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時間浪費の正体とは…『あっという間に人は死ぬから』

 本書が目指す「有意義な時間の使い方」とは、自分の人生の舵を自分で握ることとその覚悟、そして智慧を手に入れ、人生の3つの理(死・孤独・責任)を受け入れながら、自分の人生をコントロールしていくこと、と定義します。


先月は、時間に関する本を集中的に読んでいました。

その中でも特に印象的だったのが、YouTuber としても活躍されている統計のお姉さんサトマイこと佐藤舞さんの『あっという間に人は死ぬから 「時間を食べつくすモンスター」の正体と倒し方』。

本書は「時間浪費はなぜ起こるのか?」というテーマについて、その根本的な原因を明らかにしてくれる一冊です。

副題が『時間を食べ尽くすモンスターの正体と倒し方』だから、タイムマネジメントの本かなと思っていましたが、良い意味で予想を裏切られました。


時間を食べつくすモンスターの正体


著者は、時間浪費の正体を次のように述べます。

人生の3つの理
 ①死 ➁孤独 ③責任

 この3つの理を避けるために無意識に自分にウソをついて行っている行動が、間違った時間の使い方を生み出しているのです。

人は誰しも「」を避けられません。
また、同じ世界に生きていても完全に理解し合うことはできず、本来「孤独」な存在です。

さらに、生き方やキャリア、結婚など自由に選択できる一方で、その「責任」は自分で負わなければなりません。例えうまくいかなくても、誰のせいにもできないのです。

言われてみれば当たり前ですが、これらには漠然とした不安が伴うため、私達は日常的にコーピング(ストレスに対する意図的な対処)をしています。

例えば、「死の不安に対処するため、何かに没頭して悩まないようにする」といった具合です。

コーピングは自然な反応であり、それ自体が悪いわけではありません。
ですが、度が過ぎてしまうと「ゲームに夢中になって日常生活に支障をきたす」など、人生に長期的な悪影響を与えてしまうことがあります。

よくないと分かっているのにやってしまう、アレですね。
思い当たるふしがありすぎて苦笑いでした。

やっかいなのは自覚のないコーピングです。
例えば、「死」の漠然とした恐怖から逃れるためにワーカホリックになり、それを「家族を養うためだ」と正当化するケースです。

一見もっともらしいし、事実も含まれているから分かりにくいですが、これも自分に対するウソ・いいわけなのだそうです。

 自分の偏見や信じていることを肯定するような証拠を見つけて、自分の行動を正当化したり、自分で自分にウソをつく行為を「自己欺瞞」といいます。


著者は、自分の本来ありたい姿、大事にしたいことが分からないままに、自分で自分にウソをついて、それほど大事でないことに膨大な時間を使っているから、人生があっと言う間に終わってしまうのだ…と言っているわけです。

そう考えると、ちょっとゾっとしませんか?

時間浪費は、想像以上に深い問題だということに気付かされました。

価値観を明らかにしよう


本書では、人生を有意義に過ごすためには、自分の「価値観」を明確にする必要があると説きます。

この「価値観」の定義がけっこう難しく、実際に本書を読んでみてほしいのですが、文章で定義される行動指針のようなものだと思ってください。

「価値観」を明確にするためのワークにしっかりとページが割かれていて、それに取り組むことで読者が内省を深めていける構成になっています。

私たちは、時間を有効に使うために、何をすべきで何をすべきでないのか、1日の中でタスクをどう効率よく組み込むのか、ということを考えがちです。

もちろんこれらも大切ですが、そもそも自分が目指したい場所はどこなのか、価値観に沿った行動とは何なのか、一番根底の部分が定まっていなければ、本来望んでいない場所に辿り着いてしまうかもしれませんよね。

本書は「生き方の指南書」「人生哲学」と呼んだ方がしっくりくるような、奥が深い内容です。

科学的なデータに加えて、哲学者の言葉も数多く引用されていますし、

「私達は時間をコントロールできるのか?」
「つまらないタスクを効率的にこなせるようになったとして、それで人生は充実するのだろうか?」

と問題提起をして、考えを深めていく過程そのものが哲学だと思いました。

通読するだけでも「読んでよかった」と思えるはずですが、価値観を探るワークに丁寧に向き合うことで、その価値が増してくる作品だと思います。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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