「強くてニューゲーム」と思ったけど、違った
先週のNoteでは、ベンチャーに転職して1ヶ月が経過し「人生が始まった気がする」と書いた。あれから一週間でその確信は深まる一方、一つの大きな誤算が浮き彫りになった。
「強くてニューゲームだと思ってたけど、違った」
どゆこと?と思われた方も多いと思う。まあ、読んでみていただければ。
そもそも「強くてニューゲーム」とは
私の年代(1980年代後半〜1990年代前半生まれ)ならご存知の方も多いと思うが、まずWikipediaの解説を載せておく。
ロールプレイングゲームなどの、本来はひとたびシナリオが進展したら初めからやり直さない限り前のシナリオをやり直せないゲームにおいて、ゲームをクリアすれば、クリア時点でのセーブデータの情報(キャラクターのレベルや所持アイテムなど)を引き継いで新たに初めからゲームを遊ぶ(ニューゲームを始める)ことができるようになるシステム。
このシステムを初めて導入したゲームが、不朽の名作「クロノ・トリガー」。10種類のエンディングを用意するなど、数々のユニークかつチャレンジングなシステムを導入した本作の中でも、特徴的な取り組みの一つだった。
クリアしたセーブデータを引き継ぐのでサクサク二週目が進められるだけでなく、一週目で敵が強すぎて行けなかった所に行けるなど、自由度も上がるのだ。
つまり、「強くてニューゲームだと思ってたけど、違った」というのは、
13年間の社会人経験・知識を引き継いで転職するのだから、それにレバレッジを効かせることである程度はスムーズに結果を出せる場面もあるはず、と思ってたらそんなことはなかった。
という意味である。伝わっただろうか。
やったことある仕事が・・・・ない!!
4月1日に「経営企画ブチョ」なる大それた肩書きを頂いてから一週間、私の携わってきた or 携わっている業務のキーワードは以下の通り。
(守秘の観点からぼやかして書いてます)
・中期経営戦略
・To Cアナログマーケティング
・デジタルマーケティング
・過去売上データ解析
・パーパス、ミッション
・全社集会
・社内コミュニケーションツール
・新規投資
・社内データ基盤整備
・社内報 … etc(まだ沢山)
多。
住友商事ではM&Aの買収パートだけでなくPMIをがっつりやってきたし、かなり幅広い経験をしてきた・・・つもりだった。しかし、このリストに「あ、これやったことあるわ。イメージ湧く〜」ものの方が少ない。毎日「はじめまして」の仕事に出会っている気がする。
医療業界が完全に初めてなので、その点で苦労することは十分予想してたが、まさかここまでのジャグリングを求められるとは思ってもいなかった。
Dotsが無いなら、考えるしかない
前回のNoteではConnecting the Dotsに触れながら「過去に穿ったDotsが、転職後の自分を助けてくれている」と書いた。これは紛れもない真実で、今も日々感じている。
しかし、ここまで日々多様な仕事が飛んでくると、「その仕事の廻りに一つもDotがない」という事態も発生する。そうなると、もうやれることはただ一つ。「とにかく考える」。
周囲の力を大いに借りながら、過去の経験を参考にしながら、世の中に転がっている情報を参考にしながら、ひたすら考える。
何かアイデアが生まれたらすぐに誰かにぶつけ、軌道修正し、また考える。上手くいきそうだったら、少し形にしてみて、チェックする。
この「果てのない荒野の中で、考え続けないといけない」という状態は、ウクライナ赴任時などに経験はしているが、圧倒的に難易度が増している。
強くてニューゲームならそれもある程度スムーズにこなせると思ったが。。。
甘かった。
「人の数<(やらないといけないこと+やりたいこと)」
大企業、少なくとも前職の住友商事には「経験の無い人だろうがなんだろうが、ガンガンやらせてみる」という発想はなかった。
チャレンジさせないということではなく、「同時に走るチャレンジの数をちゃんとコントロールする」という意味(出来る人にしか仕事を任せないタイプの上司も山ほどいたが)。
一方、セルソースはグロース(元マザーズ)上場して数年経つとはいえ、まだ社員100名前後の会社であり、しかも事業が年率数十%で伸びている。なので、上場会社として「やらないといけないこと」もあり、成長期業として「やりたいこと」も無数にある。つまり、常に
人頭数<<(やらないといけないこと+やりたいこと)
という構図が成り立っており、常に人頭数がビハインドとなる。
そうなると「やったことがある奴に任せる」というマッチングをしている余裕はないし、そもそも叶わない。結果、各人が呆れるほどの数のチャレンジに見舞われることになる。
「強くてニューゲーム」じゃなくてよかった
今、過去イチ刺激的な日々を送っている。間違いなく。
ベンチャーに転職した一つの理由が「秩序(Order)から混沌(Chaos)へ」だったが、まさにそれが起きている。ただそれがちょっと思った以上だった。
もしこれが「強くてニューゲーム」だったら、仕事は前に進んでも、刺激の総量は大きく減っていたはず。なので、強くニューゲームじゃなくて良かったし、セルソースを選んで(選んでいただいて)良かった、と心から思っている。
今週も毎日のように飛んでくるだろう社長の思いつきユニークなアイデアや指示に楽しく翻弄されながらも、必死にレベルアップしなければと焦る日曜日だ。
おわりに
滅茶苦茶余談ですが、「強くてニューゲーム」という表現、凄くないですか?
正確な言葉としては「強い状態のままでニューゲーム」とか。でもこれだとイケてない。ダサい。「強くてニューゲーム」は響きが良い。イケてる。
(英語版の“NewGame+”がまたイケてる)
でも住友商事の申請書的な感覚だと、この「強くてニューゲーム」は修正されてしまいます。なぜなら情報の正確性に疑義があるから。「強くて」って何、と。
一方、この「イケてるかどうか」という所に意識を置いて仕事に取り組むことがどれだけ大事か、というのをこの1ヶ月で思い知りました。
「オモロい」と「イケてる」という社長の口癖に影響を受け、自分の仕事をこの2点でチェックするように。すると、確かに「オモロくもイケてもないアウトプットは全然ダメ」なのです。他人の仕事もそう。
これはアート思考・デザイン思考にも繋がってくる話で、また別途書きます。
何が言いたかったかというと、「あんなオモロいゲームを連発してたスクウェアの凄さが、この言葉に表れてるな」ということです。共感してもらえるかしら。
では、また来週お会いしましょう。
細田 薫
