる:挑戦レベルそのものを下げてしまう
2. 挑戦を分解する:最終的なGoalはそのままに、分解した「挑戦」にまず立ち向かう
3. 仲間を増やす:仲間を増やし、出力を上げる
4. 開始を遅らせる:自分が成長してから、この挑戦に立ち向かう
このいずれかを行うことで、「FLOW状態」に持って行くことが出来るでしょう。図示すると以下のようなイメージです。

おわりに
冒頭で自分のことを「超小心者」と書きましたが、本当にそうで、しかもそれを誰かにさらけ出さないと、言語化が出来ません。
一方、私はずっと宝塚の男役に憧れてきたので、「無口で話しかけづらい、カッコイイ」リーダーを目指してきました。その「憧れ」とのギャップが大きすぎて、いつも苦々しく思っています。
ですが、今はそんな自分を大分愛せる(許せる)ようになってきました。
自分がさらけ出すことで、組織の心理的安全性も組成でき、結果的に自分も周囲も助かっている気がしているからです。
今回の「解決方法」がめちゃくちゃありきたりのもので恐縮ですが、でもこれを実行できるかどうかで、「不安」のブレーキ力がめちゃくちゃ変わります。
是非恥ずかしがらずに「さらけ出し」「他者に相談し」「他者と議論し」、てみてください。
ではまたお会いしましょう。
細田 薫
