20年越しに気づいた私の居場所
最悪のタイミングで発熱した。
夜中に寒気がして、喉と鼻の奥がツンツンしたから嫌な予感がしたけれど。翌日から2泊3日の東京旅行だというのに、なんで今なんだろう。
ぱっと熱が出て、ひと晩寝たらぱっと下がったという話をよく聞くけれど、私は一度発熱したら2、3日伏せることが多いタイプ。この日も安定の38.5度をキープした。
この1週間、喉やおなかの調子がイマイチだったしなぁ。大事をとって夕方に、東京旅行キャンセルの連絡を方々に入れた。しょぼん。
案の定、翌日も熱は下がらなかった。
家族にうつさないよう自主的に寝室で隔離状態になり、風邪のつらさと旅行がダメになったガッカリ感でどんより横になっていた。
発熱1日目も2日目も、夜になると強烈なニンニク臭のおいしい匂いがただよってくる。息子が自分の晩ごはんを作っているようだ。20代健康男子が好みそうな脂ギッシュな(←死語?笑)こてこてメニューが頭に浮かんでくる。
3日目にしてやっと平熱に戻り、キッチンに降りてみた。ちゃんと洗い物もすませて生ゴミも外に出してくれている。「息子、完璧やん!」と思ったら、、、
食べ終えた納豆のパックがそのままに(生ゴミと一緒に捨てるのを忘れたのでしょう)
コンロとシンク上が油でギトギトのまま(気づかない?いや、気にならないのでしょう)
「あーあ」と思ってアルカリ電解水をシュッとスプレーし、きゅきゅっと拭きあげるとあっという間にキレイになった。あれ?なんだか私の調子も上がってきたぞ♪
冷蔵庫を見ると、私が伏せっている間に届いた生協の食材がテキトーに収められていた。何が届いたのか手にとり確認しながら「今日は何が作れるかな?」と冷蔵庫内のいつもの場所に入れなおしていく。あれ?冷蔵庫を整えていたら私の心と身体も整ってきたぞ♪
私は決して料理が好きでも得意でもない。誰かが代わってくれると言ったら、飛び跳ねて交代しちゃう。
けれど結婚生活31年の歴史の力は相当なものだ。毎日立ち続けるうちに、キッチンが私にとってこの家の中で心地よいと感じる場所のひとつになっているではないか。
ちょうど20年前、せっかく注文住宅でマイホームを建てるというのに、私はキッチンの要望をほとんど出さなかった。キッチンカウンターからの見晴らしがいいように吊り戸棚をつけないことと、できるだけ掃除がしやすい換気扇やパネルを、、、たったその2点だけ。背面に造りつけの食器棚が欲しかったけど、予算の都合であっさり却下した。
世の奥さま方は理想のキッチンを叶えるべく、家の中のどの場所よりもたくさんの夢をキッチンに詰め込むのかな?私の場合、他の場所にはあれこれ細かい希望を伝えたから、今考えるときっと「変わった奥さんだな」と思われていただろうな。
悲しいかな、私にとってキッチンは効率よく作業できればそれで良し、掃除しやすければさらに良し、そんな場所だった。
我が家のキッチンを見まわしてみると、2人で作業したり引き出しを引きっぱなしにしても干渉しないぐらいに程よいゆとりと、振り返るだけで冷蔵庫からキッチン家電、食器棚まで全てに手が届く作業効率のよさがちゃんと両立している。
そして吊り戸棚のないカウンターからの眺めはゆったりしていて、大好きなダイニング、リビング、庭の木まで全て見渡せる。
毎日一番長い時間を過ごすこの場所は、ちゃんと私の希望を満たしてくれて、台所仕事をこなしやすく助けてくれて、心のゆとりまで提供してくれているではないか!
知らぬ間に私の居場所になっていたキッチン。
私の心と身体を整えてくれていたキッチン。
のろまな私の台所仕事を家族の誰よりも助けてくれていたキッチン。
今までさほど気にも留めずに20年も過ごしてきてごめんよぉ。これからはキッチン愛をしっかり自覚してあげなくちゃ。
キッチンカウンターのスタンドにスマホをセットしてVoicyを流す。よし、いつもの調子が出てきたぞ♪日曜日の昼下がり、3日ぶりの料理は「豚肉とちくわの卵丼」 ありあわせの材料で、まずは軽〜く準備運動からはじめよう。

8月から香村薫さんのLINE片づけを
はじめる決心をしたことをここで宣言します!
