〈チッチ〉
俺は乳首がふたつだから女の子が好きなのか?
そうかも知れない。
おでこにもう一個乳首がある子を想像してみる。
うん、やはりそんなに好きになれないかも知れない。
仮に美貌を持っていたとしても。
胸の真ん中にもう一個あったとしたら?
それでもやっぱり違和感が勝ってしまうやも。
というかどこかグロテスクにも感じてしまう。
随分と勝手なもんじゃないか?
乳首が三つあったからって、勝手にグロく感じるなんて。
結局それは大多数のサンプルから外れてるからに過ぎない。
人間の感性なんてこの程度のものなんだな。
結局感覚だなんて言っても、所詮はサンプル適合を見てるだけなんだ。
俺はなんだか申し訳なくなってしまい、乳首3個の女の子を想像する。
そうしてその子と行為する自分を想像する。
女性の裸体の引力と、その異形による忌避感が、俺のなかで強烈に綱引きをする。
でもふと、女の子がそれをどこか恥じらいつつも、それでいて深刻に受け止め過ぎていなかったら───
愛せるかもなと思った。
いや、むしろ魅力にすらなりそうだ。
オデコの場合はちょっと分からないが。
「顔」というやつはただの表面的な肉と皮膚だっていうのに、いつも俺たちの心を掻き乱してしまう。
人間とはやはり勝手なもので、完全に開き直ってしまっていたらそこに魅力は宿らない。
それを自覚しつつどこか恥じらう、というその態度まで求めてしまっている。
これこそ真のグロテスクじゃないだろうか?
その〈事実〉をどう受け止めるかまで、要求してしまっているなんて。
「性」はいつも俺の倫理も自己規定もバラバラにしてしまう。
女の子の乳房。
言うこときかない衛星ふたつ──。
