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“良質な提案”より“良質なフィードバック”。キーワードは「具体性」と「即時性」

私は、組織も人も、その成長には「フィードバック」が何より重要であると信じていて、何本かフィードバックに関するnote記事も書いてきました。

直近では新たな組織のリーダーになったこともあり、「どうやったら良質なフィードバック機構」を組織内に埋め込めるか、ということに日々腐心しています。

その過程で、「良いフィードバックと悪いフィードバックの基準の言語化」が必要だと痛感しました。それが無いと「指摘したいことを指摘する」行為の斡旋にもなってしまい、成長を促すどころか、組織の混沌を生んでしまいます。

今回は、この「フィードバックの良し悪しは何によって決まるのか」というテーマで綴って参りたいと思います。


「5W1H」が一つでも欠けると、「悪質なフィードバック」に

「5W1H」は1つでも欠けてはいけない

そんな「組織を動かすほどのフィードバック」もある一方、「何も起こさないどころか、負の影響を持つフィードバック」=「悪質なフィードバック」も存在します。

皆さんも、以下のようなフィードバックを受けたことがあるのではないでしょうか。

「みんな、〇〇さんのこういう所が良くないって言ってるよ」
「〇〇さんはよくこんな感じのことを言うけど、あれよくないよ」
「あの対応は二度とやらないようにしてください」
…etc

これらは、「単純に不快」なだけで、「何かが改善する」ことに繋がりません。その理由はシンプルで、「5W1H」が充足されていないから、です。

Why:なぜそれが問題なのか
Who:誰がそれを指摘しているのか(自分なら自分、他人ならそれが誰なのか)
What/Where/When/How:いつどこで何をしたときの話なのか

これが一つでも欠けたフィードバックは、基本的には全て「悪質なフィードバック」になります。なぜなら、受け手が「受け取れない」からです。少し具体を見てみましょう。

「Whoなきフィードバック」が一番最悪

まず一番最悪なのは「Who」が分からないフィードバックです。「みんな〇〇さんのこういう所が良くないって言ってるよ」ですね。

「みんな」って誰だと。2人か?10人か?100人か?そこには誰が含まれていて誰が含まれていないのか?これが分からないと、受け手はどうしようもなく、ただただ嫌な気持ちになります。

こうやって書くとあり得ないフィードバックに読めますが、実は結構「あるある」で、意識しないとやってしまいがちな行為です。

というのも、人間には、その危機管理本能から「3回同じ光景に出くわすと、それを恒常的なものに捉える」という性質があることが分かっています。

なので、3回ほど似たような話を聞くと、「みんなそう思ってるんだ!」と自動的に勘違いし、それを焦って本人にフィードバックしてしまうのです。

それは絶対にやらず、まずはその事態に対して「自分」はどう思うかを整理し、自分がそう思うなら自分を主語にして伝え、そうでないなら、極力本人たちから直接フィードバックしてもらうべきです。

間接話法フィードバックは百害あって一利なし、というのが私の意見です。

「主観」は決して悪ではない

フィードバックの内容に頑張って「客観性」を持たせるようとする人がいますが、私はそれは不要だと思います。

フィードバックするのはその本人なので、必ずそこにエゴイズム的な「自己の欲求」があります。

なので、決して「あなたのために」が100%のフィードバックなどあり得ないですし、逆に「私はこうだから、こう思った。」と主観で伝えることの方が重要です。

私が尊敬する哲学者の近内悠太氏は、著書「利他・ケア・傷の倫理学」の中でこう言っています。

・「叱る」という行為は、叱る側が求める「あるべき姿」や「してほしいこと」を実現するための手段である。
・叱るが「悪」ということではない。ただ、「私はあなたのために叱っている」と思いこむことが、僕らの精神の安寧を揺るがせる。なぜなら、それは自己欺瞞であるから。

勿論、「叱る」=「フィードバック」ではありませんが、「あなたのために」と思い込むのは違う、という点で共通すると思います。

「具体」が全て。そのためには極力「すぐ言う」

それよりも大事なのは「具体性」です。具体性が無いと、仮にそれが正しくても、確実に相手には響きません。「〇〇さんはよくこんな感じのことを言うけど、あれよくないよ」ですね。

相手にフィードバックするときは、徹底的に具体性を持たせる。これが何より重要です。そして、そのために一番出来ることは「すぐ言う」ことです。

どれだけ具体性を持って伝えても、肝心の本人が忘れている可能性もあり、そうすると録画でもない限り、「えーそんなこと言ったっけなー」のような感じになり、届きません。

フィードバックに慣れていないと、つい二の足を踏んだりして遅くなってしまうのですが、極力「直ぐ」やりましょう。それこそがフィードバックの効果を最大化する、シンプルな方法です。

「具体」がMust have、「提案」はnice to have

セルソースの行動規範である「セルソース思考22」の12番・言動には、以下のように「批判より、提案と実行」と書かれています。

このように、「言いたいことを言うだけでなく、ではどうするべきか、までセットで」というのは、非常に適切な考え方であり、当社に限らずこういった考えを採用しているスタートアップは多いでしょう。

ただ、私は「提案に重きを置いて、フィードバックの質が下がったら元も子もない。そして、良質なフィードバックをするだけでも簡単なことではない」とも考えています。

つまり、上記の「具体」の突き詰めが甘いと、相手がフィードバックを「受け取れ」ないので、結局提案の実現には至らないのです。

また、提案をMust haveにしてしまうことのもう一つの問題は、「遅くなる」ということです。

上記の通り、良質なフィードバックの大事な要素に「即時性」がある中で、提案をウンウン考えているうちに、フィードバックがドンドン遅くなってしまうのです。

理想は、「先ず即座にフィードバック」し、そこで「どうしたらいいかは追って持ってきます or 議論させてください」とし、期限を決めて提案を先延ばしにする、という流れだと思います。

繰り返しますが、まず「さっさと具体的に、自分主語でフィードバックしてしまう」。これが出来るようになると、組織に影響を与える「フィードバッカ―」になれるはずです。

おわりに

私が人事責任者になって、一つずっと悩んできたのが「360°評価」に代表される「多面評価」との付き合い方です。

未だに色々な書籍で360°評価が効果的だ、と書かれていますが、評価に使うにせよ、フィードバックに使うにせよ、「Whoなき=匿名の360°評価」は意味が無いと思ってしまいます。

匿名にする理由は「フィードバックしやすさ」を重視していると理解しますが、いくらフィードバックを集めても、それが組織や本人の行動変容に繋がらなければ、意味がありません。

つまり、「フィードバックの出来る環境」が整うまでは匿名で、整ったらすぐに実名にする、恐らくこれが正しい運用であると思います(SHIFTがまさにその順序でやっていました)。皆さんは、360°評価について、如何お考えでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。是非直近で書いた「フィードバック二部作」もご一読ください。

では、また会いましょう。

細田 薫

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