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その日本語、本当に伝わっていますか? N1の台湾人スタッフでも起きる指示ミスの原因

「それってそういう意味じゃないですよね?」
「いや、そう指示したつもりはなかったんだけど……」

台湾人スタッフとのやり取りで、このようなすれ違いにストレスを感じたことはありませんか?


・会話は問題ない。
・メールもできる。
・会議でも普通にやり取りできる。


それなのに、業務指示だけがなぜかズレる。

むしろN1レベルのスタッフだからこそ、「伝わっているはずだ」という前提が生まれやすく、認識のズレに気づきにくくなります。

そこには、日本語能力試験では見えない“構造的なズレ”があります。
そして本質は、日本語能力の差ではなく、日本語の理解プロセスの違いです。


N1・N2でも指示が正確に伝わらない理由


N1やN2を持っていても、日本人と同じように日本語を処理しているとは限りません。
特に多いのが、聞き取れた単語と状況から意味を組み立てて理解するケースです。


例えば、
    「明日、友達、私、学校、行きます」

 という言葉を聞いても、多くの人は

    「明日、友達と私は学校に行きます」

 と意味を補って理解できます。
 

これは文法を厳密に処理しているというより、
キーワードから全体像を組み立てている状態です。

台湾人スタッフの中にも、
このように“単語ベースで意味を構築し理解する”人がいます。
これは能力の問題というより、第二言語運用の自然な特徴でもあります。


なぜ仕事の会話は問題なく回るのか


仕事の日本語は、ある程度パターン化されています。
担当業務が決まっているため、

  • よく使う単語

  • よく起きる問題

  • よくある会議の流れ

  • よくある質問

が繰り返されます。


そのため、細かい文法や表現を完全に処理できていなくても、
単語と状況の組み合わせで意味を補完できます。
結果として、日常業務や会議では大きな問題が表面化しにくくなります。


問題は「いつもと違う指示」が出たとき


認識のズレが起きるのは、いつもと少し違う指示が出たときです。


例えば、
   「お客様が来るので会議室の準備が必要か確認してください」

この指示を、日本人は
   「準備が必要かどうか確認する」

と理解します。


しかし台湾人スタッフによっては、

  • お客様が来る

  • 会議室

  • 準備

  • 必要

という単語だけが強く残り、
   「会議室を準備する」

という行動に変換されてしまうことがあります。

ここで起きているのは日本語のレベルの問題ではなく、
文章をどう読み取り、意味を組み立てているかの違いです。
 


「確認してください」が落ちると誤解が起きる


日本人が自然に使う以下の表現も、誤解ポイントになります。

  • ~してください

  • ~してもらえますか

  • ~しなくていいですか

  • ~したほうがいいです


なぜ確認せずに進めてしまうのか


日本人からすると、
「分からないなら聞いてほしい」
と感じる場面です。

しかし台湾人スタッフ側では、
単語と状況から意味が組み立てられているため、
  「理解できた」
という認識になっていることがあります。

つまり本人の中では“曖昧”ではなく“確定”になっているため、
確認という行動が発生しません。

このズレが、

  • 伝えたつもり

  • 理解したつもり

のギャップを生みます。


「ない」に引っ張られる人は意外と多い


例えば、
   「この件は急ぎではないので、今日対応しなくても大丈夫です」

日本人の意図は
  「優先度は低いが、可能なら進めても問題ない」

というニュアンスです。

しかし台湾人スタッフの中には、
  「急ぎではない」
  「今日やらなくても大丈夫」

という表現をそのまま“指示”として受け取り、
  「今日は対応しなくてよい(=対応は後回しで問題ない)」

と判断してしまうケースがあります。


本来は“優先順位の低い依頼”ですが、
日本語のやわらかい否定表現が「不要」という意味として
処理されてしまうのです。

否定表現は特に、誤解が起きやすい領域です。
日本語では文全体で意味が決まりますが、
単語単位で処理する場面では「否定語だけが強く残る」ことがあります。


指示ミスを減らす最もシンプルな方法


結論はシンプルです。

  一文を短く分けることです。


例えば、
  「会議はランチ前までに終わる予定なので、
    弁当の用意をしなくていいか確認してください」

ではなく、

  「会議はランチ前に終わります。」
  「弁当が必要か確認してください。」

と分ける。



日本人は文全体をまとめて理解しますが、
第二言語として日本語を使う人は、
前から順番に情報を処理する傾向があります。


そのため、一文が長いほど重要な情報が埋もれやすくなります。


日本語能力試験と実務コミュニケーションは別物

N1を持っている=日本語の理解が正確というわけではありません。

会話が成立することと、業務指示を正確に理解できることは別です。

さらにこのズレは、一般的な日本語の面接ではほとんど見抜けません。
面接では質問内容がある程度予測でき、準備して臨めるため、
日本語の評価が高くなってしまいます。

しかし実務では、曖昧な指示・例外対応・急な変更などが発生し、
その場面で初めてズレが顕在化します。


まとめ

  • N1でも日本人と同じように理解できるとは限らない

  • 台湾人スタッフは単語+状況で意味を組み立てることがある

  • 指示ミスは能力ではなく「理解プロセスの違い」

  • 面接ではこのズレは見えにくい

  • 一文を短くするだけで認識ミスは大きく減る


台湾人スタッフとのコミュニケーションでミスが続く場合、
相手の日本語力を上げることに意識を向ける前に、
まず自分の日本語を短くしてみてください。

台湾人の日本語は急に上達するものではありませんが、
自分の伝え方は今日から変えられます。

日本人は「正しく伝えたか」で判断しがちです。
しかし仕事で重要なのは、
「正しく伝えたか」ではなく「正しく伝わったか」です。

「正しい日本語」ではなく、「相手に伝わる日本語」を意識すること。

その小さな違いが、
指示ミスや認識ズレといった業務リスクを確実に減らしていきます。

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