開業から始まった「伝える医療」──真実と向き合う僕の原点

横浜・あかね台での出発

2003年9月、僕たちは横浜市青葉区に「あかね台眼科脳神経外科クリニック」を開業しました。開業に先立って行った内覧会と食事会のビデオを見ると、若かりし日の自分と妻の姿が映っていて、懐かしさとともに当時の決意が蘇ります。

実は僕の叔母が座間市で眼科医院を開業しており、僕たちに医院を継がせたいという思いを持っていました。しかし、大正生まれの叔母は「働けなくなったらお願いね」というスタンスで、僕たちの価値観とはどうしても合いませんでした。そこで僕たちは独自の道を選び、今のあかね台での開業を決意したのです。なお、叔母の医院は現在、従妹夫婦が引き継いで眼科として続いています。

開業当初、妻が担当する眼科には多くの患者さんが来院してくださった一方で、僕の脳神経外科にはなかなか患者さんが集まりませんでした。「脳神経外科って、いつ行くところなの?」という戸惑いの声も多く、現実は厳しいものでした。

内科やリハビリ科も併設すべきだという助言も数多くいただきましたが、僕が目指したのは「脳卒中を未然に防ぐ」医療。その理念を貫くため、専門である脳外科に特化し、妻の眼科とともに専門性を生かしたクリニックを作り上げることにこだわりました。

現実には、診療の利益はなかなか上がらず、運転資金はあっという間に底をつきました。幸いにもメインバンクが融資に応じてくれ、クリニックの運営を続けることができましたが、採算重視ではない僕のスタイルは、今でも常に経営的な課題と隣り合わせです。


「伝える」ために始めたブログ

患者さんの来院を待っているだけでは限界がある──そう感じた僕は、当時まだ医師の間では一般的でなかった「インターネットでの情報発信」に踏み出しました。つまり、ブログの執筆です。

その背景には、アメリカの親友である医師から教えられた、医療に対する考え方の衝撃がありました。「病気は自己責任である」という価値観に加え、すでにアメリカでは、トランス脂肪酸や人工甘味料のリスク、電磁波や化学物質の健康への影響といったテーマが、一般市民の間でも広く共有されていたのです。

一方、日本ではそうした視点で情報発信を始めると、匿名の批判が恐ろしいほど相次ぎました。誰が叩いているのかは分かりません。すべて匿名です。ただただ、見えない誰かが執拗に攻撃してくる。そのとき、インターネットの怖さを身をもって知りましたし、「おかしいことをおかしい」「正しいことを正しい」と口にするだけで叩かれる社会なのだという現実も痛感しました。

それ以降、僕はブログをやめ、講演などを通じて直接伝える活動に力を入れるようになっていったのです。


『ダイ・ハード4.0』が教えてくれたこと

僕がこの情報の構造に気づいたのは、2004年公開の映画『ダイ・ハード4.0』のあるセリフがきっかけでした。

ブルース・ウィリス演じるマクレーン刑事と、天才ハッカーのファレルが交わす何気ない会話。

ファレル:「ニュース? あんた、そんなの信じてるのか?」
マクレーン:「お前を襲ったやつの情報が出るかもしれないだろ」
ファレル:「いや、あれは全部操作されてるんだ。人々を恐怖に閉じ込めて、必要でもないものを買わせるためのツールなんだよ」

※本稿は映画『ダイ・ハード4.0』(© 2007 Twentieth Century Fox Film Corporation)のセリフを引用・意訳し、考察目的で掲載しています。

「ニュースは企業プロパガンダであり、恐怖装置だ」──この映画のセリフを通じて、僕は気づかされたのです。人々は、知らず知らずのうちに「恐怖」と「消費」に支配されていると。

調べていくうちに、米国では「ニュースの内容をそのまま信じる人は1割未満」である一方、日本では「NHKが伝えれば7割以上が信じる」という状況であることが分かりました。さらに、NHKも民放もニュース番組の多くは外注制作で、大手広告代理店が中心となって作り、キャスターはその台本を読むだけという構造になっています。

どのチャンネルを回しても似たようなニュースになるのは、取材が同じだからではなく、「構造が同じ」だからです。

僕たちがテレビのニュースに煽られて行動を変えると、広告代理店が儲かり、スポンサーが喜ぶ。こうして「恐怖」「誘導」「消費」が連動した構造が完成しているのです。

僕はそれまで、自分が学んできた医学に対しては疑問を持ち、さまざまに調べていましたが、「ニュースが嘘をつく」という可能性については、まったく想像していませんでした。だからこそ、このセリフには強い衝撃を受けたのです。そしてこの事実に気づいた2004年から、「伝えずにはいられない」という強い思いが芽生えました。


電磁波──見えない「恐怖」の正体

WHOの研究員であった故・兜真徳先生の研究によれば、子どもたちが4ミリガウス(mG)以上の電磁界にさらされると、白血病や脳腫瘍のリスクが著しく上がることが報告されています。しかしこの研究は、日本の御用学者たちによって「Cランク」に格下げされ、研究費も打ち切られてしまいました。

ところがその後、兜先生の報告はWHOに正式に採用され、国際的な基準となったのです。

私はこの報告を知った直後、自宅・職場・車内・家電製品など、身の回りの電磁波をトリフィールドメーターで徹底的に計測しました。結果は、想像以上に衝撃的でした。「私たちは、目に見えない“恐怖”の中で暮らしている」──そう痛感せずにはいられませんでした。

実は僕は車が大好きなのですが、それ以来、ハイブリッド車や電気自動車には一切乗らないと決めています。特にハイブリッド車の車内では、当時とんでもないレベルの電磁波が検出されていたからです。現在の車は、おそらくシールド技術の進化により安全性が大きく向上していると思います。しかし、私はいまだに完全には信用できず、一生ガソリン車に乗り続けるつもりでいます。


携帯電話の電磁波と「予防原則」の欠如

2011年、WHOはついに「携帯電話の電磁波に発がん性がある」と公式に認めました。実はこの見解は、2008年に発表されるはずでした。しかし、なぜか発表は延期されます。その背景には、研究チームの「安全派」のリーダーが、携帯電話業界から巨額の資金提供を受けていたという事実があったのです。

欧州諸国ではすでに、子どもによる携帯電話の使用禁止、学校でのWi-Fiの使用制限、イヤホンマイクの義務化など、「予防原則」に基づいた対応が進んでいます。この「予防原則」とは、「危険性の可能性があるならば、まずは危険として扱う」という、極めて理にかなった考え方です。

ところが日本では、逆の姿勢が常識とされているのが現状です。「危険と断定されるまでは、安全とみなす」──これは本当に国民のための姿勢なのでしょうか?私は、この考え方が、国民の健康ではなく、企業の利益を優先しているのではないかと疑っています。

だからこそ、この矛盾に一人でも多くの方が気づいてほしいと願っています。

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