【創作雑感】私は本職ネタを小説に書けない
私の本職は、IT技術者である。
ITの業務は多岐にわたるが、私の場合は主に、既存システムのシステム改修や保守・運用に従事している。
で、私のもう一つの顔は、商業出版を目指している創作者である。
残念ながらその道の行く先はまだ見えていないが、何時かはその細い糸を手繰ることが出来ると信じて、せっせと小説を書いている。
(去年あたりまではこんなことはとても恥ずかしくて言えなかったが、言霊を信じて堂々と公言することにした)
NOTEの創作大賞のお祭り真っ只中ということもあって、ここのところお仕事小説なんてものの宣伝をちらほらと拝見する。
中には本職でのあれこれをネタにされている方もおられるようで、
「ほえー、凄いなあ。書けちゃうんだ」
と、素直に感嘆している。
それはなぜかと言うと。
私には、ITの現場をネタにした小説なんか、絶対に書けないからだ。
ところで。
私はどうして頑なにも「絶対に書けない」と思っているんだろう?
先ほどふとそんな疑問が沸いたので、私の心の奥底に分け入ってみることにした。
理由その1:現代という時代にそもそも興味がない。
私の性格上、1ミリたりとも興味が沸かないものには、全く食指が動かない。
現代という時代は創作のネタにするには、何かにつけて曖昧すぎる。この時代固有の芯みたいなものが掴めないというのが正確かもしれない。
現代ものをそれでも書くとしたら、不思議要素を絡めるか、ボーイズラブに逃げるしかない。そんな感じ。
理由その2:仕事はあまりにもリアルと地続き過ぎる。
私にとっての仕事とは、生活の一部どころか人生そのものみたいなところがある。
今はベテランになって流石にそんなことはなくなったが、若い頃は仕事ばっかりしていた。好きだとかそういう次元ではなく、単純にそうしないと仕事が終わらなかったからである。
仕事のことを創作ネタとするには、あまりにも人生に密着しすぎて逆に手を出しにくい、と心のどこかで思っているのかもしれない。
理由その3:IT業界は普通に苦界
おそらく、これが一番大きな理由だと思う。
これこそ立場や人による話になるんだろうけど、私にとってのIT業界って、決して楽しいばかりのところではない。むしろ苦しいことの方が断然多い。
障害が出て、原因がわからなければ本当に苦しいし。
設計していて、課題が解消されないと本当に苦しいし。
プログラムを組んでいて、不可解な現象に出くわすと本当に苦しいし。
エンドユーザとのやり取りも、相手がわからずやだとマジイラっとするし。
どう考えても無理なスケジュールを押し付けられたりすることなんか、割とよくある話だし。
理不尽なこともまあまああるし。
変な人に遭遇する率はそこそこ高いし
※今はそうでもなくなったけど、昔は本当に偏屈な人がいた
こんな経験していたら、そりゃ小説のネタになんか出来ないですよ。
あれこれ嫌な記憶を紐解くことになって、地味にダメージ食らうことが目に見えているから。
それじゃあ、何で私はこんなに苦しみながらもこの仕事続けているのか。
それは多分…。
■小難しいことを考えるのが実は好き
■設計したりプログラムを組むことは大好き。
テストはテストパターンを作るところまでは好き。テスト実施は面倒臭いから大嫌い。
■問題が解決した時の喜びと解放感はマジウルトラ級
■「助かりました!」って感謝された時の喜びもマジウルトラ級
自らの心に分け入ってみて、
本職が小説のネタにならないし、出来もしないのは無理もない。
そのことがすとんと腑に落ちる結果になった。
私の場合は、本職は本職として苦しみ抜いて時々ウルトラな喜びをゲットし、創作は創作で書きたいものを書きたいように楽しくやるのが良いようである。
おわり。
