【母と娘】26才娘。とびっきりの笑顔
先週洗い物をしていたら、26歳の娘がとびっきりの笑顔で横にやってきた。
「なんやろ?」
超にっこりと、でもちょっとはにかんだ感じ。
こんな心から嬉しそうな娘の笑顔を見たのは、すごくすごく久しぶり。
「金曜日、焼肉予約していい?」
満面の笑顔でそう言われて、はじめは訳がわからず「焼肉食べたいってこと?日にち指定で?」と頭が混乱していたら、
『家族みんなに焼肉をごちそうします』という意味だという。

娘は高校に入学してからスマホ(当時はたしかiPhone5)とバイト代を手に入れて青春を謳歌しはじめた。
勉強そっちのけ、遊びづけ、バイトづけ、帰宅は毎日早くても22時を過ぎる…と生半可でない謳歌っぷりに母娘は常にバチバチ状態だった。
「何も悪いことしてない」
これが娘の言い分。
「自分でバイトしたお金で自分の好きなことして、(「駅まで車で迎えにきて」というわけでもなく)自分で自転車こいで駅から帰ってくるのに何があかんの?迷惑かけてないやん。ほっといて。」そういう意味。
毎晩無事に帰宅するか?こんなんで高校卒業できるのか?将来はどうなるのか?そんな親の心配なんて全然わかってない。でも今振り返ったら、思春期で自我が爆発した娘にわかるはずもなく、親の存在なんて、ただただうっとおしかっだのだろう。
「もう卒業は無理かも」と思った高校3年生の1学期。「私の思うように娘を変えるのは無理。将来困り事が起きた時に助けることができる親になろう」と私の気持ちが変化した時から、娘も少しずつ落ち着きはじめたように思う。
なんとか高校を卒業。美容系の専門学校に進学。2年間の濃密なカリキュラムと、バイトと遊び三昧で相変わらず帰宅は遅かったけど、遊びに全振りしていたバイト代をコツコツ貯めて卒業後は一人暮らしをする!と宣言した。
専門学校の卒業式を終えたら一人で大阪市内の不動産屋へ行き、物件を絞って、さすがに内見と契約は「一緒にきて」と頼まれて付き添ったけど、部屋の資金も新生活の準備品もほぼ自分の貯金でまかなって、3月生まれの娘は20歳になってすぐ一人暮らしをはじめた。
親に援助を求めず探した部屋の条件は家賃5万以下、唯一の希望は風呂、トイレ別のみ。内見した中には洗濯機が外置きの部屋もあって、内心「こんなとこに住むんか…」と心配になったけど(結局この部屋はやめて、家賃は5万円を少しオーバーした)、自分のやれることを精一杯やっての独り立ちだった。
『自分がやりたいことは、誰になんと言われようとも自分の力でやる。』思春期の頃は危なっかしくてハラハラしてノイローゼになりそうなぐらい悩んだ娘の行動力が、今はこの子の生きる力なんだと思えるようになった。
美容室のアシスタントとして朝早くから夜遅くまで働きはじめた社会人生活。休みも少なく、帰ったら寝るだけの一人暮らしはきっと大変だっただろうし、生活費も自分の力でなんとかしていたし。だからあの頃は自分が稼いだお金で家族にご馳走するなんて考えてもなかったんだと思う。私も全く期待してなかったし、あの頃も今も自分の力で生きてくれることが一番の孝行だと思っている。
私には自由な暮らしを満喫しているように見えたけど、その後いろいろあったのだろう。詳しいことは何も話してくれないけど、3年前に仕事を辞めてマンションを引き払って今はまた一緒に暮らしている。
外を飛び回っていた高校時代は1日中家にいる日なんて年に2〜3日だった。けれど今はフリーランスで家で仕事をしながら、毎日顔を突き合わせている。
そんな娘に唐突に焼肉に誘われたことは、本当に全くの想定外で心底驚いた。「今からすごいこと言うで!」みたいないたずらっ子のような、だけどちょっと照れくさそうな娘の笑顔がとてもかわいらしく見えた。
家族に喜んでもらいたい気持ちが伝わってきて私はとても嬉しかったけど、誘ってる娘が一番嬉しそうな顔をしていた。それは焼肉当日も同じで、家族の中で一番ご機嫌さんだった。
帰りのコンビニで次から次へとアイスをカゴに放り込む大盤振舞いもしてくれた。(ちょっと酔っていたんだと思う笑)終始笑顔の娘を見ていて、私も胸が熱くなるような嬉しい夜だった。
