【チャレがや】告白
高層ビルのバーラウンジ。
窓際のソファ席で、若い男が二人、隣り合って座っている。
ひとりは憂いの瞳が印象的なクールビューティ。
もうひとりは黒縁メガネの奥に油断ならぬ光が宿る、如何にも切れ者然とした背の高い男。
二人が傾けるグラスの中身は、まんまるの氷が入ったバーボン。
それに合わせるのは、ビターチョコレートと、チーズとフルーツの盛り合わせ。
眼下に東京の夜景を眺めながら、クールビューティがおもむろに口を開いた。
「あのさ。今まで黙ってたんだけど」
「ん?」
「あっ…やっぱいいや」
「何だよそれ。勿体ぶってるのか?」
「そうじゃないけど」
「ふふ。どうした。思わせぶりじゃねえか」
「あ、ばか、やめろ」
「照れるなよ。今日が初めてじゃあるまいし」
「…」
「で、何?」
「…あのさ。実は、俺」
「うん」
「…俺、この時代の人間じゃねえんだ」
「知ってた」
「え?」
「だってお前、なんか色々変だったし」
「マジか…」
苦い顔と、悪戯な視線が絡み合う。
「で、何処から来たの?」
「千年後の未来」
「へえ。どうやって?」
「時空転移装置ってのがあって、それ使って」
「何をしに?」
「…あんたを消しに」
「へっ?」
「二十年後、あんたは未来に負債を残すでかいことをやらかす。それを止めるのが俺の使命だ」
「へえええ。俺ただのサラリーマンだけどな」
「二十年後はそうじゃない。詳しくは言えないけど」
「歴史が変わるから?」
「うん」
「でも、俺を消す行為は歴史を変えることになるんじゃねえの?」
「やっぱりあんた、頭いいな」
「いやいや普通に気づくだろそれ位」
「確かに」
「だけどさ。こっちに来てから思ったんだよ」
「うん?」
「あんたがやったことが歴史の必然だとしたら、あんたひとり消したところでしょうがないんじゃないかって」
「俺を消しても、歴史の必然なら別の誰かが成就しちゃうってこと?」
「うん。検証不能な話だけど、そんな気がしてきた」
「だとしたら、全人類消さないと無理って話だ」
「ははは、酷いなそれ」
「全くだ」
二人は乾いた笑い声を立てると、バーボンを同時に飲み干した。
「っていうか…俺、未来なんかどうでもよくなっちゃってさ」
「おいおい。なんか矛盾してね?未来のために俺を消しにきたんだろ?」
「はは、そうだね。でもさ」
「何だよ、急にもじもじして」
「俺は…あんたとこうしていられたら、それでいいや」
「参ったな。今度は愛の告白かよ」
「…迷惑?」
「んなわけないだろ」
「…あっ、ちょっと」
「逃げるなよ」
「…」
二人は、バーボンのダブルショットをお代わりした。
夜はまだ、長い。
おわり。(1043字。ちょっと超えちゃった💦)
自称:みくまゆ会かながわ支部メンバーのひつぎ ひなたです。
またまたみくまゆ会さまの企画に飛び入り参加させて頂きました。
今回はBL×SFで挑んでみました。
今後とも宜しくお願い致します💞
