SOTO~プレヒートを捨てた代償――被災時と「たまに使う道具」という視点で見たSOTOとOPTIMUS NOVA~
私が初めて使ったアウトドア用コンロは、SOTOのSOD-372だった。
購入のきっかけは単純で、当時よく通っていたアウトドアショップがモンベルで、そこで普通に取り扱われていたからだ。
国産メーカー、扱いやすさを売りにした製品、そして「プレヒート不要」という分かりやすい特徴。
初めて液体燃料コンロを使う身としては、これ以上ない安心材料だった。
実際、使い始めた当初の印象は良かった。
点火は簡単で、特別な準備もいらない。
「道具に慣れる」というより、「道具が人に合わせてくれる」感覚に近かった。
気に入っていたので、故障した際にも「もう一台買うか」と同じSOD-372を選んだ。
結果として、私はこの機種を2台使うことになる。
しかし、その2台はいずれも故障した。
多少の故障であれば交換部品はSOTOから出ているが、そうではなかった。
使えなくなった理由はコンロ自体の部品の変形と逆火という、販売されている部品では解消できない点だった。
3台目に選んだOPTIMUS NOVA
3台目として購入したのが、OPTIMUS NOVAだった。
この選択は、アウトドアでの快適さを求めた結果ではない。
むしろ逆で、
被災時や非常時、あるいは「たまに使う道具」として信頼できるか
という観点からの選択だった。
NOVAは、はっきり言って手間がかかる。
プレヒートは必須だし、初見でスマートに扱える道具ではない。
しかし、使ってすぐに分かるのは
軍隊でも使用されているということの意味だ。
分解は一緒についてくるメンテナンスキットでしやすく、構造が簡単で理解しやすい。
Oリングやノズルといった消耗品は単体で販売されており、長期運用が前提になっている。
これは、被災時や非常時を考えたときに、非常に大きな意味を持つ。
プレヒートは「手間」ではなく「選択肢」
NOVAにはプレヒートが必要だ。
一方で、SOTOのSOD-371、372、374といった液体燃料コンロは、プレヒートなしで使えることを最大の特徴としている。
この違いは、単なる使い勝手の差ではない。
プレヒートがあるからこそ、NOVAは灯油を扱える。
灯油は引火点が高く、十分に加熱しなければ安定して燃焼しない。
SOTOがプレヒート不要を実現したということは、裏を返せば
引火点の高い灯油を使わない設計を選んだ ということでもある。
アウトドア用途では問題になりにくいが、被災時や非常時を考えると話は変わる。
灯油という燃料の現実的な強さ
灯油は、入手性が高い。
ガソリンやホワイトガソリンに比べ、流通量が多く、被災時でも比較的手に入りやすい。
さらに、灯油は灯油ストーブと共用できる。
燃料を一本化でき、保存や管理もしやすい。
「特定の機器専用燃料」ではなく、
生活燃料としての汎用性が高い という点が、非常時には圧倒的な強みになる。
SOTOの液体燃料コンロは、通常使用では問題ないが、
燃料の選択肢という意味ではどうしても制限が多い。
消火・再点火方法に表れる「想定シーン」の違い
もう一つ、被災時運用で差が出るのが消火と再点火だ。
NOVAは、タンクを加圧した状態のまま燃料供給を止めて消火できる。
その後に使用する場合は、プレヒートをして点火すれば可能だ。
これは、
・移動しない
・同じ場所で断続的に使う
といった状況では非常に便利だ。
一方、SOTOは基本的に減圧して消火する設計になっている。
安全面では理にかなっているが、使うたびに加圧が必要になる。
キャンプでは些細な違いかもしれない。
しかし、被災時や日常の「ちょっと使い」では、この差がじわじわ効いてくる。
被災時・日常用途で見えてくる結論
SOTOの「プレヒート不要」という技術は、確かに優れている。
点火が簡単で、扱いやすく、アウトドア入門には向いている。
しかし、
灯油が使えない
燃料の入手性に制約がある
消火ごとに減圧が必要
故障時の対処が難しい
といった点を考えると、
被災時運用や、たまに使う生活道具としては不向き だと感じるようになった。
NOVAは不親切だ。
だが、その不親切さは「想定環境が過酷である」ことの裏返しでもある。
プレヒートは、単なる手間ではない。
燃料の自由度、運用の柔軟性、非常時の信頼性を支える重要な工程だ。
被災時や日常用途という視点で見ると、
OPTIMUS NOVAの方が、はるかに合理的で、優位な選択肢 だと今は思っている。
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