梅干しはかまってちゃん
ころん。
ビニール袋から、小さな実が転がる。
黄色みがかった梅の実。
ふわりと爽やかな香りが漂う。
スーパーで追熟が少しすすんでしまった青梅。
梅酒や梅シロップにするならこのまま。梅干しならたぶん、もう少し熟した方が良さそう。
日に日に、甘くふくよかな梅の香りが部屋を満たしていく。
そろそろいいのかな?
初めての梅干し作り。
追熟の加減がわからない。
私にとっての梅仕事といえば、ずっと梅酒と梅シロップだった。
梅干し作りに憧れなかったわけじゃない。けれど難しそうなイメージがあった。
それが一転、チャレンジする気になったのは、朝の情報番組。
ジッパーバックで1キロから漬けられる。
13%の塩をふって、ペットボトルで重しをするだけ。
赤紫蘇を使わない、白梅干し。
そんなに気軽にできるの?やってみたい!
スーパーへ走った。
ところが2024年は梅が不作。いつもあるはずの店に行っても見あたらない。何軒もの店を回って、買えた青梅は2袋だった。
熟した中から傷のない粒を選んで1キロにする。
パストリーゼで梅とジッパーバックを消毒。
レシピ通りに塩をまぶして、ペットボトルを2本のせた。
簡単すぎる。
毎日上下を返し、梅酢の上がりを確かめる。
保管している収納は、扉をあけるたびに梅の甘い香りがして、それだけで幸せな気分。
暇さえあれば扉をあけて、様子を見た。
うん、いい調子。
タプタプの梅酢に梅を浸しながら、ひとり笑う。
楽しい。
梅干しって育てるものなんだ。
そう思ったのに、油断した。
梅干しは、予想外にかまってちゃんだった。
一泊二日、目を離しただけで、うっすらと白いものが浮いた。
え?うそ。カビ?
あわてて対処方法を検索し、引き上げた梅を果実酒用焼酎で消毒。梅酢は加熱して濾過。
なんとかリカバリして、予定より早く天日干しにした。
天気と睨めっこしながら陽の当たる場所へ移動させ、上下を返す。出かける時は空模様を気にして、屋根の下へ入れたり。
これでもかというくらい、梅干しにつきっきり。
それでも面倒と思わないのが、不思議なところ。
カビが気になって3日のところを4日干し、夜間の雨を警戒して夜露にはあてず、出来上がった梅干しは塩をまとったカチカチ。
齧ってみたら、皮はかたいし果肉もほとんどない。
「しょっぱ」
想像とは違ったけれど、思わず頬がゆるむ。
来年は、梅から選定しよう。
新しい季節仕事が増えた瞬間。
はじめて作った梅干しで、おにぎりを作りたくなった。
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三條凛花さんの企画に今月も参加です。
塩まみれカチカチの梅干しは、梅酢に漬けて少しふやかして食べています。
2025年の梅仕事は、ふるさと納税で数種類の梅を注文しました。
梅から選定した方が、やはり仕上がりは良さそう。
筍に梅に秋は栗。
楽しい季節仕事が増えました。
プロフィール
バラと桜と航空機をこよなく愛する、とっておき家事ラボ1期生。

