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夫がいなくなってからの「説明のつかない出来事」|自死遺族|

告別式も終わり、家に帰る。
夫の物が溢れている空間に、夫がいない。
その現実がどうしても受け止めきれなかった。

家事も育児も、日常生活そのものが手につかなくなった。
放心状態。
視界は透明の墨を流し入れたよう。
しばらく家族が付きっきりでそばにいてくれて、なんとか時間が流れていったけれど、あの頃どうやって過ごしていたのか、自分でもよく思い出せない。

親戚のおばちゃんが「子供がいるから辛いけど頑張らないとね」と声をかけてくれた。
その言葉は不思議なくらい自分の中に入ってこなかった。


そんなとき、周りで“説明のつかないこと”が起こるようになった。

猫が、しゃべるように口を動かす。
雪が舞う(この地域ではめったにない)。
背中から包まれているような感覚がする。
歩いていたら、小さなつむじ風が私についてくる。
薬局では、周りに人がいないのにふいに加齢臭が二度。

お仏壇に話しかけていたら、カーテンがゆらゆら揺れた。
ドアも窓も開いていない私しかいない部屋で。

電話中は音が飛んだり、通話が頻繁に途切れた。
「パパの仕業?」と思いながら、その度に胸がぎゅっとなった。


『これから起こる出来事や、自分が感じたことを記録していこう』
そう思ったのは、この頃だったか……。

I と U のキーボードだけ一時的に押せなくなった。
寝室でパパのにおいが二度、はっきりと漂う。
玄関のドアが “カチャッ…カチャッ” と二度鳴ったり。


姪っ子が教えてくれた。
通夜の時、泣いているおばちゃんの頭の上にお線香の煙が来て、くるくるまわっていたんだよ。

パパ、そばにいるのかな……




最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
ここに書いているのは特別な話ではなく、私の日常です。
同じような気持ちを抱えている方にも、そうでない方にも、何かが届けばうれしいです。

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