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あざと可愛く恋せよ乙女


世の中"あざと可愛い"が流行はやり。

良くも悪くも言われる言葉ね。

ちょっと昔だったら、『かわい子ぶりっこして!』ってセリフだったんじゃない?
あら、違うかしら。
どちらにしても死語だわね、とっくにもう。

いいじゃない。あざとくったって。
あざと可愛いフリが似合うなら、それでお目当てのだれかが振り向いてくれるなら。

若くて可愛い子の特権よ。

それをまるで、悪いことしてるみたいに言うのは、できないひとのねたみでしかないの。気にしない。

振り向いてもらわなきゃ、おつきあいは始まらないわ。
だから、振り向いてもらえたなら、そこからは真摯に向きあって、大好きって気持ちを伝えて、素敵な関係を築きなさいな。

わたくしみたいに、顔も手もしわくちゃで、髪は真っ白な(ラベンダー色のハイライトを入れてるけれどね。お洒落でしょ)おばあちゃんが、どんなに頑張って"あざと可愛い"仕草をしたって、ぜんぜん似合わないのですから。

お気に入りのカフェで見かけた、とーっても小粋で素敵な男性に心をよせたって、振り向いてもらうのは至難の業。

それでも恋は心の潤い。
窓際の席でブラックの珈琲を飲みながら、分厚いハードカバーの本を読む姿は、遠くの席から眺めているだけで、そりゃあもう、胸がドキドキするわ。

あの本はミステリーかしら。それとも歴史小説?

空想するだけで、心が躍るの。
タイトルがわかったら、私も読んでみるのに。
残念ながら、遠目ではわからないし、書店のロゴが入ったカバーがかかっているから、知りようがないわね。

シルバーグレイの髪を綺麗に撫でつけて、パリッと糊のきいたシャツにベスト。タイは結んでいないけれど、さりげなく開いた襟元に色気を感じるのは、恋しているからかしら。

ふう。
あまり不躾に見つめていては失礼よね。
今日はそろそろおいとましましょうか。
美味しい紅茶も充分、愉しんだことですし。


ねえ、お嬢さん方。
あざといのも、あざと可愛いのも大いに結構。
たくさん恋をして、素敵な方と結ばれて、愛し愛され、人生を謳歌なさいな。


恋せよ乙女!

でしてよ。



(855字)

#片想い文芸部
#33日ライラン


ナルさんの企画に参加です。

つらつら書いていたら、グレイヘアーにラベンダーカラーのメッシュを入れた、上品な恋するおばさまが生まれました。勝手に。
いやはや、書いてて面白かったです。
一人称の難しいところは、その場の説明なんかをどこで入れれば自然に説明できるか、だなと感じます。

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