《結婚しよう》
お母さんに結婚を申し込んだところ、お父さんにどつかれた。
というのもお父さんはお母さんのことが大好きだったからだ。
仕方なく妹に結婚を申し込んだら、お姉ちゃんにどつかれた。
お姉ちゃんは妹が大好きだったからだ。
お姉ちゃんに結婚を申し込もうかと思ったが、いつも僕をぞんざいに扱うのでヤメた。
お父さんはお姉ちゃんのことも妹のことも大好きで、僕のことはもっと大好きらしい。
それだったらお父さんと結婚すればいい、
と思うだろ?
でもお父さんに結婚を申し込んだら、お母さんが悲しむ。
お母さんが悲しむとお姉ちゃんも妹も、僕に憤慨するだろう。
つまるところ僕は行き場が無い状態に追い込まれている。
それだったら家族以外とって思うかも知れないけど、この家には扉がない。
扉があってもドアノブが無い。
ドアノブがあったとしても、回すための手がない。
手があったとしても意思がない。
そういうわけで僕は一生このままだ。
弟が僕を物欲しそうに見ている。
でも彼に求婚されても断らなければならない。
倫理とはそういうものだ。
分かるだろ?
