台湾人スタッフの「最初が聞き取れませんでした」が起きる本当の理由
「エリックさん、明日の会議についてですが…」
と言ったあとに、
「最初の部分が分かりませんでした」
と言われたことはありませんか。
多くの日本人はこの場面で、
「日本語能力が足りないのではないか」と考えます。
しかし問題は、日本語力ではありません。
問題は、
日本語を聞く準備ができていないことによる**“3秒のズレ”**です。
この数秒のズレが、台湾人スタッフとのコミュニケーションミスの原因になっているケースは少なくありません。
名前を呼んですぐ指示していませんか?
台湾人スタッフに指示を出すとき、
まず相手の名前を呼ぶ人は多いと思います。
「エリックさん」
と呼ぶこと自体は、すでに多くの人ができています。
しかし、その直後にすぐ本題に入っていないでしょうか。
日本人同士であれば、
「エリックさん、明日の会議の件ですが…」
で問題なく通じます。
しかし台湾人スタッフにとって日本語は外国語です。
名前を呼ばれた瞬間に、
すぐ日本語モードへ切り替わるとは限りません。
そのため、切り替え前に話し始めた内容は、
最初の部分が抜け落ちることがあります。
結果として、
「もう一度お願いします」
「最初が聞き取れませんでした」
というやり取りが発生します。
なぜ“3秒のズレ”が起きるのか
台湾人スタッフは普段、中国語で仕事をしています。
その状態で名前を呼ばれると、
頭の中はまだ中国語モードのままです。
そこから日本語を聞き取り、
日本語として理解するには、
ほんの数秒ですが切り替えの時間が必要になります。
これは日本人が英語の会議で突然指名されたときと同じです。
英語が理解できても、最初の一言を聞き逃すことがあります。
それと同じ現象が起きています。
問題は日本語力ではなく「3秒のズレ」
ここで重要なのは、
問題は日本語力ではなく、「3秒のズレ」だということです。
日本語ができる・できないの話ではなく、
「日本語を聞く状態に切り替わっているかどうか」
がポイントになります。
この視点を持たないまま、
日本語力が低い
何度言っても伝わらない
と判断してしまうと、本質的な改善ができません。
日本語モードに切り替える時間を作る
では、どうすればよいのでしょうか。
ポイントはシンプルです。
相手が日本語を聞く準備ができる“時間”を作ることです。
例えば、
日本人:「エリックさん」
台湾人:「はい」
日本人:「少しお時間よろしいですか」
台湾人:「はい、大丈夫です」
この一呼吸によって、相手は日本語モードに切り替わります。
その後に本題に入ることで、情報の欠落が起きにくくなります。
どんな人ほどズレが起きやすいか
特に次のような人は、この“数秒のズレ”が起きやすい傾向があります。
・日本語を使う職場での勤務経験が浅い人
・日本人との会議のときだけ日本語を使う人
・日本語は学んでいるが実務経験が少ない人
一方で、
・日系企業での勤務経験が長い人
・日本への留学経験がある人
は、日本語モードへの切り替えが早く、ズレが起きにくくなります。
小さなズレが大きなリスクになる
日本人にとってはわずか数秒の話です。
しかし、この数秒を無視すると、
指示の聞き漏れ
認識違い
手戻り
業務ミス
といったビジネス上のリスクにつながる可能性があります。
まとめ
台湾人スタッフとの日本語コミュニケーションで重要なのは、
「日本語ができるかどうか」ではなく、
「日本語を処理できる状態になっているかどうか」 です。
そして、その状態を左右しているのが数秒のズレです。
この視点を持つだけで、
同じ指示でも伝わり方は大きく変わります。
これは単なるコミュニケーション改善ではなく、
業務リスクそのものを減らす行動
でもあります。
