夫を亡くしたあと、月がやさしかった
これはパパが亡くなって間がない頃の話ーー
ばあばは毎日泊まりに来てくれていた。
「ちょっと家のことをしてきてもいいかな。
終わったら必ず来るからね。」と言って
少しの間いなくなった。
はじめて、私と子どもたちだけで眠るぞ。
でもできるはずだ。
私も親だし、パパがいた時も、
早出のパパは先に寝ていたから私1人で寝かせていた。
パパが出張の時にも寝かせていたんだから……。
寝室に行って、部屋を暗くして。
さあ寝ようとしていたら、子どもたちが喧嘩を始めた。
なだめようと思ったけれど、手が出始めた。
今までは、激しい喧嘩になったら
1人を私が、もう1人をパパがみて、
距離を離して、それぞれの言い分を聞いたり抱きしめたり……
ってしてきた。
でももうパパはいない。
私も気力が残っていなかった。
激しい喧嘩をうまくおさめることもできず、
パパがいないことも悲しくて、どうしたらいいのかわからなくて。
「お月さま見に行こっか」
1人はついてきたけれど、もう1人は
「◯◯が一緒だから行かない!」と。
何度誘っても行かないと言うので、1人を連れて家の外へ。
となりの駐車場に移動する。
月を見上げたら、ただきれいだった。
遠くて、優しかった。
私は、つらくて、寂しかった。
「きれいだねえ……」
しばらく見ていたら、
もう1人の子が寝室から出てきた気配がした。
「外に出ておいでー。お月さま、きれいだよー」
声をかけると、出てきた。
子供たちとお月さまを見ていると、ばあばが帰ってきて、
私たちを見てびっくりしていた。
私は「まだまだで不甲斐ない。
どうしたらいいのかわからなかった。」と伝えたら、
「お月さま見に行こって言って、それで落ち着いたんだよ。
ちゃんとやってるんだよ」
と言われた。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
ここに書いているのは特別な話ではなく、私の日常です。
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