映画「切腹」
先日92歳で逝去された仲代達矢氏を追悼して仲代氏の映画を紹介する。
「切腹」という映画は恵庭のレンタルビデオ屋で借りて観たのをよく覚えている。
当時のレンタルビデオ屋は個人経営の店もあって懇意なしていた店主は大手では置かないようなマニアックなビデオソフトも置いていたし、常連だったので「こんな映画とか置いて欲しい」とリクエストしたら置いてくれたりしていた。
個人的にこの店を通して当時バカ高かったビデオソフトを少しだけ安く買えたりしていたこともあって、メーカーから送られてくるポスターをくれたりした。
その中にこの「切腹」のポスターがあり、日曜下宿と呼ばれた自衛隊から外出してゆっくりくつろげる下宿部屋を借りていた部屋の壁に貼っていた。
なのでとても懐かしい感じがする映画だ。
『切腹』は、1962年(昭和37年)9月16日公開の日本映画。
滝口康彦の小説『異聞浪人記』(1958年)を元に橋本忍が脚本、小林正樹が演出・監督した作品である。
公開時の惹句は、「豪剣うなる八相くずし! 嵐よぶ三つの決闘!」である。
昭和37年度芸術祭参加作品。
社会派映画を監督してきた小林正樹が、初めて演出した時代劇映画である。
武家社会の虚飾と武士道の残酷性などの要素をふんだんに取り入れ、かつて日本人が尊重していたサムライ精神へのアンチテーゼがこめられた作品である。
しかし監督の意図とは逆に、外国の映画評はその残酷性を古典的な悲劇美として高評した。

動画のシーンである終盤の津雲半四郎演じる仲代達矢と沢潟彦九郎役の丹波哲郎の、護持院原での決闘では殺陣に使われる竹光ではなく真剣が使われており、文字通り命懸けの撮影であった。
この時の仲代が用いているのが、戦国時代の「沈なる身の兵法」といわれる鎧武者が戦うために腰を低く落とし、脇に刀を構える「八相の構え」による介者剣術であり、丹波が江戸初期の尾張藩で柳生利厳(兵庫助)が創始した「直立たる身の兵法」(つったったるみのへいほう)と「上段・中段の構え」、すなわち現代の剣道の原型である背筋を伸ばした構えで戦っている。
つまり、戦国生き残りの武士を演じる仲代と、江戸時代の当時としては最先端の構えを習得している丹波の対照が鮮やかに描写されている。
時代考証家の大森洋平が「鎧武者の刀法」の例として時代劇制作スタッフに例示しているほどである。
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